新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

国を守るのは大軍拡ではなく食料安定供給だろう

2025年02月18日 11時48分13秒 | 石破茂政権

NHKでは日中に国会中継を放映しているのだが、毎日働いているはほとんどの国民は見ることができない。
 
その点政党として機関紙を持っており豊富な取材減がある共産党の「赤旗」は商業マスメディアにはできない貴重な記事を出してくれる。
 
[“軍拡暴走内閣”の姿浮き彫りに 志位議長が追及 首相「軍事費2%超も」明言衆院予算委
 

日本共産党の志位和夫議長は17日の衆院予算委員会で、石破茂首相が7日に行った日米首脳会談で、現在の大軍拡にとどまらず、2027年度以降の大軍拡までトランプ米大統領に勝手に約束した問題を徹底追及し、“軍拡暴走内閣”の姿をうきぼりにしました。
政府が22年12月に閣議決定した「安保3文書」の「防衛力整備計画」は、23~27年度の5年間で軍事費を43兆円に増額した上で、「27年度以降、防衛力を安定的に維持する」としています。ところが日米首脳共同声明は「27年度より後も抜本的に防衛力を強化していく」と明記しました。
 志位氏は「防衛力の『維持』から『抜本的強化』に勝手に変えたのはなぜか」と追及。首相は「安保3文書」の「国家防衛戦略」で、「防衛力の抜本的強化は、将来にわたり、維持・強化していく必要がある」などと記述されているとして、「何も新しいことは言っていない」との開き直りを繰り返しました。
 志位氏は「国家防衛戦略のどこにも、『27年度より後も抜本的に防衛力を強化していく』とは書かれていない。防衛力の『安定的な維持』と『抜本的な強化』は、全く違う話だ」と批判。さらに、「安保3文書」は27年度までの5年間で「防衛力を抜本的に強化」し、その後は「27年度の水準を基に安定的かつ持続可能」に行うとしていることを挙げ、日米共同声明とは「明らかに整合しない」と追及しました。石破氏は同じ説明を繰り返し、答弁不能に陥りました。
 志位氏は、「説明ができない。つまり軍事費の増額を求めているトランプ氏の前で、『安保3文書』の根幹部分を勝手に書き換えたということだ。こんな重大なことを国会に諮らず、閣議決定すら行わずに約束する。許しがたいことだ」と批判。「政府は27年度までの5年間で、軍事費をGDP(国内総生産)比1%から2%へと空前の大軍拡を進めている。そのうえ27年度以降も『防衛力の抜本的強化』の掛け声で大軍拡を進めたら、32年度には、2%から4%になってしまう」と指摘しました。首相は「必要であれば2%を超えることもある」と述べ、軍事費が2%超になる可能性を初めて認めました。
 志位氏は、「大軍拡によってすでに暮らしの予算が圧迫されている」として、大軍拡が始まる前の22年度予算と25年度予算案を比べると、軍事費だけが4・2ポイントも構成比を増やす一方、社会保障、文教・科学などはマイナスで、高額療養費の上限引き上げ、大学の学費値上げなど、暮らしの予算が削りに削られていると指摘しました。
 さらに、25年度予算案では軍事費だけが前年度比9・5%増の一方、社会保障、文教・科学、中小企業対策費は物価上昇に追いつかない実質マイナスとなっており、食料安定供給費にいたっては、米の価格高騰でも実額でマイナスになっていると指摘しました。
 志位氏が、「この軍事費の突出ぶり。総理は異常と思わないか」とただすと、首相は、「他国を侵略するものはない」「軍拡という意識を持ったことは一度もない」と答弁。志位氏は、「異常な予算を異常といえないあなたが異常だ」とピシャリ。長射程ミサイルを大量に購入しようとしていることを指摘し、大軍拡の中止と、外交の力で東アジアに平和をつくるとりくみを強く求めました。

