沖縄県民の民意を無視してまで、遮二無二辺野古沖の埋め立てに突っ走る安倍政権。
有無を言わせずの姿勢は、既成事実を積み上げて権力の圧倒的な強さを見せつけ県民を諦めさせる意図が明らかである。
「沖縄には沖縄の、国には国の民主主義がある」と頓珍漢な持論を岩屋毅防衛相が開陳したのは1か月前だった。
いまさらその珍論とも言える内容をあげつらったところで時間の無駄なのだが、いくら民意を無視しようが埋立地の軟弱地盤の事実は無視できない。
◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇
<辺野古 軟弱地盤 深さ90メートル 強度基準下回る>
2019年3月28日 朝刊 東京新聞
沖縄県名護市辺野古(へのこ)の米軍新基地建設を巡る軟弱地盤問題で、海面から90メートル地点の地盤強度が「非常に固い」とする基準値を大きく下回っていたことが、防衛省の調査結果から分かった。防衛省はこの調査は「信頼度が小さい」として評価に入れず、別の地点での調査結果から類推し「海面下70メートルまで地盤改良すれば、安定的な施工が可能」と結論づけていた。埋め立て推進に不利になる調査結果を意図的に過小評価した疑いが出てきた。 (中沢誠)
海面から70メートルより深い層について、防衛省はこれまで、複数の箇所で行ったボーリング調査で採取した海底の土を室内試験で分析し、「非常に固い粘土層と確認された」と説明していた。よって、深度90メートルまで軟弱地盤が及ぶ「B27地点」も、「非常に固い」と評価していた。
しかし、防衛省が国会に提出した地盤に関する報告書などによると、防衛省が根拠としたボーリング調査は、B27地点からそれぞれ数100メートル離れた3地点で行われ、深さも68~84メートルで90メートルには届いていなかった。場所や深さが違うにもかかわらず、防衛省は「B27地点と土の層が同じ」として室内試験の結果を採用していた。
報告書によると、B27地点ではボーリング調査ではなく、センサーが付いた棒を刺して地盤の特性を調べる「コーン貫入試験」を実施していた。その結果を元に地盤の強度を示すN値も算出されており、海面下70~90メートルは4~9程度だった。
N値は0~4が「軟らかい」、5~14が「中位~固い」、15以上が「非常に固い」に分類される。「構造物の基礎地盤としては20以上が望ましい」とされ、防衛省の説明とは裏腹に基準値を大きく下回っていた。
コーン貫入試験のN値を採用しなかった理由について、防衛省の担当者は取材に「粘土層で測ったN値は信頼度が小さいので、より精度の高い室内試験の数値を評価した」と説明した。
防衛省はB27地点を含む軟弱地盤について、最深で海面下70メートルまで砂の杭を7万6000本打ち込む地盤改良工事により、安定的な基地建設は可能と結論付けた。だが、世界でも海面下90メートルまで地盤改良した実績はなく、現有する作業船の能力では、最大70メートル程度までしか杭打ちはできないという。
◆別地点 理解に苦しむ
<鎌尾彰司・日本大准教授(地盤工学)の話> コーン貫入試験は粘土層など軟弱な地盤の強度を調べるため使う一般的な調査手法。この試験から換算したN値などを設計に生かす例は多い。90メートル地点のデータを使わず、別の地点のデータを引用するのは理解に苦しむ。
◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇
「90メートル地点のデータを使わず、別の地点のデータを引用する」ということは、埋立てに障害となる不都合なデータは使わずに都合の良いデータだけを使うという、まさに統計偽装と根っこは全く同じである。
南スーダンで国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊が、2016年7月11?12日に作った日報がかつて隠蔽されていたという前科がある防衛省であるので、またもやか、と非難されても当然である。
このような事実を政府側にタイムリーに伝えていたのかが問われていた。
「菅長官、辺野古めぐり矛盾 報告3日後『承知してない』」
朝日「菅長官、辺野古めぐり矛盾 報告3日後『承知してない』」
— 尾張おっぺけぺー (@toubennbenn) 2019年3月26日
→https://t.co/cbHpfGs2Bh
を動画にまとめました。
1月21日には「承知してない」と述べていたのに、昨日の国会では「1月18日に知っていた」と答弁しだした菅さん。
どっちの菅さんが嘘なんでしょうね。
最後におまけつけときました。 pic.twitter.com/k1LEYgBQgI
見苦しい菅義偉官房長官の醜態である。
同じ醜態という点ではこの男の右に出る者はいない。
国会中継
— 但馬問屋 (@wanpakutenshi) 2019年3月27日
森ゆうこ議員
6年もやってて、前の政権のことを批判したり、異次元の金融緩和をやってて、まだこれからなのか?一体いつ、経済の結果を出すのか。国民の生活は一体いつ良くなるのか?
