現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

宮澤賢治「蜘蛛となめくぢと狸」校本宮澤賢治全集第七巻所収

2020-07-27 17:02:22 | 参考文献
 現在でも読み継がれている作品が多い賢治ですが、この作品は今ではあまり読まれていないでしょう。
 寓意が露骨(ラストに「三人とも地獄行きのマラソン競走をしてゐたのです」と明記されています)ですし、残酷なシーンもたくさんあります。
 それに、賢治ファンの大好きな美しいシーンも、感性に優れた描写もありません。
 しかし、この作品には、賢治作品の背景である生の多難、東北の貧困や飢餓、宗教への憧れと疑いなどがはっきりと示されていて興味深いです。
 また、文章のリズムや用語の使い方の巧みさなど、他の賢治作品と共通する美点もたくさんあります。

宮澤賢治傑作選4 よだかの星、黄いろのトマト、森狼と笊森、蜘蛛となめくじと狸、貝の火など7作品
クリエーター情報なし
株式会社 トータルメディア研究所
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