新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

旧統一協会の伝道・教化活動そのものが、国民の思想信条の自由を侵害する違法行為

2022年08月25日 11時35分49秒 | 岸田統一教会内閣

夏休み中のプライベート時間中にCOVID-19に感染したらしい岸田文雄。
  
 閣僚メンバーとはオンラインで行うので公務には支障ないと官房長官は説明していた。
  
 しかし、その後の会見もオンラインで一方的に話すということを行ってきたらしい。
 
そして先週の「 文春砲」では、大方の日本人が忘れていた「日韓トンネル」という旧統一教会が資金集めに画策した事業に、岸田文雄の熊本県の後援会長が関係していたと報道されていた。
 
岸田首相の後援会長が「統一教会関連団体の議長」問題 首相が統一教会との関係を否定、会長は議長を辞任」 
 
直接岸田文雄自身が関わっていたわけではないので、岸田文雄はこの件に関しては曖昧にしながら、オンラインでの会見では参院選の公約にも入っていなかった「原発の大幅な再稼働や「次世代型原子炉」の開発という唐突感が否めないことを口走っていた。
 
原発『推進』に転換もくろむ政府…実現までにこれだけの難題 安全・安心の確保に疑問
 
 
 
 
          【東京新聞より】
          

◆「次世代型原子炉」→技術が未確立
「エネルギーの安定供給に向け、あらゆる選択肢を議論する。新増設も排除しない」。経済産業省の飯田祐二・経済産業政策局長は、24日に開かれた脱炭素政策を議論する「グリーン・トランスフォーメーション(GX)実行会議」を前にそう強調した。
 昨年10月に閣議決定した「エネルギー基本計画」では、原発の新増設には触れず、歴代首相も「現時点では想定していない」と繰り返し述べてきた。原発事故後の国民感情を意識し、踏み込むことを避けてきた。
 今回、新増設を検討するのは既存の原発ではなく、事故対策が改良された原発や小型原子炉などの次世代型。政府は安全性を重視するが、これらの次世代型の多くは海外で実証試験などの段階で、商業発電として確立したとは言いがたい。
 ある電力会社関係者は「既存原発の再稼働もままならない状況なのに、新型の原子炉を建設する余力はない。まずは今の原発の運転を重ね、技術力を戻すのが先だ」と首をかしげる。
◆運転期間延長→規制委は楽観せず
 福島事故後の2013年、原発の運転期間を原則40年と定め、1回に限り20年間延長できる法改正がされた。改正当初は「異例」とされた運転延長は、4基が原子力規制委員会から認可され、そのうち関西電力美浜3号機(福井県)が再稼働した。
 再延長を意味する60年超の運転となれば再び法改正が必要になる可能性も。規制委の更田豊志委員長は24日の記者会見で「技術的に詳細な議論が必要」。米国では80年の運転が認められているが、更田氏は「日本は地震が多く、海外に引きずられるべきではない」とくぎを刺した。
◆新たに7基再稼働→テロ対策、避難計画の不備が足かせに
さらに、政府は、原発の新規制基準に適合したものの、再稼働にこぎつけていない5原発7基について来年夏から冬以降に再稼働させる目標を設定した。
 そのうち東電柏崎刈羽原発(新潟県)は、侵入検知器の故障を放置した問題で、規制委が昨年4月に事実上の運転禁止を命令。改善された状態と認められるまで命令は解除されず、その検査が続いたままだ。
 さらに、新潟県は独自の検証作業を再稼働に同意するかどうかの条件としており、作業終了は「見通せない」(県原子力安全対策課)。テロ対策の不備を受け、原発推進に前向きな自民党の県議からも「東電に運転してほしくない」との声が漏れ、不信感は根強い。
 日本原子力発電東海第二原発(茨城県)は、避難計画の策定が義務づけられる30キロ圏内に全国最多の90万人超が住み、計画作りが難航を極める。県のほかに策定できたのは、14市町村のうち5市町にとどまる。その上、水戸地裁は昨年3月、避難計画の実効性に問題があるとして運転差し止めを命じた。
 政府目標の1年余りのうちに、両原発が稼働できる可能性はほぼない。

 

 
少なくとも原発の新設には立地市町村との合意があり、それだけでも数年単の時間と労力が発生し、現在の電力問題を解決する策には程遠く、少なくとも岸田政権では実現不可能なことである。
 
