元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「一文字拳 序章 最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い」

2019-05-17 06:30:15 | 映画の感想(あ行)
 66分の中編。技術的には万全とは言えず、ストーリーは大雑把で、各キャストの演技も拙い。しかし、スクリーン全体からは楽しそうな雰囲気は漂ってくる。そして何より、パワーがある。インディーズの映画としての存在価値は大いにあると思う。

 山に籠もって修行していた空手家が、謎の怪人に襲撃されて殺害されるという事件が発生。その空手家の弟で、最強の武術家を目指す一文字ユウタは兄の敵を討つべく現場近くの町にやってくる。一方、売れない漫画家のシラハタは、今日も出版社に作品を持ち込むが、編集長から一蹴されてしまう。その帰り道、学生時代の後輩だったクラタと再会して意気投合するが、クラタを追いかける借金取り及び偶然に因縁を付けられた街のゴロツキ集団に絡まれて、2人はピンチに陥る。

 そこにやって来たのがユウタで、あっという間にチンピラどもを片付ける。シラハタとクラタはユウタと仲良くなり、怪人を探し出す手助けを買って出る。そんな中、謎の怪人とその仲間は、ユウタをなき者にしようと暗躍する。

 小さな町で都合良く展開する話には苦笑するしかないが、アクション場面だけは優れている。ユウタを演じる茶谷優太の身体能力は本物で、カメラワークや特殊効果で誤魔化してはいない。茶谷の演技は硬いが、将来性はあるだろう。クライマックスの大乱闘はそれなりに盛り上がる。白畑伸や倉田恭平、小矢菜奈美といった脇のキャストも味がある。

 監督の中元雄の手腕はまだまだであるが、がむしゃらなカツドウ屋精神は伝わってくる。ラストクレジットにはNG集まであるのだから、けっこう楽しめた。第40回ぴあフィルムフェスティバル・PFFアワード2018の入選作だ。
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