  
衆院予算委 志位議長の質疑内容・全文
 
志位 パレスチナの人々をガザから強制移住させるなどということは絶対にあってはならないとの認識はあるか
首相 合衆国としてそういう決定をしたという事実を承知していない
志位 あまりに卑屈な態度だ。「法の支配」を説く資格を失う
 志位 私は、日本共産党を代表して総理に質問をいたします。
 米国・トランプ新政権に対して日本がどう向き合うのかについて、二つの点にしぼって総理の見解をお聞きしたいと思います。
 一つは、パレスチナ・ガザ地区の住民を強制移住させ、米国が土地を「長期的に所有」するというトランプ大統領の発言に対する対応です。国際社会が人道支援と停戦の恒久化のために全力を尽くすべき時に、イスラエルのジェノサイドによって傷つき、疲れ果てた人々を追放し、観光地にするというのは、あまりにもおぞましい構想です。こんな主張が許されるならば、法の支配に基づく国際秩序が根底から壊されることになってしまいます。
 そこで総理にうかがいます。国連憲章は力ずくで領土を取得することを禁止しています。
 戦時の文民保護を定めたジュネーブ条約は、占領地域から住民を強制移送することを理由のいかんに問わず厳しく禁止しています。トランプ氏の主張が、国連憲章と国際法に違反することは明瞭だと考えますが、総理にはそうした認識はありますか。端的にお答えくださ。
 首相  トランプ大統領の発言は承知をいたしております。その後、国務長官が、いやいや、そうではなくて大統領の真意はそうではなくて、その間、復興に対していろんな工事なんかしなければなりません。その間に、ガザの住民の方々がそこに住まうことはできないのでという発言をいたしておりますが、ことほどさようにアメリカの国内の議論がまとまっておるとは承知をいたしておりません。わが国としてイスラエルと将来独立したパレスチナ国家とが、平和かつ安全に共存する2国家解決ということを支持すると、こういう方針には何ら変わりがないものでございます。
 ジュネーブ条約も含めまして、国際法に合致した行動確保がとらねばならないのは当然のことでございまして、それぞれの国が取っている行動が国際法に照らしてどうなのかということについての考察は常にわが国として行ってまいります。
 志位 (国際法違反かどうかを)「コメントしない」という答弁だったと思うんですね。
 国務長官がいろいろ言っているということですが、トランプ氏の発言は一貫しているんです。こんな明瞭な国際法違反にコメントしないでいいのか。
 パネルをご覧ください。
 

 
これはトランプ発言に対して国際社会からあがっている批判です。国連事務総長、パレスチナ、ヨルダン、ドイツ、フランス、カナダ、ブラジル、中国、インドネシア、マレーシア、ASEANなどから、「国際法違反」「強制退去反対」など厳しい批判の声が広がっています。こうしたもとで、総理がコメントを回避するというのは、情けない態度と言わなければなりません。
 総理自身の基本的認識をシンプルに問いたい。パレスチナの人々をガザから強制移住させるなどということは絶対にあってはならないことだという認識はありますか。はっきりお答えいただきたい。
 首相  先ほど申し上げましたように、合衆国としてそういう方針を決定したという事実を私として承知はいたしておりません。
 志位 トランプ氏がネタニヤフ氏との会談で強制移住を明言したわけであります。私は、トランプ氏のご機嫌を損ねることは、どんな無法なことであっても口をつぐむというのは、あまりに卑屈な態度と言わなければなりません。それでは日本が世界に向かって法の支配を説く資格を失うことになります。今からでもトランプ氏に発言の撤回を強く求めるべきだということを言いたいと思います。
トランプ発言批判できず
首相 あまりに卑屈な態度
 日本共産党の志位和夫議長は17日の衆院予算委員会で、パレスチナ・ガザ地区の住民を強制移住させ、米国が土地を「長期的に所有」するというトランプ米大統領の発言は、力ずくで領土を取得することを禁じている国連憲章にも、占領地域から住民の強制移住を厳しく禁止しているジュネーブ条約にも違反していると指摘し、石破茂首相の認識をただしました。