おそらくは日増しに高まってきている自民党と旧統一教会の癒着問題から国民の目をそらそうと思っているのなら大間違いであろう。
 
改造内閣では「閣僚」から外した癒着男のその後の釈明があまりにも杜撰であり、大手メディアも正面から批判は避けているようである。
 
それならばと、庶民目線でこの御仁がわかりやすく解説してくれていた。 
 
光一ならぬ萩生田『統一』状態。安倍晋三氏の側近と統一教会の深すぎる絆
 
■萩生田光一改め萩生田統一
旧統一教会と関係していた自民党議員が次から次へと発覚し続けていますが、何よりも傑作なのが、それぞれの議員の苦し紛れの言い訳です。たとえば、自民党の国会議員の約3分の1が打っていたと見られる「祝電」に関して、多くの議員は「旧統一教会の関連団体とは知らずに送ってしまった」と説明しています。
しかし、どこの団体なのか分からない相手に国会議員が祝電を打つなんて、普通は考えられません。もしもこれが暴力団のフロント企業だったら、大変な問題になるからです。あたしの知り合いで野党議員の秘書をやっていた人がいますが、祝電の依頼の中に知らない人や団体があった場合、必ずネット検索などで相手を調べてから対応するようにと、議員から厳しく言われていたと証言しています。
それなのに、少なくとも昨年の夏とクリスマスの2回、祝電を送っていた自民党の山口壮環境相は、祝電の依頼があれば、いちいち相手を調べたりせず「頼まれれば全部出している」と、悪びれる様子もなく説明したのです。このヒラキナオリとも取れる説明に、いち早く反応したのがネット民でした。ツイッターでは「頼まれれば全部出す、と言うのなら、俺の誕生日にも祝電を送ってもらおう」というような声が相次ぎ、とうとう「#山口環境大臣に祝電を頼もう」というハッシュタグがトレンド入りしてしまいました。
また、2017年に旧統一教会のイベントに出席し、韓鶴子総裁のことを「マザームーン」と連呼している動画が拡散されてしまった自民党の山本朋広衆院議員の言い訳も傑作でした。記者からの「どうしてマザームーンと呼んだのか?」との問いから逃げ回っていた山本朋広議員は、ようやく8月19日に文書で回答したのですが、その内容が噴飯物でした。
その言い訳とは「(韓鶴子総裁を)『かん・つるこ』だと思っていたが、会場に到着すると『かん・つるこ』と呼ぶ人は誰一人おらず、皆さん韓国語の呼び方をされており、『ハン・ハクチャ』と呼んでいるのか『ハン・ハクジャ』と呼んでいるのかよく分からなかった。挨拶の中で人の名前を言い間違えるのは大変失礼になるので悩んでいたところ、関係者が『英語での愛称もありますよ』と教えてくれたのが『マザームーン』だった」と言うものです。
必死に考えた言い訳のようですが、この文面だけで、すでに理論が破綻しています。関係者と会話をしたのなら、その人に「ハン・ハクチャ」なのか「ハン・ハクジャ」なのかを聞けば良いだけの話で、わざわざ韓鶴子総裁を崇拝するための別の呼び名など教えてもらう必要などないからです。それに、山本朋広議員が旧統一教会のイベントに出席するのは、これが初めてではなく、以前にも出席しているのです。何度も出席しているのに、総裁の名前の読み方が分からないということ自体、限りなく怪しげなフレーバーを醸し出しています。
そして、さらに酷すぎる言い訳が、今夏の参院選の公示日前の6月18日、八王子にある旧統一教会の教団施設「世界平和統一家庭連合 八王子家庭教会」を訪れていたことが報じられた生稲晃子参院議員(当時は候補)です。「八王子家庭教会」は誰が見てもひと目で分かる宗教施設で、入口には「世界平和統一家庭連合八王子家庭教会」と大きく記されています。それなのに「気づかなかった」と言い張る生稲晃子議員は、次のように説明しました。
「暑かったので顔(化粧)を直すこととか、自分が何をしゃべるのか、きちっと間違えないようにしゃべらないといけないとか。そういうことに必死で、何も見ずに。いつも、そんな感じの移動なものですから。その時も(入口の看板を)全く見ていなかったんですね。だから知りませんでした」
これほど無理のある言い訳も珍しいですね。だって、百歩譲って本当に入口の看板を見ていなかったとしても、会場に入れば怪しげな祭壇があり、その脇には統一教会の創始者の文鮮明氏と現在の韓鶴子総裁の大きな写真パネルが飾られているのですから、誰が見ても教団施設であることは一目瞭然だからです。
