去る2021年3月31日、経営再建中の音響機器メーカーのオンキヨーホームエンターテイメントは、同年7月末ごろに上場廃止となる見通しだと発表した。東京証券取引所が指定した年度末までに、債務超過を解消できなかったためだという。昨今のコロナ禍によって、生産や販売活動が思うように実施できなかったことが影響していると見られている。
一度上場が廃止になった企業を上向かせるのは難しい。同社はDENONやTEACなどと共に、バブル崩壊後のピュアオーディオ斜陽期を生き延びた数少ない日本の音響メーカーであっただけに、このニュースは残念だ。
オンキヨーは1946年に設立され、当初はスピーカーの製造を行っていたが、やがてオーディオ機器全般の製造・販売を手掛けるようになる。70年代のオーディオブーム期から80年代末のバブル期までは意欲的に製品を発表し、オーディオ御三家と言われたパイオニアとサンスイとトリオに次ぐ地位を確立した。私も今までの無駄に長いオーディオ歴の中で同社の製品はスピーカー1組とアンプを1台、CDプレーヤーを3台購入したことがある。

オーディオ一筋であったため早々に行き詰ってしまったサンスイ等とは違い、オンキヨーは一時期ソーテックを吸収合併してパソコン部門に進出したり、ハイレゾ音楽配信サイトe-onkyoを設立したり、ポータブルオーディオの分野にも目を配ったりと、時流に乗るような姿勢を崩さなかった。だからこそ現在まで存続していられたのだが、ネット配信主体のデジタルオーディオの世界は競争相手が多く、消耗戦を余儀なくされ体力を失っていったと想像する。
3月半ばにオンキヨーは“クラシックシリーズ”と銘打って、レトロ調のエクステリアをフィーチャーした製品群をリリースすると発表した。他社(特にデジタルオーディオにおけるニューカマー)とは一線を画す老舗のメーカーの持ち味を活かした施策だ。また、アパレルとのコラボレーションやセレクトショップでの展開を予定しているというのも、これからのマーケティングとしては正しい。今回の上場廃止発表が、その方向性にブレーキをかけてしまわないかと心配だ。
余談だが、同社の製品で個人的に最も興味を覚えていたのが、70年代までに作られていた中高音域ユニットにホーン型を採用したスピーカーシステムだ。もっとも、それらは聴いたことがなく、実物を見たこともない(笑)。しかし、(今では写真でしか見られない)その佇まいは、古き良きオーディオ機器の存在感を醸し出している。中にはScepterシリーズと銘打った大型システムもあり、一度は接してみたかったと思う。
一度上場が廃止になった企業を上向かせるのは難しい。同社はDENONやTEACなどと共に、バブル崩壊後のピュアオーディオ斜陽期を生き延びた数少ない日本の音響メーカーであっただけに、このニュースは残念だ。
オンキヨーは1946年に設立され、当初はスピーカーの製造を行っていたが、やがてオーディオ機器全般の製造・販売を手掛けるようになる。70年代のオーディオブーム期から80年代末のバブル期までは意欲的に製品を発表し、オーディオ御三家と言われたパイオニアとサンスイとトリオに次ぐ地位を確立した。私も今までの無駄に長いオーディオ歴の中で同社の製品はスピーカー1組とアンプを1台、CDプレーヤーを3台購入したことがある。

オーディオ一筋であったため早々に行き詰ってしまったサンスイ等とは違い、オンキヨーは一時期ソーテックを吸収合併してパソコン部門に進出したり、ハイレゾ音楽配信サイトe-onkyoを設立したり、ポータブルオーディオの分野にも目を配ったりと、時流に乗るような姿勢を崩さなかった。だからこそ現在まで存続していられたのだが、ネット配信主体のデジタルオーディオの世界は競争相手が多く、消耗戦を余儀なくされ体力を失っていったと想像する。
3月半ばにオンキヨーは“クラシックシリーズ”と銘打って、レトロ調のエクステリアをフィーチャーした製品群をリリースすると発表した。他社(特にデジタルオーディオにおけるニューカマー)とは一線を画す老舗のメーカーの持ち味を活かした施策だ。また、アパレルとのコラボレーションやセレクトショップでの展開を予定しているというのも、これからのマーケティングとしては正しい。今回の上場廃止発表が、その方向性にブレーキをかけてしまわないかと心配だ。
余談だが、同社の製品で個人的に最も興味を覚えていたのが、70年代までに作られていた中高音域ユニットにホーン型を採用したスピーカーシステムだ。もっとも、それらは聴いたことがなく、実物を見たこともない(笑)。しかし、(今では写真でしか見られない)その佇まいは、古き良きオーディオ機器の存在感を醸し出している。中にはScepterシリーズと銘打った大型システムもあり、一度は接してみたかったと思う。