 首相は「米国内の議論もまとまっていない」として評価を避けました。
 志位氏はさらに、トランプ氏の発言に対して国際社会から「国際法違反」「強制退去反対」など厳しい批判の声が広がっていることをあげ、「強制移住は絶対にあってはならないという認識はあるか」と追及しました。首相は「(米国が)そうした方針を決定した事実はない」として、再び評価を避けました。
 志位氏は、「トランプ氏のご機嫌を損ねることは、どんな無法なことでも口をつぐむというのは、あまりに卑屈な態度だ」「それでは日本が世界に向かって法の支配を説く資格を失う」として、発言の撤回を強く求めるよう訴えました。
志位 27年度以降、防衛力を「維持」から「抜本的強化」に勝手に変えたのはなぜか
首相  読み方が違う(説明できず)
志位 説明になっていない。「安保3文書」のどこにも「27年度より後も抜本的に防衛力を強化していく」などと一言も書かれていない
 志位 次に進みます。いま一つの問題は、総理が先の日米首脳会談で発出した日米共同声明で、「日米同盟の抑止力・対処力をさらに強化していく」と宣言した上で、「2027年度より後も抜本的に防衛力を強化」していくことを約束したことです。これは極めて重大です。
政府が22年12月に閣議決定した「安保3文書」の「防衛力整備計画」では、23年度から27年度までの5年間で軍事費を43兆円増に額する大軍拡を行ったうえで、「27年度以降、防衛力を安定的に維持する」と明記しています。ところが共同声明では「2027年度より後も抜本的に防衛力を強化していく」となっている。「維持」から「抜本的強化」に勝手に変えたのはなぜですか。理由を説明していただきたい。
 首相  それは読み方が違うと私は思っているのです。つまり、現行の「国家防衛戦略」をよくお読みいただきたいんですが、そこになんて書いてあるかというと、「防衛力の抜本的強化は、将来にわたり、維持・強化していく必要がある」と明文でこのことを定めておるところでございます。戦略3文書は防衛力を抜本的に強化しつつ、これを安定的に維持する、こういうことを申し述べているのでございまして、維持から抜本的強化に変えたものではございません。この言葉は従来から申し上げているものであって、今回特に新しく出たものではないことは、みなさま、ご理解をいただけることだと思っております。
 わが国のまわりの安全保障環境がここ数年極めて悪くなっているということについて、われわれはどう考えるか。それは、アメリカに頼めば大丈夫よというようなことだと私は一切考えておりません。わが国の防衛力を抜本的に強化をし、それを維持していくというのは、わが国の確固たる方針でございます。
 志位 私は「維持」から「抜本的強化」に変えたのはなぜかと聞いたんですが、説明になっておりません。総理が今読み上げた「国家防衛戦略」のどこにも、「27年度より後も抜本的に防衛力を強化していく」などということは書かれておりません。現行の「安保3文書」では「27年度以降、防衛力を安定的に維持する」と明記しているのであって、「安保3文書」のどこを探しても「27年度より後も抜本的に防衛力を強化していく」などということは一言も書かれておりません。「防衛力を安定的に維持」と「抜本的に防衛力を強化する」――誰が読んでも全く違う話じゃないですか。説明してください。
 首相  今のままで十分だと私は思っておりません。抜本的に強化をし、その水準を維持するという努力はしていかねばなりません。防衛力は単にお金だけ増やせばいいというものではございませんので、これを強化し維持するだけでも大変なことだと思っております。はっきり申し上げておきますが、わが国としては防衛力をさらに強化する必要がある、それが現下の安全保障環境からみて当然のことであり、そのために努力をすることは政府の責任だと認識をいたしております。 

