Happyday of LUCKY

日々の気付きと感謝を忘れないように綴るページ

いまさらキムラにほれぼれ

2013年02月16日 | Life
滋賀県立近代美術館で開催中の「ハービー・山口写真展」を見にいく。
大阪から快速でちょうど1時間で瀬田駅に着く。意外と近いもんだ。
瀬田駅から帝産バスで「文化ゾーン」まで約15分。



ハービーさんのオリジナルプリントはこれまで何度も見ているけど、いつ見てもいいなあと感じる。
きょうは広い会場をすべてつかって、20歳代から最近撮ったものまで展示されていて、まるで大回顧展のようなボリュームの作品群であった。
しかも本人さんが来られて、それぞれの作品について説明しながら回ってくれたので、とてもたのしむことができた。
約1時間の説明のあと、もう一度ゆっくりと見なおすと、より深く鑑賞できておもしろかった。
彼の作品はほとんどモノクロだけど、一番さいごのコーナーにカラー作品があったのにもおどろく。
カラーでもハービーさんの写真はカッコいいしステキだ。



近代美術館を出て、こんどは京都四条の京都現代美術館で開催中の「木村伊兵衛展」を見にいく。
いやあ、ハービーさんもいいけど、やっぱり世界のキムラはすごいなあ。
フレーミングはもちろん、シャッターのタイミングも光の捉え方も完ぺきだね。まったく隙がない。
ブレッソンやアーウィットもすごいけど、キムラも負けていない。
被写体の好き嫌いでいうと、わたしはキムラの方が100倍くらい好きだな。だって日本人だからね。
東京の下町の写真も好きだし、秋田の作品なんて何度見ても見飽きることがない。
すごい写真を撮る写真家はたくさんいるけど、やはりキムラは別格だと再認識する。

余談だが、どういうわけか、わたしの好きな写真家はみんなライカを使っている。
木村伊兵衛は日本の写真家のなかでもライカ遣いの最右翼だし、ハービー・山口さんもライカだ。
本橋成一さんもそうだし、高梨豊さんもそうだね。
もしかするとライカで撮れるようなスナップ写真が好きなのかな。
しかもライカで撮ると自分の腕が上がったように感じられるのもいい。あっ、それはわたしの場合だけかもしれないけど。

現代美術館を出て、すぐ近くにある原了郭で黒七味と粉山椒の詰め替えを買う。
せっかくだからたくさん買って帰ろうかと思ったけど、賞味期限が3ヶ月だというので1パックずつにする。
祇園には同じような薬味の店が並んでいるので、好みの味をさがしてブラブラするのもたのしい。

T2の艶かしい描写

2013年02月14日 | Camera
わたしと同じ歳のライカM2はいま光線漏れの修理のために、熊本のある会社へドック入りしている。
この際だから気になるところは全部直しておこうと思って、症状をこまかく書いてメールで送ったら、「修理に約1ヶ月かかります」と返事がかえってきた。けっこうかかるもんだ。

しかたがないのでその間、コンタックスT2を使ってしのいでいる。
このカメラにはゾナー38ミリF2.8という小さなレンズが付いているが、あらためてその写りの良さにおどろいている。
よく見ると周辺はやや流れるものの、画面全体のシャープ感とコントラストは申し分ない。
特筆すべきは柔らかいものを写したときの立体感だ。



いまにも画面から出てきそうなくらいのリアルな描写にほれぼれとしてしまう。
しばらくフィルムから遠ざかっていたので、こういう柔らかさは忘れていたなあ。
大口径レンズの絞りを開放にしてボケる柔らかさとはまたちがった柔らかさで、生々しいというか、ふわっとしているというか、とにかく平面なのに3Dのように見える。(でしょ?)

