歩道わきにネズミが死んでいた。
何気なく通り過ぎてから、わざわざ引き返して写真を撮った。
特に意図があるわけではない。
ただ何となく心の片隅に引っかかったのだ。
この秋になってから2匹目であったこと。
ほぼ完全な死体で、何の損傷もないこと。
なぜ鳥や獣に食べられないのか。
などなど。
ちょっと不思議に思ったのだ。
病気かな。
丸々と太っているところを見ると、飢え死にでもないようだ。
路上でネズミが堂々と死んでいる。
これまでにあまり見たことがなかったし、それに2匹目ということもあって心が揺れた。
自然の変調かな。
そう言えば、身の回りの動物の多くが、元気を失っていく気がする。
元気だ。
力がほしいな。
そう思っても、なかなか気合が入らない。
後ろから追い立てられるように仕事をして、一日が過ぎていく。
こんな時には旅行にでも行くのがよいのだろうが、今はとにかく忙しい。
だから往復の通勤は、格好の散歩道と化した。
歩きながらいろいろ考える。
仕事のこと、季節のこと、著作のこと、人生のこと。
そんなときに見つけた一匹のネズミの死骸。
帰り道にもう一度確認してみよう。
何の変哲もないネズミだが、朝から気になるネズミでもあった。