Forest Sync.(水と光の幻影)

何時も季節を感じていたい・・・
飛騨高山発信フライフィッシングのブログです。

真冬の猫

2019-01-14 19:46:19 | 記憶
確か、私の高校3年生の冬のこと。

雪が降る寒い夜、家の外というか車庫の辺りから猫の啼き声が聞こえてきて、私は気になって様子を見に表に出てみました。

すると、そこには小柄な三毛猫がいて、甘えるように私にすり寄ってきました。

野良猫といっても、ずいぶん人に懐いているようでした。その様子から、とても大切に育てられ、可愛がられていたのだと、想像がつきました。

後にも先にも、あんなに人懐っこい猫を私は知りません。

もっとも、甘えてきたのは、飛騨の冬を乗り切るために人間の力を借りたいという切実な思いによるのかもしれませんが・・・

近所に三毛の飼い猫がいるなんて見たことも聞いたことも無くて、この猫が、真冬の屋外にこんなところにいる経緯だとかはわかりませんでした。もし、置き去りにされたのだとしたら、止むにやまれないよほどの事情があったのでしょう。

私は、その猫を自分の部屋に連れてきました。

そして、釣って冷凍していたイワナを焼いて、猫に与えました。猫は、そのイワナを美味しそうに、短時間で食べ尽くしました。

しばらく部屋で猫と遊んでみましたが、当時の私は一応は受験生でしたので、程々に切り上げ、猫を部屋の窓から外に放ちました。

猫はとても聞き分けが良くて、抵抗すること無く、出て行きました。

犬も猫も飼わないというのが、我が家の決まりでした。

翌日も猫は家の傍に居て、私は高校から帰ると、また猫を部屋に入れ、寝る前には外に出しました。

2,3日もすると、猫は私に気づくと、寄ってくるようになりました。

1階の屋根の庇の上を伝って、2階の私の部屋の窓の外で、私の帰宅を待ってくれてたこともありました。

こうして、この猫と私は仲良くなりました。

出逢ってから2週間ほど後(その期間についての記憶は曖昧ですが)、猫はいなくなりました。

その訳はおおよそ察しがつきました。

前日の夜、猫の鳴き声と、偶々通りがかったという感じの年配のご夫婦らしい2人の会話が、家の外から聞こえていたのです。
「良くなついた猫だなぁ」「こんな寒いところに・・・」

私は意外な程、寂しいとは感じませんでした。そもそも、男子高校生というのは、寂しいなんて感情を持っていない生き物なのかもしれません。





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コメント (6)
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