無ら里には真っ赤な薪ストーブがあります。この煙突から白い煙が出ているのですが...写ってないですね、風が強かったせいでしょうか。
花巻市の中心部からはちょっと離れていますが、周囲を田んぼとハトムギ畑に囲まれたカラ松林の中にあって、とても静かな隠れ家のようなレストランです。
冬の間も宿泊のお客様がいらしたり、親しい作家さんたちの作品を展示するギャラリーになったり、食事にいらっしゃるお客様はオーナーの滝さんの温かい人柄に魅かれ、まさにぶらっと立ち寄りお茶をのみながら世間話をしていくような方も。思えば滝さんご自身があの真っ赤なストーブのような方なのかもしれません。
メニューも地元野菜をふんだんに使った家庭料理がメインで、お腹がいっぱいになるようなボリューム。デザートもサプライズな食材を上手にアレンジしてお皿いっぱい並べられるのです。この日、私がいただいたランチをご紹介しましょう。
チリコンカンと生ハム、ペンネにはカブの葉のソースを。
温野菜(絹ザヤ、長芋、レンコン、人参)、ゴボウの素揚げには柿のソース
ロールキャベツ
酒粕のジェラード、クリームチーズと黒豆の最中、
撮り忘れましたが、これに五穀米のご飯と野菜たっぷり入ったアサリの味噌汁、ポテトサラダと香の物が付きます。そしてデザートと一緒にコーヒーか紅茶も選べます。どうですか、ボリュームがありますよね。どれも美味しくて心がこもったやさしい家庭料理ばかり。熱々のロールキャベツは寒い日にぴったり。温野菜にかけられたオレンジ色のソースは渋抜きした柿で作ったそうです。食欲をそそる色彩と季節感のある素材選び。デザートの酒粕のジェラードやクリームチーズと黒豆の最中は、サクサクして美味しかった。。。クリームチーズが最中の餡になるとは思いもしなかったです。
子供の頃雪が降り夜中に冷え込んだ翌朝は、軒先にツララができたものです。屋根の雪が溶けながら滴ごと凍ってできるツララは、日の光を受けて美しく輝いたものでした。最近は温暖化のためでしょうか、なぜかツララをみかけなくなったのです。雪国の象徴であるカマクラや雪だるま、もっと降ると雪を積み重ねてスロープを作り、家の周りでスキーやソリ遊びをしたものです。どんなに寒くともへっちゃら、長靴の中に雪のかたまりが入ろうが、吹雪いて前が見えなくなっても雪合戦をして遊ぶ日もありました。犬は喜び庭駆け回ると言いますが、子供こそ犬のように駆け回って遊んだのです。手足がしもやけで真っ赤な子供がいっぱいいましたからね。
パチパチと音をたてて燃え盛る薪ストーブの火を眺めていると、そんなことを思い出したりします。熱いコーヒーを飲みながら、窓から見える景色と風の音に耳をすませてみてください。もしかしたらあのカラマツの木の上に又三郎が。。。
どっどど どどうど どどうど どどう
青いくるみも吹きとばせ
すっぱいくゎりんもふきとばせ
どっどど どどうど どどうど どどう
どっどど どどうど どどうど どどう
「風の又三郎」
無ら里は、そんなことを想像しながらゆったりくつろげる空間なのです。