現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

松浦梨英子「変態月」奇貨所収

2016-09-07 16:52:52 | 参考文献
 「すばる」1985年9月号に発表された作品です。
 なぜ四十年近く前に発表した作品を、2012年に発表した「奇貨」と一緒にして本にしたのでしょうか?
 読んだ人すべてが疑問に思うでしょう。
 勝手な推測ですが、この作品には少女時代に松浦が変態(性的な意味ではなく変身したという意味です)した月のことを書いているので、「奇貨」の作品世界の萌芽(この作品の時代設定は1984年ですが、松浦は1958年生まれなので実際にはそれよりも十年ほど前のことだったのでしょう)が現れています。
 それは、「小説を書くこと」、「性愛(同性愛も含めて)を探求すること」の二点でしょう。
 この作品には、高校生や中学生の少女たちの世界が描かれています。
 さすがに毒が強すぎ、ヤングアダルト向け作品とは言えませんが、この年代の少女特有の世界観がうまく描けているので、好きになる同世代の読者もいるかもしれません。

奇貨
クリエーター情報なし
新潮社
コメント
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