元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ソーシャル・クライマーズ」

2025-03-09 06:10:53 | 映画の感想(さ行)
 (原題:SOSYAL CLIMBERS )2025年2月よりNetflixから配信。何と、フィリピン製のラブコメだ。フィリピン映画は過去に何本か観ているが、いずれも映画祭での鑑賞で、中身は社会派ドラマやサスペンス物などのヘヴィなものばかりだった。それだけにラブコメというのは珍しく興味を持って接したのだが、これがけっこう緩い。とはいえ面白くないわけではなく、大きな不満もなく鑑賞を終えた。配信作品ならばこのレベルでも許されるだろう。

 マニラの高級住宅の販売仲介を生業にしている不動産ブローカーのジェサと、フィナンシャル・プランナーのレイとの出会いはあまりスマートなものではなかったが、相思相愛になり互いに結婚を意識するような関係になっていた。ところが2人は思わぬ詐欺に遭い、多額の借金を抱えるハメになってしまう。窮地に瀕した彼らは身分を偽り、売りに出されている高級住宅にオーナーのフリをして住み込み、隣近所の富裕層から金をだまし取ろうとする。だが、この住宅地に出入りする画商が2人の正体を見破ったため、事態は紛糾する。



 いくらジェサが不動産に詳しいといっても、簡単に高級住宅に家人として潜り込めるはずがない。また、事情を知らずに物件の内見に訪れる客と、住民たちがニアミスするサスペンスも大して盛り上がらない。極めつけは、レイに思わぬ絵の才能があり、高値で売れる可能性がクローズアップされることだ。いくら何でも無理筋で、それだけ絵心があるのならば事前に前振りを入れるぐらいの作劇の工夫をするべきだ。

 しかし、あまり気分を害さず最後まで付き合えたのは、主演の2人の健闘に尽きる。ジェサに扮するマリス・ラカルとレイ役のアンソニー・ジェニングスは、本当に愛嬌があって好感度が高い。何となく応援したくなってしまうのだ(笑)。たぶん本国でも人気俳優なのだろう。話は終盤で紛糾してくるが、ストーリーを壊さない程度に留めているのは納得する。そしてもちろん、最後は収まるところに収まるのだ。

 ジェイソン・ポール・ラクサマーナの演出に特筆すべきものはあまり無いが、取り敢えずは安全運転に徹している。リッキー・ダバオにカルミ・マーティン、バート・ギンゴーナ、チェスカ・イニゴといった脇の面子はもちろん馴染みは無いが、皆良くやっていたと思う。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「聖なるイチジクの種」 | トップ | 「キャプテン・アメリカ:ブ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画の感想(さ行)」カテゴリの最新記事