現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

黒川博行「迅雷」

2016-09-06 17:48:35 | 参考文献
 一応カタギの三人組が、身代金目当てに極道の組長を誘拐するという破天荒な設定のエンターテインメントです。
 2014年上半期の直木賞を受賞した「破門」が含まれる「疫病神」シリーズが始まる直前に書かれた作品で、カタギと極道のからみという点では、「疫病神」シリーズを書く上でヒントになったかもしれません。
 弱いカタギが知恵を絞って、人数でも暴力でも圧倒的に強い極道と渡り合うので、読者にカタルシスを与えます。
 弱者が強者を倒すというパターンは、児童文学の世界でも普遍的な魅力を持っていて書き続けられています。
 ただ、この作品ではカタギ側も100パーセント犯罪者なので、すっきりしない部分は残りました。

迅雷 (文春文庫)
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文藝春秋
コメント
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