現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

小池昌代 編著「通勤電車でよむ詩集」

2019-02-07 09:18:51 | 参考文献
 電車の中でも気軽に読めるような体裁の、詩のアンソロジーです。
 国内外の詩人(主に現代)の短めの作品が選ばれていて、各編の後にその詩を紹介する小池の短文がついているので、通勤時間の細切れな時間に読むのに適しています。
 巻末には、各詩人について主な作品などの紹介もついています。
 この本の中で好きな詩を見つけて、その詩人の詩集を読む手引きとして絶好です。
 知っている詩人も知らない詩人も含まれていましたが、私の好きな石垣りん、まど・みちお、宮澤賢治、中原中也、白石かずこなどが入っていたのがとても嬉しかったです。
 児童文学でも、子どもだけでなく大人も楽しめるこんなアンソロジーを作ったらいいのになと思いました。

通勤電車でよむ詩集 (生活人新書)
クリエーター情報なし
日本放送出版協会
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

尾崎 翠「地下室アントンの一夜」第七官界彷徨・瑠璃玉の指輪他四篇所収

2019-02-07 09:11:00 | 参考文献
 一人の女の子(作者の分身?)をめぐる、三人の男の恋や失恋をめぐる会話で構成されています。
 といっても、現代のような即物的な内容ではなく、かなり抽象的な議論が展開されます。
 三人は、心理学者、動物学者、詩人なので、それぞれに関連した話題が出てきます。
 女の子との恋愛そのものより、会話自体を楽しんでいるといった趣があります。
 彼らの会話を読んでいると、「高等遊民」という古い言葉が浮かんできます。
 この言葉は、中学生の時に夏目漱石の「こころ」を読んで「先生」のような存在だということを知ってから、あこがれのようなものを感じているので、三人にもどこか親しみを覚えています。
 現代で「高等遊民」というと、なぜか「赤頭巾ちゃん気をつけて」の庄司薫を思い浮かべてしまいますが、彼の場合は妻があの中村紘子さんだったのであてはまらないかもしれません。

第七官界彷徨・琉璃玉の耳輪 他四篇 (岩波文庫)
クリエーター情報なし
岩波書店
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする