ずいぶん昔のこと・・・
飛騨の萩原で、村人達が、或る家の囲炉裏端に集まり、大鍋で毒草を煎じて「ね」を作っていました。「ね」というのは、川に流して魚を殺して獲るためのものです。
すると、見知らぬ僧が、突然その家に訪れ、主人に向かって、言ったそうです。
「「ね」を作って、奥の淵に入れようとしているようだが、殺生はよくないからどうか止めてくれ」と
主人は、たまたまその家にあった団子を僧に与えたところ、僧は団子を食べて外に出て行きました。
変なことを言う見慣れない僧だと、主人が後をつけると、「ね」を入れようとしていた淵の近くで姿が見えなくなりました。
しばらくして、「ね」が出来たので、村人達は、僧の言ったことなど構わずに、その淵に「ね」を入れました。
すると、担いだら尾が地につくほどの大イワナが浮いてきました。
そのイワナを、家に持って帰り、腹を割いたら、たくさんの団子が出てきたということです。
以来、その淵を団子淵と呼ぶようになったそうです。
似た話は各地に伝わっているようです。
*「日本渓清流魚、名周覧と群影‐付録・探魚行雑記‐」(吉安克彦著)を参考にしました。
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