元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「シャザム!」

2019-05-20 06:29:50 | 映画の感想(さ行)

 (原題:SHAZAM! )楽しめる。シャザムはDCコミックのヒーローとしては底抜けに明るい。しかも単なる脳天気な野郎ではなくナイーヴな屈託も併せ持っている。何よりこの“見た目は大人、中身は子供”という設定が効いていて、ゴリ押し気味なキャラクターにも関わらず全く違和感を覚えない。演出も快調で、2時間を超える映画ながら、中だるみすることなくスクリーンに対峙出来る。

 幼い頃に母親と生き別れになり、一人きりで生きてきた14歳のビリー・バットソンは、フィラデルフィアにあるグループホームに入居することになる。そこには足が不自由なフレディをはじめ、5人の個性的な少年少女も住んでいた。里親は優しい人物だったが、母親のことが忘れられないビリーは、なかなか馴染めない。ある日、謎の魔術師に召喚されたビリーは、救世主として不思議な力を授けられる。彼が“シャザム!”と叫ぶと、大人のスーパーヒーローになるという仕掛けだが、当然のことながら内面はビリーのままなので、フレディと一緒になってスーパーパワーをいたずらに使うばかり。

 そんな彼の前に、邪悪な魔力を操る怪人Dr.シヴァナが現れる。実はシヴァナは子供の頃にシャザムの力を与えられるチャンスに遭遇したのだが、本人の性根の悪さから失敗したのだった。逆恨みした彼は、長年の研究により7体の魔神の力を召喚することに成功。ビリー(シャザム)を倒し、ついでに世界を征服しようと画策する。

 シャザムは見かけは大人だが、その言動はといえば早速ビールを買い込んだり、アダルトショップに出入りしたりと、まさにアホな中学生そのもの。そのギャップが大いに笑いを誘う。

 だが、ビリーはずっと母親を探していて、グループホームに入れられたのはその一件が関与していることが物語に厚みを与えている。後半で明かされるビリーの母親の“事情”は、観ていて切ない。それと同時に、新たな“家族”を得ようとする、ビリーの前向きな姿勢は好印象。このあたりの作劇は上手い。

 シヴァナの力は強大で、さすがのシャザムも苦戦する。どうなるのかと思っていたら、何と“友情パワー”で乗り切ってしまったのは実に愉快だ。デヴィッド・F・サンドバーグの演出はテンポが良く、観る者を飽きさせない。クライマックスのバトルが展開するのが遊園地である点はポップな仕上がりに貢献しているし、戦いの段取りも上手くいっている。

 変身後の主人公を演じるザッカリー・リーヴァイは絶好調で、表情も身のこなしも見事な“父ちゃん坊や”である。敵役のマーク・ストロングは凄みがあるし、ビリー役のアッシャー・エンジェルとフレディに扮するジャック・ディラン・グレイザーもイイ味を出している。エピローグの扱いは続編が製作されることを示しているが、今後もチェックしていきたい。
コメント
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