それに、生稲晃子議員は「別の場所で演説をしていたら、知らない男性から『この近くに人が集まっているので、そちらでも演説してほしい』と頼まれ、スタッフの判断でそちらに向かった」と説明していますが、これもありえない話です。通常、選挙演説は、何時何分から何時何分までは●●駅前、何時何分から何時何分までは●●商店街…というように、分単位でスケジュールが決まっており、その場で声を掛けて来た相手に着いて行くなど考えられないからです。
また、この説明が仮に本当だとすれば、いくら何でも、どこの誰かも分からない相手に着いて行くことなどありえませんので、少なくとも名刺くらいは受け取っているはずです。そして、その名刺には「世界平和統一家庭連合」と書かれているはずですから、この時点で相手が何者か分かったはずです。
生稲晃子議員の説明を一から十まですべて信用すれば、生稲陣営は「名刺も出さない、どこの誰かも分からない男」に案内されるまま、車で30分近くも掛かる教団施設へ着いて行き、入口の看板も見ずに、ここが何の施設なのかも確認せずに中へ入り、文鮮明氏と韓鶴子総裁の大きな写真パネルの横で、大勢の信者に向かって演説したことになります。そして、それでも教団施設とは気づかなかったということになります。
こんなバカげた話、一体どこの誰が信じると思っているのでしょうか?さらには、生稲晃子議員に同行した萩生田光一政調会長(当時は経産相)も、この施設について「お名前はちょっと分からないのですけれど、八王子の子安町にある施設です」などと説明したのです。
おいおいおいおいおーーーーい!ここはお前が30年前から数え切れないほど通って来た「旧統一教会の八王子家庭教会」だろが!お前が落選中だった2009年から2012年の民主党政権時代、毎週のようにここに通い、文鮮明氏と韓鶴子総裁の大きな写真パネルに最敬礼してから登壇し、集まった信者に向かって「私と一緒に日本を神の国にしましょう!」と洗脳スピーチを繰り返して来た教団施設だろが!信者たちが「萩生田先生は教祖と同じくらいのVIP待遇でした」と証言している旧統一教会の施設だろが!それなのに「お名前はちょっと分からないのですけれど」って、おいおいおいおいおーーーーい!
…そんなわけで、2009年の衆院選で落選した自民党の萩生田光一氏は「収入がゼロになってしまった」と安倍晋三氏に泣きつきました。安倍晋三氏は、盟友である「加計学園」の加計孝太郎理事長を萩生田氏に紹介し、萩生田氏は安倍晋三氏が税金で加計理事長にプレゼントした千葉科学大学で、危機管理について教える非常勤講師としての職を得たのです。
その一方で、萩生田氏は、次の衆院選で返り咲くために、毎週のように旧統一教会の八王子家庭教会に通い、大勢の信者の前で「自民党が政権を取らないと日本は滅んでしまいます!」「日本の未来が掛かっています!死ぬ気で自民党を復活させてほしいのです!」「私と一緒に日本を神の国にしましょう!」「私もご父母様の願いを果たせるように頑張りますから、皆さんも一緒に頑張りましょう!」と連呼して来たのです。ちなみに「ご父母様」とは文鮮明氏と韓鶴子総裁のことです。
また、これは萩生田氏本人は否定していますが、多くの信者が「萩生田先生は、以前は日曜日の礼拝を兼ねたバーベキュー大会にも良く参加してくださった。教会にいらっしゃる時は背広姿ですが、バーベキュー大会にいらっしゃる時はジャージなどラフな服装で、とてもフレンドリーに話してくださった」と証言しています。
こうした関係の深さから推測すれば、6月18日の生稲晃子候補の行動は、間違っても「その場で声を掛けられて着いて行った」のではなく、前もって萩生田氏が根回ししていたものだと言うことが見えて来ます。そして、事前に「6月18日には萩生田先生が生稲晃子さんを連れて来る」と分かっていたと仮定すれば、いつも以上に大勢の信者が集まっていたことにも説明が付くのです。
さらに言えば、岸田文雄首相も、萩生田氏が生稲晃子候補を旧統一教会に連れて行き、応援をお願いするということを知らなかったわけがないのです。岸田首相は、萩生田氏と旧統一教会とのディープ過ぎる関係を十分に知っていたからこそ、旧統一教会の問題が発生したとたんに大慌てで内閣改造を行ない、いの一番に萩生田氏を閣僚から外したのです。こう考えると、岸田首相を始めとした自民党議員たちの不可解な行動にもツジツマが合い始め、嘘とバレバレの苦し紛れの言い訳にも必然性が生まれて来ます。
 
