現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

小沢正「ゆめの オルゴール」目をさませトラゴロウ所収

2018-12-20 17:34:45 | 作品論
 ゆめのオルゴールは、例によってきつねが発明した、その音を聞くと自分の好きな物を夢に見ることができる物です。
 それによって、トラゴロウの宿敵のりょうしや機関銃の弾丸が、トラゴロウの大好物の肉まんじゅうに変わってしまいます。
 子どもの好きな繰り返しの手法を使って、いろいろなパターンでオルゴールと肉まんじゅうが出てくるのですが、今回はややひねりすぎていて、幼年の読者にはすっきりと楽しめないかもしれません。

目をさませトラゴロウ (新・名作の愛蔵版)
クリエーター情報なし
理論社
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立花隆「序章 ヒトとサル 今西錦司」サル学の現在所収

2018-12-20 06:47:43 | 参考文献
 この本の冒頭に、日本のサル学を切り拓き、常に先導してきた今西先生との対談を持ってきています。
 しかし、この時は、先生の最晩年の時期(1992年に90歳でお亡くなりになっています)であり、すでにサル学から離れて進化論へ行かれ、そこも離れて、さらに自然科学自体からも離れて、全体論である自然学といった達観の境地にあった先生にとっては、生物は個体、スペシア(種社会)、ホロスペシア(生物全体社会)といった単純な分け方で認識されているようです。
 ただ、その時点においても、群れ生活者(サルや馬や鳥、人間では未開民族だけ)に対する愛着は持っておられるようで、スペシアの上部概念としたいようです(なかなかうまくいっていないようですが)。
 ただし、人間の文明社会はそれらとは全く別物と考えられています(不自然なものと思われているようです)。
 先生のように、過去の自分の業績や後輩たちの現在の活動を、こんなにきれいさっぱり否定できると、むしろ潔く感じられますが、我々のような凡人(著者も含めて)にはとても到達できるような境地ではなさそうです。

 
サル学の現在 (上) (文春文庫)
クリエーター情報なし
文藝春秋
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