志位 まったく説明になっていない。閣議決定された「安保3文書」では、27年度までの5年間で防衛力整備を「集中的に実施」し、「防衛力を抜本的に強化」する。その後の防衛力整備は「27年度の水準を基に安定的かつ持続可能」に行うとしています。すなわち、27年度までの5年間で防衛力を抜本的に強化し、27年度以降は「防衛力を安定的に維持」するというのが閣議決定なんですよ。27年度以降は「安定的に維持」するという閣議決定と、「抜本的に強化」するという日米共同声明が、明らかに整合しないではないかということを聞いている。答えてください。
 首相  すいません、手元に原本を持っておりませんが、今の「国家防衛戦略」におきまして、「防衛力の抜本的強化は、将来にわたり、維持・強化していく必要がある」というふうに明示をいたしておると考えております。
志位 27年度より後も「防衛力の抜本的強化」の掛け声で大軍拡をすすめたら、32年度には軍事費はGDP比4%になってしまう。GDP比2%を超えることは絶対にないと言明できるか
首相  必要であれば2%を超えることはある
志位 2%超の発言はたいへん重大だ。米国が軍事費増を要求してきたとき、何もいえない首相に拒否ができるわけがない
 志位 将来にわたって維持・強化していくと書いてあるだけで、27年度以降も抜本的に強化するとは書いてないじゃないですか。これは非常に重大な問題で、3回聞いても説明できない。
 つまり、軍事費のさらなる増額を求めているトランプ氏との間で、あなたは「安保3文書」の根幹部分を勝手に変更した。書き換えたってことですよ。こんな重大なことを国会にも諮ることなく、閣議決定すら行わずにアメリカに約束する。許しがたいことであります。
 政府は今、「防衛力の抜本的強化」の掛け声で 27年度までの5年間で軍事費をGDP比1%から2%へと2倍にする空前の大軍拡を進めています。そのうえ、さらに27年度より後も「防衛力の抜本的強化」の掛け声で大軍拡を進めたら、32年度には軍事費はGDP比2%から4%になってしまう。総理に聞きます。27年度以降、GDP比2%を超えることは絶対ないと言明できますか。
 首相  「将来にわたり」と書いてありますのは、当然27年度を含むものでございまして、そこに全く矛盾はございません。当然のことでございます。必要であれば2%を超えることはございます。必要でなければそのようなことはいたしません。数字ありきではなくて、安全保障環境をきちんと踏まえましたうえで 陸海空、必要なものを積み上げた結果として、その数字があるものでございまして、数字から逆算するなぞということをやるつもりはまったくございません。ただ、現状において防衛力を急いで抜本的に強化をしなければ、わが国の独立と平和を守ることはできないというふうに考えておりまして、それは単に兵器を買うことを意味しておるものではございません。先ほど防衛大臣が答弁をいたしましたように、人的基盤の強化というものを合わせて、図っていかなければならないのは当然のことでございます。
 志位 GDP比2%を超えることはあり得ると言ったことは、たいへん重大です。そして、「将来にわたって」と書いてあるとおっしゃいましたけれども、27年度以降は「安定的に維持する」というのが閣議決定なんですよ。それとの不整合を説明できなかった。
 トランプ大統領はNATO諸国に対して、GDP比5%の軍事費を要求しています。新しく国防次官に指名されたコルビー氏は日本に対して GDP比3%の軍事費を要求している。そうなった時に、ガザ問題一つ取ってもトランプ氏の顔色をうかがって何も言えない総理に拒否できますか。できるわけありません。
志位 物価高騰が続き、国民が苦境に追い込まれているもとで、軍事費の突出ぶり、異常だと思わないか
首相  軍拡だと思っていない
志位 異常といえないあなたが異常だ。平和も暮らしも壊す大軍拡の中止を求める
志位 大軍拡によってすでに暮らしの予算が圧迫されています。パネルをご覧ください。大軍拡が始まる22年度予算と25年度予算案の主要経費の構成比の変化です。防衛費・軍事費だけが4・2ポイントも構成比を増やす一方、社会保障、文教・科学などの暮らしの予算はすべてマイナスとなっています。軍事費の膨張によって、高額療養費の上限の引き上げ、大学の学費の値上げラッシュなど、暮らしの予算が圧迫され、削りに削られている。
 もう一つのパネルをご覧ください)。25年度予算案の主要経費別の前年度比伸び率です。防衛費・軍事費だけが9・5%増になっている。社会保障、文教・科学、中小企業など暮らしの予算は物価上昇にも追いつかない実質マイナスの予算です。食料安定供給費にいたっては米の価格が高騰しているもとで、実額でもマイナスですよ。物価高騰が続き、国民が苦境に追い込まれているもとで、この軍事費の突出ぶり、総理は異常だと思いませんか。どうでしょう。
首相  私どもはこれを軍拡だとまったく思っておりません。いかにしてこの激変する安全保障環境に対応し、わが国の独立と平和、国民の生命・財産を守るかということの結果として数字が出てくるものでございまして、最初から数字ありきではございません。
 そして、志位委員も長いご経験でご存じのことかと思いますが、わが国の装備品、あるいは防衛法制、運用構想、どれを取りましても、他国を侵略するようなものにはまったくなっておりません。装備品だけで判断をするのではなくて、その装備品一つの内容もそうです。それを動かす防衛法制もそうです。自衛隊の法制が何のためにポジリストになっているのかということはよくご認識をいただきたいと思います。運用構想もそうでありまして、私どもが軍拡などという意識を持ったことは一度もございません。
 志位 この異常な予算を異常といえないあなたが異常だということを申し上げておきたいと思うんですね。それで、「軍拡と思っていない」と。驚きました。それで、「侵略的な兵器ではない」、こうおっしゃるけど、長射程ミサイル、たくさん買おうとしているじゃないですか。

