現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

春見朔子「そういう生き物」

2018-12-29 11:35:26 | 参考文献
 LGBTの男女(男性の方はすでに女性として生きていますが、女性の方は潜在的)の同棲生活を描いています。
 性的少数者をどのように描いているのかと思って読んでみたのですが、そのことを除くとすこぶる低調な作品でした。
 二人の視点で交互に描いているのですが技術的な問題があって読みにくく、文章や描写も児童文学の同人誌レベルでした。
 作者は薬剤師(登場人物の女性も薬剤師なので、作者自身が投影されているかもしれません)なので、まあアマチュアの作品なのでしょう。
 他の記事にも書きましたが、現代では純文学では児童文学と同様に食べていけないので、すっかりアマチュアの世界になっています。
 そうなると、どうしても身近な世界を描いた小さな物語になってしまうのですが、そうした場合、よほど優れた感性のきらめきがあるか、文章芸術として技巧的に優れていないと、読むに値しません。

そういう生き物
クリエーター情報なし
集英社
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エーリヒ・ケストナー「非文学的な答え」子どもと子どもの本のために所収

2018-12-29 09:07:16 | 参考文献
 「小さい自由」(1949-52年)の結びですが、短いので全文引用します。

 「何を書いてますか」と皆さんはたずねます。
 「小説ですか。」 ― わたしを、書いています。

 リアリストで、子どもの時の記憶をもとに作品を書いているケストナーらしい結びです。

子どもと子どもの本のために (同時代ライブラリー (305))
クリエーター情報なし
岩波書店
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