93年シネカノン作品。今や日本映画監督協会理事長にまで“出世”した崔洋一だが、私は監督としてはあまり評価していない。しかし、盟友(?)の井筒和幸みたいな才能皆無のボンクラではないことは確かで、たまに面白い映画を作る。本作は数少ないその“凡作・駄作ではない映画”のひとつだ。
タクシーの運転手を務める在日朝鮮人の男と、日本に出稼ぎにやってきたフィリピン娘との恋愛沙汰を中心に、種々雑多な面子の“平凡では無い”人生をヴァラエティ的に描く、梁石日による小説の映画化。
面白いのは、各キャラクターが実に“立って”いること。怪しげな大阪弁で啖呵を切るフィリピン娘をはじめ、女手ひとつで水商売を軌道に乗せた主人公の母、カミさんに見放されたパンチ・ドランカーの運転手etc.しかも、映画はそれぞれのバックグラウンドに過度に拘泥することはない。付かず離れずの絶妙な距離感をキープしたまま、主人公の個性を際立たせるツールとして機能させているあたり、侮れないものを感じる。
正直言って、“国際化”とやらが取り沙汰されてきた90年代前半の空気感が後押ししているような気もするが(現時点で同じようなものを提示されても“何を今さら”と言われそうだ ^^;)、バブル崩壊後のカオスの一断面を捉えたという意味では、存在価値があるだろう。
主演の岸谷五朗をはじめ、ルビー・モレノ、絵沢萠子、遠藤憲一、有薗芳記、萩原聖人、國村隼といった多彩な面々が濃いパフォーマンスを見せる。藤澤順一のカメラによる深みのある映像も印象深い。
タクシーの運転手を務める在日朝鮮人の男と、日本に出稼ぎにやってきたフィリピン娘との恋愛沙汰を中心に、種々雑多な面子の“平凡では無い”人生をヴァラエティ的に描く、梁石日による小説の映画化。
面白いのは、各キャラクターが実に“立って”いること。怪しげな大阪弁で啖呵を切るフィリピン娘をはじめ、女手ひとつで水商売を軌道に乗せた主人公の母、カミさんに見放されたパンチ・ドランカーの運転手etc.しかも、映画はそれぞれのバックグラウンドに過度に拘泥することはない。付かず離れずの絶妙な距離感をキープしたまま、主人公の個性を際立たせるツールとして機能させているあたり、侮れないものを感じる。
正直言って、“国際化”とやらが取り沙汰されてきた90年代前半の空気感が後押ししているような気もするが(現時点で同じようなものを提示されても“何を今さら”と言われそうだ ^^;)、バブル崩壊後のカオスの一断面を捉えたという意味では、存在価値があるだろう。
主演の岸谷五朗をはじめ、ルビー・モレノ、絵沢萠子、遠藤憲一、有薗芳記、萩原聖人、國村隼といった多彩な面々が濃いパフォーマンスを見せる。藤澤順一のカメラによる深みのある映像も印象深い。