 
さて、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る議論や指摘で抜け落ちている点は、旧統一教会の伝道・教化活動そのものが、国民の思想信条の自由を侵害する違法行為であるとする判決が確定していること、すなわち憲法違反という認識だという。
 
その判決を1987(昭和62)年から14年間かけて勝ち取り、以降も違法伝道を白日の下に晒してきた第一人者が札幌住の現在も3件の訴訟を闘い続ける旧統一教会の不俱戴天の敵ともいうべき郷路征記弁護士(全国霊感商法対策弁護士連絡会代表世話人)である
ジャーナリストの本田信一郎のインタビューにこう答えていた。 
     
"洗脳"手法を徹底研究、旧統一教会『伝道の違法性』を追及した第一人者の終わらない闘い
 
●信仰の自由侵害を提起した弁護士はただ一人
――(旧統一教会の伝道・教化活動は)社会的にみて相当性が認められる範囲を逸脱した方法及び手段を駆使した、原告らの信仰の自由や財産権等を侵害するおそれのある行為であって、違法性があると判断すべきものである――。
これは郷路征記が1987(昭和62)年3月に提訴した「青春を返せ訴訟」(郷路本人が命名)で、2001(平成13)年6月に言い渡された札幌地裁判決の一部である。2003(平成15)年に被告である旧統一教会の控訴は棄却、上告も棄却されて確定した。
この訴訟以降も、郷路は一貫して旧統一教会の伝道・教化活動が、被勧誘者である国民の自主的、主体的な信仰選択を侵害する不法行為であることを立証し、そして、勝訴してきた。
ところが、安倍元首相銃撃事件以降、聞こえてくるのは霊感商法・高額献金・合同結婚式といった1980年代から1992(平成4)年をピークとする「騒動」の繰り返しのような視点の言葉ばかりで、冒頭の判決を踏まえた違法性の議論がなされていない。
どうも政治家は「ささいな接点」にせよ、憲法違反といえる違法行為を是認しているに等しいということの自覚がないようだ。空疎というほかない。
「実に見事に抜け落ちてますね。信仰の自由が侵害されているという裁判をやっている弁護士は僕ひとりですから」と穏やかな表情で郷路はいう。
「現在、2世信者、宗教2世の苦悩がクローズアップされていますが、たとえば、その子どもたちが旧統一教会に損害賠償を求めることを考えた場合には、親自身が違法な伝道・教化によって信仰を持たされたというところを出発点にしないと責任の追及はできないんです。
そこを問題にしないと苦しみの根源を問うことはできずに、単なる毒親問題になってしまう。それでは旧統一教会は痛くも痒くもないし、問題の本質に迫ることはできません」
●加害者になった元信者は涙を流して自責の念を語った
郷路が旧統一教会と接点を持ったのは、高額献金の返還交渉だった。時は1980年代になって霊感商法被害が急増した頃である。その後、脱会に伴う人身保護請求に関わり、手探りで資料や証言を収集する過程で、ひとりの元信者と出会う。
「25、6歳だったかな、霊感商法の中核を担わされ、霊能師として因縁トークをして壺を買わせていた女性でした…。涙です。滂沱(ぼうだ)の涙ですよ。顔を伏せるのでも、拭おうとするでもなく、涙が流れるまま話し続けました。犯罪行為を正しいこととしてやっていた自責の念に痛烈に苦しんでいたのです」
そして、郷路は旧統一教会が如何に周到な段階を踏んで信者を隷属させ、人生を収奪しているのかを知り、「こんなこと絶対に許せないと思った」という。
発火点を得た郷路は、元信者1名を原告に1987(昭和62)年3月、札幌地裁に提訴する。霊感商法は公序良俗違反の不法行為であり、伝道・教化活動を洗脳による人格破壊と構成して100万円の慰謝料を請求した。
この時、旧統一教会の反応として伝わってきたのは「変な訴訟を起こされたよ、慰謝料請求だぜ」という嘲笑だった。また、多くの弁護士からは「裁判所がそんな請求を認めるわけがない」「珍訴、奇訴の類」といわれた。――自ら信者になっていたのだし、むしろ霊感商法の加害者なのだから慰謝料請求は無謀――ということである。
