説明する必要のない本だとも思いますが… よい本です。
Fly Fishing に夢中になり、いつも渓魚を追いかけていると、釣れた魚の特徴が気になってきます。
生簀で育った放流魚と川で育った天然魚との違いが歴然としているのは当然の事だとしても、実は、川で育った渓魚でも、昔からそこに棲んでいて世代交代している魚だとは限りません。たくさんの釣り人の欲求を充足させるため、漁協等により、毎年、川には多くの渓魚たちが放流されているからです。
稚魚で放たれ川で成長するものもいれば、解禁当初の釣り人でごった返す釣堀のようなところに放たれる成魚もいます。
放流された渓魚は、本来そこに棲んでいる渓魚とは異なった遺伝情報を持っていると考えるのが自然です。生き残った放流魚は放流された川で世代交代を行い、場合によってはネイティヴな渓魚と混血しその命を繋いでいます。その結果、本来そこに生息していた純血の渓魚はその存在を脅かされることになっています。まさに、瀬戸際です。(渓魚は川の上流部に生息しており、自然の状態では他の地域の個体群と交わることはなく、同一種でもそれぞれの地域で独自の特徴をもつ個体群が存在しています。)
(私は放流が悪いとは思っていません。漁協による放流が無ければ、私みたいなへたくそ Fly Fisher は、獲物にありつくことが出来ないでしょう。キャッチ&リリース専用区の事や、漁業権が放棄されたら釣れるようになった渓がある事、渓魚を脅かす大きな原因としての開発・破壊行為など、関連して話題にしたい事例がありますが、それはまたの機会に)
日本中の渓を訪れこの目でその様子を確かめ、追いつめられた渓魚たちに、いつまでも生き延びてほしいとエールを送りたいと思いますが、私にとって実現は困難なこと。
そんなFly Fisher 達に代わって、佐藤成史さんが、その高いFFの技術をもって、渓魚達を尋ね、この本を通して私達に伝えてくれます。
出版から何年か経過し、中には、この本が書かれた頃と、状況が大きく変わってしまったケースがあるのかもしれませんね。
このブログ内のリンク(佐藤成史さん関連)
石徹白 Fisher's Holiday
静かな渓のHybrid
ところで、もうすぐ長良川などの解禁、楽しみですね!!
トムとジェリー 「へんな魚つり」
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