現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

黒いオルフェ

2019-02-22 18:03:26 | 映画
1959年のフランス・イタリア・ブラジル合作映画で、カンヌ映画祭のパルムドールやアカデミー賞の外国語映画賞を受賞した作品です。
ギリシャ神話の悲恋の話を、リオのカーニバルを舞台にして描いています。
ストーリーや演技(全員が素人)自体はたいしたことないのですが、全編に流れるサンバのリズムとダンスに圧倒されます。
カーニバル(本物ではなく映画用だそうです)で踊り続ける出演者の黒色や褐色に肉体は、男女を問わず美しく圧倒的な生命力にあふれています。
今はやりのダンス・エクササイズのZUMBAは同じ南米のコロンビア生まれですが、踊っている時の陶酔感はこのカーニバルでのサンバのダンスに通ずるものがあるようです。
また、時々挿入されるアントニオ・カルロス・ジョビンのボサノヴァの曲もかっこよくてしびれます。

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磯田道史「中根東里」無私の日本人所収

2019-02-22 08:37:01 | 参考文献
 江戸時代に詩文において「稀有絶無の天才」と謳われ、当時としては最高の環境で学問を修めながら、学問をして禄をもらうことを潔しとせずに、ひたすら書を読む生活を選んだ儒者の一生を描いています。
 地味な題材なので、作者の他の作品のようには映画化はされないと思いますが、このような歴史上の陽の当たらない人物を紹介することこそ作者の真骨頂でしょう。
 「天地万物一体」の理をわかり、「水を飲んで愉しむものあり、錦を着て憂うるものあり」の境地に達していたという東理に、計り知れない魅力を感じます。
 また、東里は、「子どもの心をみつめ、それに寄り添う文を残し」、実生活でも弟が困窮したために死にかかっていた姪を引き取って慈しんだそうで、まさに児童文学者があるべき姿を体現していたともいえます。

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