* 本年の台風15号・19号による被害は真に甚大であり、
お亡くなりになりました方々には、衷心の御冥福をお祈り申し上げ、
被災された方々には、その被災の状況を思い、心からのお見舞い申し上げます。
天下の一大事
A.自民党二階俊博幹事長の留任
1.本年(2019年)9月11日の自民党役員人事で、安倍晋三自民党総裁が同党幹事長への留任を決
められた二階俊博氏が、9月27日、BSテレビ東京の番組収録で、「安倍さんの次は安倍さん」と発言
されたことを各メディアが伝えています。
2.これは看過(かんか)できない天下の一大事です。
3.自民党は、総裁の任期を1期3年、引き続き2期を越えて在任することができないことを、党則で決
めていました。これを3期へと2017年3月の党大会で変えました。この変更を主導されたのが、当
時、自転車のツーリング中に転倒されて歩行が困難となり、党務を離れておられた谷垣禎一幹事長に代
わって、安倍晋三総裁から幹事長に指名されました二階俊博氏です。
4.この二階俊博氏を、安倍総裁は引き続き幹事長に留められ、その二階氏が、留任人事の9月11日か
らあまり日を置かない9月27日に、「安倍さんの次は安倍さん」と、安倍総裁の4選を意図した発言を
されました。ここには、総裁任期を4期まで可能とする党則変更を、再び自分(二階俊博氏)がやります
と言う氏の含意(がんい)もあると思われます。
5.このように、自民党の総裁である安倍さんが、自分の任期を2期から3期へと延長することに道筋を
つけてくれた人物をそのまま自民党の要職である幹事長に留任させ、その人物もその人事の意図を汲
(く)んだかのように、「安倍さんの次は安倍さん」と発言されることは、自民党は私党集団でしょう
か?そうではないと思いたいのですが、どうもそのような集団になってしまっているようです。そして、
私党集団を構成している構成員それぞれの離合集散の鍵は、自己利益の最大化にあります。自己の利益
になる者は優遇し、反するものは遠ざける。これは群れの本質でもあります。しかし、人は理念でも行
動します。考えるに、利益と理念は背反するものでしょうか? 背反しません。人は、昔から、人や社会
の利益を追求するためのさまざまな理念や方法を考え、語って来ました。現代では、私たちの社会は、
自由主義、民主主義、複数政党が社会と人々の利益を最大化するための政策を競い合い、多数決でその
政策を決定する議会主義、そして人権主義を社会のベースコンセンサス(基礎合意)とし、人々がこの
社会の中でそれぞれ自己の利益の最大化を図(はか)ることが、福祉も含めてこの社会の利益を最大化
するということを、人々のコンセンサスとしています。ここで何故、理念を語るかといえば、現代では、
人々は、掲(かか)げる理念の下(もと)に集合し、かつ、人々は、この群れ(社会)の中で、群れの
本質に従って行動し、かつ、一つの理念の下に集まった人々は、他の理念の下にある人々の集合体(社
会)に対して、自己の理念の社会の利益を最大化するよう行動するということを伝えたいからに他なり
ません。そして、ここで言う社会には国家やEUのような共同体までを含みます。
6.ここまで語って、話を副題へと向けます。自民党の本質は私党集団のそれであると同時に、衆議院で
無所属の議員を含め285議席、参議院で同じく114議席を擁し、内閣を組閣し、政府を運営する公
(おおやけ)の政党でもあります。そして、この公の部分=公共性に理由づけて、国庫金から政党助成費
として政党交付金を支給する法律を作りました。これが1994年の細川内閣の時で、その基本形態を決
めました。しかし、よく考えて見れば、国会議員が国会議員であることの職責に対しては、議員歳費と諸
手当、その職責を果たすに必要な調査費等を支給しており、これらの対価(金額)の他に、国会議員が所
属する政党にまで国庫金を支給することは、政党は理念を持ちますがその本質は私党集団であると言う政
党の属性から鑑みて、本来は国庫金の支給の対象から外れる存在に該当します。また、政党は、何らかの
理念を共有する人々の同士的結合体であり、これらの人々が国会議員となり、国会において多数となれ
ば、内閣を組閣し、予算を計上し、国庫を管理し、政府を運営するのですから、この国庫から自らを助
成する政党交付金を、受け取ってはならないのです。
7.それでは、国会議員は自分が所属する政党と共に在るための活動に要する資金や選挙のための資金
を、何処から集めればよいのでしょうか? それは献金によるのです。寄付の浄財を集めるのです。この
ことによって、自らの支持者と共に政党と議員(党員)は在ることができます。また、これが本来の政党
の姿です。そして、私たちは寄付の形態やその在り方について考えて行かなければなりません。例えば、
今、私たちは政治家や政党に寄付しようとしても、そのチャンネルは限られています。この窓口を探すの
も容易ではありません。これを、国庫からの政党交付金を禁止し、私たちが、政党活動家や議員(国会議
員や地方議員)を志す人たちの活動に対して、気軽に寄付することができ、広く民間から浄財を提供でき
るように、寄付の窓口とルートを多様化し、そのネットワークを全国に張り巡らせることを可能にするク
ラウド・ファンディング方式を活用するなどの改革を、図って行く必要があります。
8.これらのことを語って、再び、本題に戻します。そして、これらのことを語らずには済ませられない
程、二階幹事長の発言は、「政治や政策の恣意性」を私たちに強く思わせるインパクトがあるものである
ことも書き添えます。
9.現在の日本の国会の議員構成では、自民党の総裁は、造反等がない限り、内閣総理大臣に選出されま
す。つまり、自民党総裁の4選が可能となり、自民党の党員・党友が総裁選で引き続き安倍総裁を選出す
れば、安倍総裁は内閣総理大臣の職に留まられることとなります。
10.草莽の目を通しましても、安倍総理は良くやって来られました。これは衆目の一致するところであ
ります。しかし、安倍総理は、現在、3期目を務められています自民党総裁の任期を越えて、総理大臣の
職に留まられるべきではありません。「権力は腐敗する(ジョン・アクトン)」。これは、
安倍総理を、御自分の後継へと指名されました小泉元総理がよく口にされていました言葉です。また、日
本国民が常に歩むべきグローバリズム・国際主義の在り方と、政府が決定された ①.国際捕鯨委員会
(IWC)からの脱退、②.アメリカが提唱するホルムズ海峡近辺の海上交通を警護する有志連合を離れ
て、独自にオマーン湾、アラビア海北部公海、バブ・エル・マンデブ海峡東部公海に自衛隊を派遣するこ
と、③.韓国をホワイト国から除外したこと、そしてこれは外交上の礼節に属するものでありますが、
G20において、文大統領を無視された御姿などは、相容(い)れないものです。何れも日本を孤立化さ
せる道です。また、内閣総理大臣は、在任中、一つの成果を挙げられることに全力を注がれるべきです。
“One cabinet,One acheivement”(ワン キャビネット、ワン アチーブ
秋の空