【沖縄県知事選】「危険性除去」か「アイデンティティー」か 選択問われる普天間返還
沖縄県知事選は、米軍普天間飛行場の移設計画を大きく左右する可能性をはらむ。政府が名護市辺野古での埋め立て工事を進めるためには、新知事の協力が不可欠だからだ。
佐喜真淳前宜野湾市長と玉城デニー前衆院議員は、普天間飛行場の早期返還を目指す点で一致しているが、その手法は大きく異なる。
「対立や分断の4年間を繰り返すのか」。佐喜真氏は13日の出陣式で声を張り上げた。辺野古移設に反対し、政府と対立した翁長雄志知事の路線を否定していることは明らかだ。政府と協力して「一日も早い普天間返還」を実現するのが佐喜真氏の戦略となる。
普天間飛行場は、平成8年に日米両政府が返還に合意したが、いまだに実現していない。16年8月に隣接する大学に海兵隊ヘリが墜落し、昨年12月には小学校校庭にヘリの窓枠が落下。住民の命を脅かされてきた地元市長だった佐喜真氏が「原点回帰」を唱えて返還を急ぐのもこのためだ。
それでも辺野古移設の賛否を明言しないのは複雑な選挙事情が絡む。4年前の知事選で自主投票とした公明党県本部は「県外移設」の立場のため、公明党の支持を得るためには明確に移設を支持するのは得策ではない。佐喜真氏は「政府と県の法廷闘争を注視する」と述べるにとどめている。
玉城氏は、こうした佐喜真氏の姿勢を攻撃する。県による埋め立て承認撤回を支持し、辺野古移設阻止に向け「あらゆる手段を行使したい」と述べる。「翁長氏の行動原理も受け継ぐ」とも語り、政府と徹底対決した翁長県政の再来を予感させる。
翁長氏は、在日米軍基地が沖縄に集中する現状を「差別」と指弾するアイデンティティーのあり方を、辺野古移設反対の原動力とした。翁長県政の幹部は今年7月、反基地団体幹部に「辺野古移設を3年間遅らせた。これは成果だ」と力説したが、「成果の3年」は翁長氏流のアイデンティティーが危険性除去を犠牲にした3年でもある。
翁長氏のスローガン「イデオロギーよりアイデンティティー」を受け継ぐ玉城氏も、普天間飛行場の早期返還に向けた道筋を明確に描けているわけではない。11日の候補者討論会でこの点を問われた玉城氏は、辺野古の軟弱地盤や周辺建築物に及ぶ危険性を訴えた。しかし、辺野古移設をいくら批判しても普天間返還が早まるとは言い切れない。(杉本康士)
世界一危険な基地「普天間飛行場」、だったら返還だとか辺野古新基地反対だとか言う前に、米国内にある米軍基地の法規通りの運用をさせる事が本筋であり、小学校上空を飛行させている事が異常だと皆分かっている筈だ。
政府は、普天間飛行場の危険性除去には辺野古新基地に移設が唯一の方法だと言うが、今のままの運用を続けさせたら沖縄の何処にいても危険は無くならない。
沖縄県知事選は、米軍普天間飛行場の移設計画を大きく左右する可能性をはらむ。政府が名護市辺野古での埋め立て工事を進めるためには、新知事の協力が不可欠だからだ。
佐喜真淳前宜野湾市長と玉城デニー前衆院議員は、普天間飛行場の早期返還を目指す点で一致しているが、その手法は大きく異なる。
「対立や分断の4年間を繰り返すのか」。佐喜真氏は13日の出陣式で声を張り上げた。辺野古移設に反対し、政府と対立した翁長雄志知事の路線を否定していることは明らかだ。政府と協力して「一日も早い普天間返還」を実現するのが佐喜真氏の戦略となる。
普天間飛行場は、平成8年に日米両政府が返還に合意したが、いまだに実現していない。16年8月に隣接する大学に海兵隊ヘリが墜落し、昨年12月には小学校校庭にヘリの窓枠が落下。住民の命を脅かされてきた地元市長だった佐喜真氏が「原点回帰」を唱えて返還を急ぐのもこのためだ。
それでも辺野古移設の賛否を明言しないのは複雑な選挙事情が絡む。4年前の知事選で自主投票とした公明党県本部は「県外移設」の立場のため、公明党の支持を得るためには明確に移設を支持するのは得策ではない。佐喜真氏は「政府と県の法廷闘争を注視する」と述べるにとどめている。
玉城氏は、こうした佐喜真氏の姿勢を攻撃する。県による埋め立て承認撤回を支持し、辺野古移設阻止に向け「あらゆる手段を行使したい」と述べる。「翁長氏の行動原理も受け継ぐ」とも語り、政府と徹底対決した翁長県政の再来を予感させる。
翁長氏は、在日米軍基地が沖縄に集中する現状を「差別」と指弾するアイデンティティーのあり方を、辺野古移設反対の原動力とした。翁長県政の幹部は今年7月、反基地団体幹部に「辺野古移設を3年間遅らせた。これは成果だ」と力説したが、「成果の3年」は翁長氏流のアイデンティティーが危険性除去を犠牲にした3年でもある。
翁長氏のスローガン「イデオロギーよりアイデンティティー」を受け継ぐ玉城氏も、普天間飛行場の早期返還に向けた道筋を明確に描けているわけではない。11日の候補者討論会でこの点を問われた玉城氏は、辺野古の軟弱地盤や周辺建築物に及ぶ危険性を訴えた。しかし、辺野古移設をいくら批判しても普天間返還が早まるとは言い切れない。(杉本康士)
世界一危険な基地「普天間飛行場」、だったら返還だとか辺野古新基地反対だとか言う前に、米国内にある米軍基地の法規通りの運用をさせる事が本筋であり、小学校上空を飛行させている事が異常だと皆分かっている筈だ。
政府は、普天間飛行場の危険性除去には辺野古新基地に移設が唯一の方法だと言うが、今のままの運用を続けさせたら沖縄の何処にいても危険は無くならない。