安倍首相
まさに我々が政権交代してからは、プラスに転じているんですねー。
この人ダメだわ、まさに😩 pic.twitter.com/HYVy7ZD4HI
コメディより面白い国会討論。辺野古・軟弱地盤調査1月18日に報告を受けたスカ、21日の会見で知らないとしらを切った件、森ゆう子「嘘をついたが隠ぺいではないと同じアベリンガルだ」
— yoshita07 (@Harunchan123) 2019年3月27日
軍事省を平和省・戦争は平和だで有名な1984のダブルスピーク。
これが当たり前に通用するシンゾー政権。恐ろしい。 pic.twitter.com/CkJ5aS2CV5
世の中では、嘘をついてバレたならば、謝ることが大切だと、幼稚園児の頃から教えられているはずである。
菅義偉官房長官にしても安倍晋三首相にしても、国民が気が付かなければ「嘘は付き通し」、ばれたら、「隠すつもりはなかった」と平然と強弁してしまうという恐ろしさ。
やはり、どこから見てもまともな感覚を持ちあわせていないようである。
「内田樹と白井聡、気鋭の学者2人が安倍首相を【人格乖離】【インポ・マッチョ】と徹底批判」という記事から、2人の発言を紹介しておく。
【内田樹】
「安倍首相はたぶん人格乖離しているんだと思います。本人を知っているという人から聞くと、とってもいい人なんだそうです。でも、それが政治家になるとまるで別人に変わる。ということは、政治家の方の人格がかなりの部分まで演劇的に構築されたバーチャル・キャラクターだということです」
「生身の自分の弱い部分を切り離して作ったバーチャル・キャラクターだから、やることが極端なんです」
「発言が極端に振れて、空気を吸うように食言できるのは、内的葛藤がないからです。そのつど『この局面ではこの台詞』というのが決まっていて、決めの通りにしゃべっている。ああいう家柄ですから、きっと子どものころから自分の個性や欲望は抑えてきたんでしょう。どこの学校に行くか、どこに就職するか、いつ父親の秘書になるか、いつどの選挙区から立候補するか、全部あらかじめ決められている。そういうがちがちに決めつけられた環境を生きてきたわけですから、生身の自分は身体の奥の方に押し込められて出てこない」
「かつての『対米従属を通じての対米自立』は一人の人間の中に面従腹背という葛藤を呼び込んだ。だから言うことがわかりにくいものになった。でも、安倍さんは違う。『対米従属』と『アメリカが嫌がることをする権利』がバーター交換されている」
「問題は、従属の代償に受け取るのは『アメリカが嫌がることをする権利』であって、日本の国益ではないということです。(略)本来なら国益と国益のトレードのレベルの話であったものが、国益と(靖国参拝に代表される)私益のトレードの次元に移動している。だからこそ、葛藤がないんです。日本が何かを失って、その代わりに安倍晋三個人が何かを得るという構図ですから、葛藤のしようがない。僕が人格乖離というのはそのような状態のことです」
【白井聡】
「不思議なのは、安倍首相がお父さんの晋太郎さんの話をまったくしないことです。おじいちゃんの岸信介の話ばかりする。たぶん晋三から見て、晋太郎の政治家としてのスタンスは全然男らしくないと映るんでしょう。じいちゃんは本物の男だった、それを受け継ぐんだということなのでしょう。ところが、戦に強いということを誇りにはできない、もう男になれないというのは、戦後日本の所与の条件なんですよね。軍事的にインポテンツであることを運命づけられている」
「それで、インポ・マッチョというのが一番性質が悪い。自分がインポであるというのを何がなんでも否定する。それが敗戦の否認ということの言い換えなのですが。そういう人間は首尾一貫しないことをやる」
「安倍さんの最近の憲法に関する発言を見ていて気持ち悪いのは、(日本国)憲法が大嫌いなはずのくせに褒めることです。『解釈改憲をすることによって、憲法九条の平和主義の精神をより一層実現することができるんだ』などと言うわけですよね。(略)これは憲法に対するレイプですよ。なんでそういうレイプをしたいのかというと、憲法はアメリカの置き土産なわけですから、アメリカの分身ですよね。そのアメリカの分身をアメリカの命令によってレイプするという奇妙奇天烈な状況にある。世界最強の軍隊の活動に自衛隊を差し出せば世界最強軍団の一部になれるってわけです。これはつまり、アメリカというバイアグラを飲んで無理矢理勃たせるということです」
一般でメディア上では言えない上記の発言は、『日本戦後史論』(徳間書店)という対談本の中での発言である。
以下のようなブックレビューがあったことを付け加えておく。
「反安倍で有名な内田樹。しかし、この作品は、支持安倍の人も反安倍の人も、また、私のように歴史の知識がない人でも読んでいて大変面白い作品だと思う。それはもしかしたら、対談相手の白井聡のお陰かもしれない。何事も反対すると感情論になると言うが、この作品は、冷静で知性があると言える。そして、私がこの作品で最も好きなところは、内田樹が自身に心理的に「ねじれ」があると言っているところだった。日本の『北朝鮮化』の話題では笑ったが、「ねじれ」を認めているのが好ましい。それにしても、日本に、安倍に、政治に、より知性を求める。」
さて最後に、国会での追及は萎んでしまった感がある森友学園疑惑について、最初に火をつけたテレビ東京でこんな番組が放映されていたので紹介しておく。
録画しておいたテレビ東京「ザ・ドキュメンタリーこのままでは終わらせない…"森友事件"のいま」を見た。
— nazedaro (@nazedaro1) 2019年3月27日
骨太で一切の忖度がない大変素晴らしい番組だった。
これが視聴者の多い時間帯に放送されるようになれば、もう誰も、メディアをダメだとは言わなくなるだろう。#森友事件のいま
このままでは終わらせない…“森友事件”のいま【ザ・ドキュメンタリー】
あらためて、「アベリンガル」な連中は、「このままでは終わらせない」ということである、とオジサンは思う。