ライカとコンタックスって、かつてはライバルだったけど、いまとなってはもう古きよき親友のような存在だね。
いやあ、T2を処分しないでおいてよかった。ま、いまからでもヤフオクで手に入るだろうけど。(1万円くらい?)
なんかフィルムが俄然おもしろくなってきたわ。

いま一番ほしいもの

2013年02月12日 | Life
以前、仕事でお世話になったUさんから「関西ライカクラブ展」の案内状をいただいたのでさっそく見にいく。
このクラブの会長さんであるUさんは若いころからライカ一筋で、いまだにモノクロ銀塩フィルムにこだわって、自家現像・自家プリントをたのしんでおられる方だ。
一度、屋根裏部屋の暗室を見せてもらったときに、狭い空間ながらとても使い勝手のいい配置や工夫がされていて、さすがだなとおどろいたことがある。
また彼からフォコマートIc(ライカの引伸機)を半年ほど借りてプリントをしたことがあるが、その引伸機の精密感とメカニズムに心底まいってしまった。ライカおそるべし。

そういう究極のアナログシステムで産み出されたUさんのモノクロプリントは本当にすばらしいもので、そこいらのプロ作家もしっぽを巻いて逃げ出しそうな腕前なのである。
わたしがいうのも失礼な話だが、写真表現に対してまっすぐに向き合って、ていねいなものづくりをされている。
ヘンに思わせぶりなところが一切ないのが気持ちいい写真である。



ところで、いまわたしが一番ほしいものはアーカイバルウォッシャーというものだ。
これはバライタ紙を水洗するときに使う機械で、少ない水量で効率よく水洗することができる優れもの。もちろんRC紙でも使える。
これからバライタ紙で作品をつくっていくならぜひとも必要なものであるが、新品で買うと10万円以上もする。
もう使わずに眠っているというものがあれば、だれか安く譲っていただけないだろうか。

ウォッシャーのつぎはドライマウントプレス機なんだけど、ここまではまだ手が出せない。高すぎて。
アナログで本格的に作品をつくろうと思うと、いろいろほしいものが出てくるもんだ。

点火予定時刻は?

2013年02月11日 | Photography
いつものように起床。
朝食のあと猛烈な睡魔に襲われ、寝床にもぐりこむ。半時間だけのつもりが1時間も寝てしまい、あわてて飛び起きる。
ウェアに着替えてジョギングに出る。ちょっと眠ったおかげか、とても身体がかるくなって、調子よく走れた。
シャワーをあび、昼食をかきこみ、SIGNの写真茶話会へ。
きょうは摂氏8度まで上がるそうだから、気合いを入れてバイクで行く。バイクの調子はすこぶるよく45分で到着。

きょうの茶話会のテーマは「点火予定時刻」。なんだそれ?
なんとそれは、茶話会参加者全員でキヤノン写真新世紀展に応募するという提案であった。うおーっ!
新世紀展というのは日本の写真コンテストのなかでも最も有名なものの一つだ。
いまは年齢制限がなくなったので、わたしでも応募することができる。
この新世紀展に入賞すると知名度がグンとあがるので、そこからがんばって現在も活躍している写真家は大勢いる。
いま審査員をしている人たち(大森克己氏や佐内正史氏、HIROMIX氏)もじつはこの新世紀展から出た写真家である。
そういう意味で、写真家として注目してもらいたいなら、まず新世紀展で入賞するのが近道で、いわば登竜門的コンテストなのだ。

だれでも応募できるけど、そのかわり入賞するというのは並大抵ではない。
自分の表現というものを深く掘り下げ追求しなければ、ありきたりの写真ではぜったいに選ばれない。
2012年度優秀賞をとった浜中悠樹さんはわたしのよく知っている写真作家であるが、彼の写真に対するこだわりは半端ではない。
樹木をモチーフにした生命感あふれるこの作品を産み出すために、日夜努力していた姿をわたしは見ている。