ちなみに、同年9月に日弁連は霊感商法の被害状況(総額57億円)を発表したが、旧統一教会との関連は示唆するにとどまっている。
郷路はひとりだった。しかし、必ずしも孤立無援ではなかった。「元信者との『マインドコントロール研究会』を始めました。10名くらいで毎週土曜日の2~3時間、18カ月続けたので相当の延べ人数です。海外の文献と自身の教化課程を照らし合わせると、重なる点が次々に見つかり『自分は騙されていたんだ』ということがよく分かる」
「すると『私は悪くない』と思えるからリハビリにもなりました。それに、内部資料や教化講義の板書を写したノートなどの伝道課程の事実を全部、極力集め抜いた。それが大きかった」
●控訴委任状を携えて臨んだ判決は全面勝訴
原告は提訴からおよそ4年間で20名になった。そして、2001(平成13)年6月、一審の判決を迎えた。
「裁判官の態度も硬化している感じでしたし、『これは勝てないな』と思って、控訴審の全員の委任状を懐に忍ばせて、叩きつけてやろうと思って判決に臨んだんです。そしたら、全面勝訴だった。びっくりしました。ものすごく嬉しかったですね」
だが「判決文では『信仰の自由や財産権等を侵害するおそれのある行為』というけれど、原告は現実に旧統一教会員になっていたのにとは思いました。しかし、僕も何故その信仰を植え付けられるのかというメカニズムは、まだ十分に主張できてはいなかった。承諾誘導の技術だけでは説明しきれない。
ですから、裁判所もそこは何も触れないで、伝道・教化の最初の段階で正体を隠していることが信仰の自由を侵害するおそれのある行為だから不法行為だとした。それはそれで当時の裁判所の書き方としては大英断だったと思います。50万字の判決文でした」と振り返った。
提訴からこの判決までのおよそ14年間で、旧統一教会「騒動」は鳴りを潜め、取って代わるようにオウム真理教が注目され、果ては地下鉄サリン事件が起き、マインドコントロールやカルトが認識されるようになる。
郷路は「オウムを隠していない伝道・教化課程を違法だといえるのか、でも、そこを違法だといわない限りはやはり救われないのではないかと考えていました。世間の関心がどう移ろうとも、問題意識がずれることはありませんでした」という。
●第2弾の判決は「憲法の理念を基に評価、判断している」
郷路は旧統一教会の上告が棄却された翌2004(平成16)年、元信者40名と、その元信者に勧誘されて物品を買わされた近親者を含む23名を原告に、およそ6億5000万円の損害賠償請求を提訴した。今回の郷路の命名は「信仰の自由侵害回復訴訟」だった。
2012(平成24)年3月の札幌地裁の判決のポイントは
ーー信仰による隷属は、あくまで自由な意思決定を経たものでなければならない。信仰を得るかどうかは情緒的な決定であるから、ここでいう自由とは、健全な情緒形成が可能な状態でされる自由な意思決定であるということができる――
――旧統一教会の場合、入信後の宗教活動が極めて収奪的なものであるから、宗教性の秘匿は許容し難いといわざるを得ない――
であり、「青春を返せ訴訟」で指摘された正体を隠した勧誘・伝道はもとより、被勧誘者が「ミス認定」する内心に踏み込んでいる。
郷路は「僕はたこつぼの中にいたようなもので、内部文書や原告の証言を練り上げたのですが、裁判官は一神教の信仰を得る過程という視点から、僕の資料を切開して解明してみせたんです。論理ではなく情緒なんだと。だから正体を隠して統一原理を教義としてではなく事実として教えられると、より浸透させられてしまう。
因縁や迷信も繰り返されると、それが事実と思ってしまう人が一定の割合でいるという認定です。それに、直接的な適用はありませんが、憲法の理念を基に評価、判断している判決だと思います」という。
そして、およそ2億7000万円の支払いが命じられた。「実損とされた部分は全部認められました。慰謝料の計算もとても細かい分類をしてきちんと積み上げていて、最高額は750万円くらいです。遅延金を加算すると総額でおよそ4億4千万円になります」と郷路は判決を高く評価した。
