大枚を叩いてニコンZ9を買った。
Z6ⅡとZ5でも仕事はできるが、短時間に何百枚も撮るとボディが熱くなってきて、ヘンな動作をするときがある。Z5は途中でシャッターが切れなくなることが一度あった(しばらくすると動きだしたが)。やはり初級機・中級機はそこまでハードな使い方を想定していないのかもしれない。
そんなわけで不安材料を減らすことが良い仕事につながるのだとすれば、もうプロ機を使うしかないという結論になった。
すでにYouTubeやSNSで性能や使い心地がレビューされているので、できるだけ重複は避けたいと思う。とりあえず初期設定をしながら気づいた美点をいくつか挙げてみた。おそらくまだだれも発信していないことだろう。
一つ目はカメラを構えて左下にフォーカスモードのボタンが付いたこと。これはニコンのレフ機にはもともと付いていたものであるが、Z機になってなくなってしまった。フォーカスモードを変更するには「i」ボタンを押したあとフォーカスモードの場所へ十字キーで移動し「OK」ボタンで選択したのち、任意のモードへやはり十字キーで移動し「OK」というまどろっこしい操作を強いられる。しかもフォーカスモードと同時にAFエリアも変えることが多いので、またもや「i」→十字キー→「OK」……(以下省略)を強いられるわけだ。
1秒を争うタイトな撮影現場でこんなチンタラしていては大切な場面を逃しかねない。いつもイライラしながらフォーカスモードとAFエリアの変更をしていたので、このボタンが付いた(戻ってきた)ことは非常にありがたい。大きな躯体になって重くなったけど、このボタンを付ける場所ができたことが単純に喜ばしい。
二つ目は「ISO」と「delete」の2つのボタンを同時に長押しするとただちにメディアカードのフォーマット画面に切り替わることだ。これも今までのレフ機にはふつうに付いていた機能なのに、なぜかZ機になってできなくなっていた。もとに戻っただけで特別あたらしい機能でもなんでもないが、いちいちメニュー画面からフォーマットしなければならなかったZ6やZ5(おそらくZ7も)に比べると、格段に早く仕事ができるという点で喜ばしいことだ。
三つ目はファンクションボタンやAF-ONボタンのカスタマイズの内容で、少々マニアックな話になるが、プロはこんな使い方をしているという一例として聞いてほしい。
このAF-ONボタンは通常シャッターボタンのAF機能をオフにしてピント合わせは親指でするときに使うことが多い。わたしも以前はそんな使い方をしていたが、動きものをたくさん撮るようになり親指フォーカスでは間に合わなくなって、従来のシャッターボタンでのピント合わせに戻した。コンティニュアスモードで連写するならその方が早いのである。
それでAF-ONボタンにどんな機能を割り当てたかというと、ピンポイントAFエリアへの切り替えにしたのだ。通常はワイドAFエリアで十分なのだが、やや込み入った被写体で正確にピント合わせをしたいときに、このボタンを押すと瞬時にAFエリアが小さくなる。合わせたい場所にピントをロックしてそのままシャッターを切ればいい。
でもこの割り当てもじつは以前からレフ機には付いていたもので、べつに目あたらしい機能ではない。Z9でできるのならほかのZ機でもファームウエアの更新でできそうな気もする。ぜひそうしてもらいたいものだ。結局、いま挙げた3点ともレフ機では標準装備だったわけだから、それがもとに戻ったというだけの話。
この年末年始に試し撮りする予定なので、その画像や使い勝手は年明けに。