 私は、平和も暮らしも壊す大軍拡の中止を求めます。外交の力によって東アジアに平和をつくる取り組みこそ政治の責任だということを申し上げて終わります。



   
そもそも軍事オタクの石庭茂に対して、「軍事軍事費は増加増大」と追及してもまさに「カエルの顔に・・・」であろう。
 
ところで今朝の情報番組ではコメの小売価格の高騰対策として農水省がようやくおそまきながら備蓄米の放出を決めたというニュースをながしていたが、現実的には直接小売業者(スーパー等)にわたるわけではなく間に小規模業者が高値で買い集め、一部の農家も販売を遅らせている状況が続いているのが価格高騰の元凶である。
 
米の“高騰”に思うこと。そもそも米価が安すぎて経済性が成り立たぬ米作り(想田和弘)
 
米の価格の高騰を受けて、農林水産省は備蓄米をできるだけ早く放出する方針を示した。
 政府の備蓄米は、これまで大凶作や災害の際だけに放出できるものだった。しかし農水省は先月、その運用を見直して、流通が滞っていると判断された際にも一時的に放出できるようにした。
 たしかに、主食の価格が上がるのは困ったことではある。だからそれに対して政府が急いで対応することは、必要なことなのかもしれない。
 だが、僕はこのニュースを複雑な心境で受け止めた。なぜなら農家からは、そもそも米価は安すぎて経済性が成り立たず、米作りの継続が難しいとの悲鳴が聞こえてくるからだ。
 たとえば『週刊金曜日』1月10日号に掲載された、米農家で映画監督の安田淳一氏のインタビューによると、2024年産の米の相対取引価格は一俵(60キログラム)あたり2万3820円で過去最高を記録したという。相対取引価格というのは、JAなどの出荷団体と卸業者との取引価格のことである。
 しかし安田氏いわく、それでも値段が安すぎるという。たとえば政府が一俵を6万円で買い上げて、市場には2万円で卸すというような措置を取らない限り、離農は食い止められないだろうともいう。
 「一俵6万円で政府に買い上げられたとしても、うちの場合、1町3反で60俵とれたとして360万円。そこから農機の償却代や肥料代、燃料費とか引いていくと残るのはおよそ200万円。新卒給料より安い」
 一俵6万円だとしてもそのくらいの利益しかあがらないとは、驚くばかりである。
 しかし現状では、一俵2万3000円強で「過去最高」と騒ぐほど、米価は安い。いや、コロナ禍の際には1万円を切ることも珍しくなかったそうだ。
 2024年9月9日の朝日新聞デジタルによると、農林水産省が発表している営農類型別経営統計で、主に水田で耕作している農家の農業所得の平均が、21、22年と2年続けて1万円だったという。目を疑ったが、読み間違いではない。年間1万円である。年間の平均の労働時間は約1000時間なので、これを時給に換算すると10円になってしまう。
 年金生活の人が趣味で田んぼをするのならまだしも、仕事として米作りをするのは無理である。実際、2020年の米農家の平均年齢は68.9歳と、高齢化が進んでいる。
 この現実に触れたとき、「漁師さんと一緒だな」と思った。
 牛窓で拙作『港町』(2018年)を撮ったとき、当時86歳の漁師・ワイちゃんは「魚をとるための道具はどんどん高くなるのに、魚の値段はどんどん下がる。だから(経済的に)合わんようになった」と嘆いていた。
 だから現役の漁師さんはどんどん引退するし、漁業を継ぐ若い人はほとんどいない。拙宅の目の前の港には、かつて漁船が所狭しとひしめいていたそうだが、今では漁船はポツン、ポツン、と数隻しか残っていない。
 米を主食とし、海産物の豊かさを誇るこの国から、米農家が消え、漁師が消えつつあるのだ。
 当たり前のことだが、私たちは、食べ物なしには生きていけない。
 現代では、電気やパソコン、携帯電話やインターネットなども生活必需品と言われているが、その“必要度”は食べ物にはまったく敵わない。人類は電気やパソコン、携帯電話やインターネットが発明される前も、子を産み育て、生存し続けてきたが、食料が途絶えていたら絶滅していたはずである。食料は私たちの命そのものとも言える。
 にもかかわらず、食べ物を作ったり獲ったりする人たちは、その仕事で生計を立てることが難しいのである。社会から、私たちから、第一次産業の仕事が軽く見られていて、不当に冷遇されている。一方で、第二次・第三次産業で成功したほんの数人の人たちが、世界の富の大半を独占している。
 この不条理をいったいどう理解したらよいのか。いったい何がどこでどう間違って、こうなってしまったのか。
 だれも耕さなくなった田んぼに次々とソーラーパネルが建てられていく風景を眺めながら、僕は頭を抱えている。
 頭を抱えるだけならまだいいが、このままでは世界から第一次産業に従事する人が消え、食べ物も枯渇してしまうのではないか。
 そういう暗い予感を抱いている。

  
 『消えた』コメ、続く高値…備蓄米21万トン放出の効果は? 主食を国民に届ける政府の責任が問われる事態に」という記事によれば「コメ農家「時給10円。大半が大赤字」 離農、転作が加速」というかつての自民党の「農家に規模拡大や効率化ばかりを推奨し、中小規模の農家の実情を見ていない」将来を見据えていなかった誤った政策のツケなのであろう、とオジサンは思う。 

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