元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「化け猫あんずちゃん」

2024-08-16 06:26:05 | 映画の感想(は行)
 普段ならば鑑賞対象にならない分野の映画なのだが、山下敦弘が演出に参加しており、しかも脚本がいまおかしんじという盤石の布陣。世評も悪くないので観てみた。しかし結果は空振りだ。何やら最初から作り方を間違えているような様子で、最後まで面白さを見出せなかった。一応“夏休み番組”のアニメーション映画ということなので、それらしいモチーフを無理矢理にくっ付けたせいかもしれない。

 南伊豆の山あいにある草成寺の住職の息子の哲也が、11歳の娘かりんを連れて20年ぶりに戻ってくる。哲也は妻の柚季を亡くしてから自堕落な生活に終始して借金が嵩み、かりんを寺に預けるとすぐに金策のために出奔する。かりんの面倒を見ることになったのは、寺に居着いている“あんず”と名付けられた化け猫だ。あんずは30歳はとうに過ぎているが、人間の言葉を話して人間のように暮らしている。実は寺の周辺には魑魅魍魎が生息しており、かりんはあんずを通じてそれらと付き合うハメになる。



 かりんのキャラクターはけっこうワガママで、周囲を引っかき回してばかりだ。ところがいましろたかしによる原作コミックには彼女は登場しないらしい。原作は読んだことは無いが、たぶんあんず及び妖怪たちと住職らが織りなすノンビリとした日々を、脱力的なタッチで綴ったものだと想像する(違っていたらゴメン ^^;)。

 ところが映画版は夏休み映画として若年層の観客をも意識しなければならず、観る者にとって“感情移入が容易だ”と送り手が合点した子供の登場人物を主人公として設定したのではないだろうか。事実、かりんが出発点として巻き起こる騒動は無理筋で、特に“あの世”とのコンタクトを描く部分は話が破綻している。

 それでもアニメーション技術に見るべきものがあれば納得するが、これも不発だ。本作はあんずの声を担当する森山未來をはじめとするキャストの“実写映像”をもとに作画するという、いわゆるロトスコーピングが採用されているが、メインの監督である久野遥子はそれを活かしているとは言いがたい。どう見ても普通のアニメだ。青木崇高に市川実和子、宇野祥平といった多彩な声の出演陣をも揃えているのに残念だ。なお、鈴木慶一(住職の声も担当)による音楽と佐藤千亜妃による主題歌は悪くないと思った。

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