茶話会に参加しているSさんは「わたしは写真を撮るたのしみを教えてもらおうと参加しているだけなので、コンテストなんてとても無理」と尻込みしている。
Tさんも「わたしもいまそんな状況じゃないんです」と泣きそうな顔でいう。
ええっ? どうしてみなさん、そんなに消極的なの? こんなおもしろい話、乗らない手はないでしょ。
今年の応募はまだはじまってないけど、例年どおりなら4月上旬から6月中旬くらいが受付期間だ。あと最大4ヶ月ある。
この茶話会でいままで撮ってきた写真をまとめて、足りなければもう少し撮りおろせばいい。
なにも一人でそれをやれとはいっていない。
SIGN氏のアドバイスを受けながら、応募できる形にしていけばいいのだ。心強いではないか。

ただ作品をつくるのは自分であるから、自分をさらけ出さなければいいものはつくれない。
場合によっては形にならないこともあるだろう。
あと4ヶ月で形にならなければ、いくら応募したくてもSIGN氏はそれをよしとはいわないと思う。
なので、「無理」とか「出せない」なんていわなくても、出せないときは出せない、ただそれだけだ。
でも、「出したい」と思わなければ、未来永劫出せないのである。
そして応募することが目的なのではなく、応募に向かって作品をつくりあげていくことが大切なのだと思う。
その行程をSIGN氏が応援してくれるのだから、これは乗らない手はないのである。

関西に住んでいる人で新世紀展に入賞したいと狙っている人は、いますぐSIGNの写真茶話会へ写真をもってこよう。

極寒の暗室 でもたのし

2013年02月09日 | Photography
立春をすぎたというのに外は真冬のような寒さだ。
こんな日は風呂場にこもってプリントを焼くにかぎる。
でも風呂場も極寒なので、オイルヒーターを強にしているが、なかなか室温は上がってこない。
20度で溶いた処理液もあっという間に下がってくるので、バットの下に専用の保温器を置いている。
残念なことにこの保温器は1台しかないので、現像液を温めているうちに停止液と定着液が冷えてくる。
なので1枚焼くごとに保温器を停止液バットの下に置きかえ、また1枚焼いたら今度は定着液バットの下へ。
こんなふうに処理液の入った大きなバットをあっちに動かしこっちに動かしながら、液温を18~26度に保つように暗室作業をおこなっている。

そういう面倒なことを厭わずにやっていると、やがて写真の神さまは愛の手をさしのべてくれる。
「今度のネガはすこしコントラストが高いから、フィルターの号数を0.5下げた方がいいんじゃない?」
という天の声が聞こえ、それにしたがうとはたしてみごとなプリントができあがった。
このように調子がのってくると、つぎからつぎへと名作が生まれてくるので、もうたのしくてしかたがない。
写真の神さま、ありがとう。



きょう一番気に入ったプリントを1枚だけ11×14インチのバライタ紙に焼いてみる。
このサイズがいま使っているバットに入る最大の大きさで、つまりウチで焼ける最大のプリントなのだ。
紙の中央に浮かびあがる21×31.5センチの画像はなかなかの迫力で、ああ、やっぱり写真って大きい方がおもしろいな、と感じる。
先日買ったイーグルというRC紙は純黒調で最大濃度が非常に高い(つまり黒がよくしまる)ので、大量のワークプリントには最適だが、ここ一番というときはやはりニューシーガルのバライタ紙だ。
イーグルでは見えなかった暗部のグラデーションが、ニューシーガルでははっきりと浮かびあがったのでおどろいた。
だけどね、水洗時間がRC紙は3分、バライタ紙なら60分もかかるって、ちょっと時間とお湯のムダづかいな気がする。

近い将来、銀塩のモノクロプリントだけで個展をするのなら、気の遠くなる時間をかけて作業しなくてはならないだろう。
それもきっと仕事の少ない夏場の作業になると思う。
いままでエアコンの効いた部屋で、インクジェットプリンターが出力してくれるプリントをただ待っていればよかったのに。
でもそういう厳しい手仕事の代価として、美しいプリントが生まれるのだときょう確信した。
これは選ばれた人にしか味わえないたのしさである。