(原題:SPIDER-MAN:NO WAY HOME)面白く観ることは出来たが、これは2002年からのサム・ライミ監督による3作と2012年からのマーク・ウェブ監督版の2本、そして本作の前作と前々作の計7本をチェックしておかないと、絶対に楽しめない。ついでに言えば、2018年からの「ヴェノム」の2本と2016年の「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」からの「アベンジャーズ」シリーズも観ておく必要がある。徹底して“一見さんお断り”のシャシンに特化し、それが大ヒットしてしまうのだから呆れてしまう。
前回「ファー・フロム・ホーム」(2019年)で倒した怪人ミステリオが残した映像を、タブロイド紙が世界に公開。ピーター・パーカーがスパイダーマンであることが知られてしまい、さらにミステリオ殺害の容疑が掛けられてしまった。デアデビルことマシュー・マードック弁護士のはたらきで何とか釈放されたピーターだが、すでに元の生活に戻ることは出来ない。

そこで彼はドクター・ストレンジに助力を求め、魔法の力で今回の件は“無かったこと”にして欲しいと頼むが、魔法を掛ける段取りの途中で邪魔が入ったため、間違って“別の世界”から怪人たちを呼び寄せてしまう。この“別の世界”というのはサム・ライミ監督版とマーク・ウェブ監督版のことで、出てくる悪役はドクター・オクトパスやグリーン・ゴブリン、エレクトロにリザードといった連中だ。ピーターはそいつらと戦いつつ、彼らを“改心”させて元の世界に戻そうと奮闘する。
昔、テレビの特撮もので最終回近くに今までの怪獣・怪人たちが大挙して再出演するという、いわば“視聴者サービス”みたいなものが展開することがあったが、本作はまさにそれだ。過去の悪役どもが顔を揃え、しかも元の世界と微妙に違う状況に戸惑いつつもピーターと大々的なバトルを敢行するという、このシチュエーションだけで嬉しくなってしまう。さらに“あの人たち”も登場するに及び、興趣は増すばかり。
率直に言えば、この映画のストーリー運びはあまり上等ではない。余計なシーンが目立つし、いくらピーターたちが有能だといっても、高校生の分際で事態を収拾させる方法を“科学的に”突き止められるわけがない。後半で主要人物が退場したり、大事なところで都合良く“魔法の力”が出てきたりと、行き当たりばったりに話が進むことがある。
とはいえこの賑々しさと、ペーソスあふれるラストの処理の印象度も相まって、鑑賞後の気分は決して悪いものではない。ジョン・ワッツの演出は前回よりも落ちるとはいえ、観る者を退屈させないように腐心している。主演のトム・ホランドをはじめゼンデイヤ、アンガーリー・ライス、ジェイコブ・バタロン、マリサ・トメイらのレギュラーメンバーに加え、ベネディクト・カンバーバッチにアルフレッド・モリーナ、ジェイミー・フォックス、J・K・シモンズらの濃い面々が場を盛り上げる。
とりあえずはスパイダーマンが単独で主人公を演じるシリーズはこれで一段落し、これからはアベンジャーズの新展開と連動していくのだろう。また、ヴェノムの動向も気になる。いささか話が広がりすぎたマーベルの世界だが、これからも出来る限り付き合っていきたい。
前回「ファー・フロム・ホーム」(2019年)で倒した怪人ミステリオが残した映像を、タブロイド紙が世界に公開。ピーター・パーカーがスパイダーマンであることが知られてしまい、さらにミステリオ殺害の容疑が掛けられてしまった。デアデビルことマシュー・マードック弁護士のはたらきで何とか釈放されたピーターだが、すでに元の生活に戻ることは出来ない。

そこで彼はドクター・ストレンジに助力を求め、魔法の力で今回の件は“無かったこと”にして欲しいと頼むが、魔法を掛ける段取りの途中で邪魔が入ったため、間違って“別の世界”から怪人たちを呼び寄せてしまう。この“別の世界”というのはサム・ライミ監督版とマーク・ウェブ監督版のことで、出てくる悪役はドクター・オクトパスやグリーン・ゴブリン、エレクトロにリザードといった連中だ。ピーターはそいつらと戦いつつ、彼らを“改心”させて元の世界に戻そうと奮闘する。
昔、テレビの特撮もので最終回近くに今までの怪獣・怪人たちが大挙して再出演するという、いわば“視聴者サービス”みたいなものが展開することがあったが、本作はまさにそれだ。過去の悪役どもが顔を揃え、しかも元の世界と微妙に違う状況に戸惑いつつもピーターと大々的なバトルを敢行するという、このシチュエーションだけで嬉しくなってしまう。さらに“あの人たち”も登場するに及び、興趣は増すばかり。
率直に言えば、この映画のストーリー運びはあまり上等ではない。余計なシーンが目立つし、いくらピーターたちが有能だといっても、高校生の分際で事態を収拾させる方法を“科学的に”突き止められるわけがない。後半で主要人物が退場したり、大事なところで都合良く“魔法の力”が出てきたりと、行き当たりばったりに話が進むことがある。
とはいえこの賑々しさと、ペーソスあふれるラストの処理の印象度も相まって、鑑賞後の気分は決して悪いものではない。ジョン・ワッツの演出は前回よりも落ちるとはいえ、観る者を退屈させないように腐心している。主演のトム・ホランドをはじめゼンデイヤ、アンガーリー・ライス、ジェイコブ・バタロン、マリサ・トメイらのレギュラーメンバーに加え、ベネディクト・カンバーバッチにアルフレッド・モリーナ、ジェイミー・フォックス、J・K・シモンズらの濃い面々が場を盛り上げる。
とりあえずはスパイダーマンが単独で主人公を演じるシリーズはこれで一段落し、これからはアベンジャーズの新展開と連動していくのだろう。また、ヴェノムの動向も気になる。いささか話が広がりすぎたマーベルの世界だが、これからも出来る限り付き合っていきたい。