「青春を返せ訴訟」と「信仰の自由侵害回復訴訟」の両確定判決で明確になったのは、『旧統一教会の伝道・教化活動は、対象者の思想信条の自由を侵害する違法行為である。伝道・布教や物品販売を行っているのは信徒会などの任意、協力団体等ではなく、旧統一教会そのものである。献金や物品購入だけでなく、献身(隷属)させられて旧統一教会の事業に専従したことは損害であり、慰謝料の加算事由である』であった。
●次なる戦場は東京へ 違法伝道訴訟を広げるために
2017(平成29)年から、札幌のみならず東京地裁と前橋地裁で同様の「違法伝道訴訟」を提訴した意図を、郷路は少し固い表情でこう語る。
「(違法伝道訴訟を)やる弁護士が増えてこないし、その傾向もない。それでは勝てない。旧統一教会のやり方は、霊感商法的手法で脅して透かして信者になる前に金をガバーッと取る。でも、信者になった後なら脅さなくても献金するし、買うんですよ」
「脅すような働きかけがあったことを立証して、個別に返金、賠償を求める勧誘違法型では信者になった後の献金については勝てなくなる。現に旧統一教会は、やり方を変えてきている。従来の請求方法で勝てなくなると、旧統一教会ばかりでなく、カルトといわれるものに対して、国民の権利を守る闘いに大きな損失を被るだろうと…。それを阻止するには『違法伝道訴訟』を広げなければならない。そのためには注目度が高い東京でと考えたのです」
旧統一教会が「違法伝道訴訟」を避けるための最低条件は、勧誘の最初から旧統一教会の伝道活動であることを明確に伝え、信者となった場合にどのような活動に従事することになるかを説明しなければならないが、それは、必然的に信者と献金額の減少に直結するだろう。
しかし、正体を明かした上で信者にするオウム真理教のような例もある。既に郷路の近年の裁判でも「隠してはいない」との反論があったという。それでも、35年前と比して「正体の秘匿だけでなく、伝道・教化課程の違法性についての分析が、かなりのレベルまでいけたというのが変わったところですね」と郷路は自信を覗かせる。
●伝道の違法性が広く知られていれば、安倍氏銃撃事件は防げた
安倍元首相銃撃事件について、郷路は「圧倒的に努力が足りなかった」と自戒する。そして、「伝道・教化の違法性が広く知られ、裁判所や社会に正体隠しの伝道は許されないとの規範があり、山上容疑者の母親の入会を防ぐことができていれば、この悲劇はなかったんです」という。
ここで郷路のいう規範は、カルト規制とは少し違う。
「規制から考えるのではなく、信教の自由をどう守っていくかという視点で考えれば良いと思います。国民は個人として、圧倒的な力量を持っている宗教集団の勧誘行為に対峙する立場に置かれているわけですから、十全な間違いのない判断ができる環境をどうしたら整えられるかという視点です」
信仰は自分の責任で持つのだから放置して良いというのは見直さなければならないでしょう。人間はそんなに強くはない。他の影響を受けるものです
そして、郷路は続けて自身の立ち位置を語った。
「僕の場合は旧統一教会の伝道・教化課程についての具体的な知識を持たないと、信仰の自由を守るためにはどうしなければならないかの解は出てこなかった。それは、すべての問題集団も同じだと思います」
「事実関係を精査し、理解した上で、信仰に至る過程で、国民の信仰の自由が守られているか、守るためにはどう考えるべきかという視点で洗い直して行く。その作業が必要なのだと思います」
弱者に寄り添い続けている郷路は、一息つくと、「正体を隠して騙すなんてのがどうして許されるのか、どうしてそんなことが違法だといわれるために民事の裁判で何十年も努力しなければならないのか…」と、珍しくぼやいた。

岸田文雄も当初は「信仰の自由は憲法で保障されている」と、あたかも旧統一教会の活動を庇うかのような発言をしていたが、実際には旧統一協会の伝道・教化活動そのものが、国民の思想信条の自由を侵害する違法行為であるとする判決が確定しているという事実をもっと広めなければならないのだろう、とオジサンは思う。  
   
    

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