児童文学の動物ファンタジーでは、動物によっては既定のキャラクターがそのまま設定されている場合があります。
例えば、キツネの場合は、「ずるい」、「賢い」、そしてその二つを兼ね備えた「ずるがしこい」というキャラクター設定がされることが多いです。
これらのキャラクターは、12世紀のフランスで異なる作者によって生み出された「狐物語」の主人公である、キツネの「ルナール」によって確立されたものでしょう。
この短編では、ルナールが誕生した背景について書かれています。
中世ヨーロッパは王政でしたので、ライオンを王として、このお話の脇役であるオオカミの「イザングラン」は重臣という設定です。
王に直接はむかうことはこの時代では死を意味しますから、このお話では、代わりに重臣のイザングランを権力の象徴として、本来は力を持たない民衆の代表であるルナールが、ずるがしこさを発揮してイザングランをやっつける姿に、読者たちは喝采したのでしょう。
ただし、現在ではこうした本来の物語構造をすっかり忘れられて、たんなるキャラクター設定になっている場合が多いようです。
なお、本来は民衆(大人)のために書かれたので、「狐物語」には猥雑なシーンが頻出します。
それが、子ども用の物語になる過程において漂白されて、人畜無害なものになってしまいました。
過度にモラリッシュな現在の日本の児童文学界では、こういったピカレスクロマンを受け入れるのは難しいでしょう。
例えば、キツネの場合は、「ずるい」、「賢い」、そしてその二つを兼ね備えた「ずるがしこい」というキャラクター設定がされることが多いです。
これらのキャラクターは、12世紀のフランスで異なる作者によって生み出された「狐物語」の主人公である、キツネの「ルナール」によって確立されたものでしょう。
この短編では、ルナールが誕生した背景について書かれています。
中世ヨーロッパは王政でしたので、ライオンを王として、このお話の脇役であるオオカミの「イザングラン」は重臣という設定です。
王に直接はむかうことはこの時代では死を意味しますから、このお話では、代わりに重臣のイザングランを権力の象徴として、本来は力を持たない民衆の代表であるルナールが、ずるがしこさを発揮してイザングランをやっつける姿に、読者たちは喝采したのでしょう。
ただし、現在ではこうした本来の物語構造をすっかり忘れられて、たんなるキャラクター設定になっている場合が多いようです。
なお、本来は民衆(大人)のために書かれたので、「狐物語」には猥雑なシーンが頻出します。
それが、子ども用の物語になる過程において漂白されて、人畜無害なものになってしまいました。
過度にモラリッシュな現在の日本の児童文学界では、こういったピカレスクロマンを受け入れるのは難しいでしょう。
狐物語 (岩波文庫) | |
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