「昨年末までの臨時国会は『統一教会国会』だった。年が明けの今通常国会は、思いがけなくも『LGBT国会』の趣を呈しつつある。明らかに、前国会の空気と通底してのこと。まことに結構なことではないか。」と弁護士の澤藤統一郎は先日ブログで書いていた。
たしかに日本国内に限らず「LGBTQ」と言われている人たちは少数派であり「マイノリティー」かもしれない。
だからと言って、国会での岸田文雄のこの発言はあまりにもピント外れの世間知らずの「オボッチャマ」発言であろう。
「首相『私もマイノリティー』 NY生活引き合いに」
「マイノリティーとして過ごした経験が土台になっている」―。岸田文雄首相は8日の衆院予算委員会で、小学生時代に経験した米ニューヨークでの生活を引き合いに、多様性を尊重する立場を強調した。LGBTなど性的少数者に対する考えをただした自民党の宮下一郎氏への答弁。」 |
当然ながら、こんな批判の声が上がっていた。
「マイノリティでも法律上の権利は一緒だったでしょう。法的に同じ権利を認めるかどうかの議論をしてるんだ。」
「どっちかって言うと帰国子女ルーツ自慢。」
「マイノリティとして過ごしたことから特に学んだことはないと主張したかったんでしょうか。」
まあ、我が国のトップがこの程度なので、「首相、LGBT法案成立に及び腰 強硬派の動き見極められず」ということなのだろうが、官房長官までが、「『憲法は同性婚想定せず』 松野官房長官が見解」とこんな時だけ「憲法」を持ち出す体たらく。
仮に法案が議員立法で成立したところで「法的効力がない」「骨抜き法」になる可能性が大きいと予想される。
「同性婚を認めるつもりがまったくない岸田首相、これも壺カルトの影響か?社会の変化を受け入れない人物が低支持率のまま首相を続ける不幸」となるのかもしれない。
さて、今朝の東京新聞のコラムにこんなことが書かれていた。
「<コラム 筆洗>ワシが子ヒツジをさらって飛び去る場面をカラスの子どもが見て…」
ワシが子ヒツジをさらって飛び去る場面をカラスの子どもが見ていたそうだ。あれぐらいのことは自分にだってできるだろう。そう考え、カラスは大きなヒツジに襲いかかった▼ヒツジの背中にしがみついたが、もじゃもじゃした毛が足に絡まって動けなくなる。あわれ、カラスはヒツジ飼いに捕まり、羽を切られる。ロシアの作家クルイロフの寓話(ぐうわ)集にこんな話があった。寓話が教えているのは十分な事前調査を怠った無謀な挑戦への戒めだろう▼飛べなくなったカラスに、国産初のジェット旅客機「スペースジェット」(旧MRJ)がどうしても重なる。三菱重工業は長年の念願だった同機の開発から正式に撤退すると発表した▼なかなか飛べぬ飛行機だった。2013年納入の予定は検査態勢の不備などの問題が続出し、納期はたびたび延期に。小型機市場は今後伸びるとの見通しの中での開発だったが、これも怪しくなり、ついに断念とは、技術も見通しも甘い、あのカラスである▼商用運航に必要な「型式証明」取得の難しさや気候変動対策のための設計変更、コロナ禍などもヒツジの毛のように旅客機の足に絡みついた▼開発にあたった技術者もくやしかろうが、事業には一兆円近い開発費が投じられている。公的資金も含んでいる。<寒鴉(がらす)飛びあがりつゝ土を見る>渡辺白泉。用心深く足元を見なかった開発がくやしい。 |
オジサンは毎朝、このコラムの冒頭の数行から当日のニュース記事を探すのだが、今朝は「こちら特報部」で「舞い上がれなかった国産の翼」とまるでNHKの「朝ドラ」のタイトルのような特集記事であった。
三菱重工の国産ジェット旅客機開発に関しては、すでに2020年11月8日付でこんな記事が出ていた。
「総額1兆円投下のスペースジェット、開発失敗で凍結…三菱重工、正気を失った経営が原因」
期待されていた国産初の日の丸ジェット旅客機の失敗が明らかになった。三菱重工業は10月30日、スペースジェット(旧MRJ)の事業化を凍結することを決定した。 これは時間がかかりすぎて量産初号機の納入を6度も延期しながら形式証明取得のメドも立たず、ビジネスとして成功する自信がないことを認めたものだ。私は専門家としてかなり前からスペースジェットに足りないところを指摘し、ライバル社と競争していくには何が必要かを述べてきた。そして昨年には“すでに勝負あり"とまで言ったが、残念ながら予想は的中した。 ■三菱重工の経営は深刻な事態に 三菱航空機はわずか2年前には2021年3月期に売上高5兆円を目指す中期計画を掲げていたが、2019年度に4646億円の債務超過に陥り、2020年6月末には有利子負債残高は2894億円増えて8877億円に膨らんだ。純現金収支も3395億円の赤字となって親会社の三菱重工の経営基盤をも揺るがす事態となっている。 三菱重工はこれまでスペースジェットの開発費に計約1兆円を投じているが、投資家の不満も大きくなり10月15日に株価は1984年以来、36年ぶりの安値水準となった。このような財務体質になったのは、カナダのボンバルディアのリージョナルジェット機「CRJ」買収に巨額の資金を使ったことも要因である。2020年6月にCRJを買収した資金は約590億円、くわえて約200億円の債務も引き受けるというものであるが、私はどうしてもこの買収の意義を理解できない。 というのも、CRJはスペースジェット開発当初はブラジルのエンブラエルと並んでライバルの航空機であったが、その後需要はどんどん減って世界の航空会社から新規には相手にされない機種となっている。私のある同僚も最近まで乗務していたが、時代遅れと酷評していたくらいである。 ボンバルディアにとってCRJがお荷物になってきたばかりか、こうしたなかで航空機部門から撤退して鉄道部門に集中する戦略に変更したばかりであった。小型機のCシリーズも欧州エアバス傘下に入り、あとはCRJの負の遺産をどう片付けるのかという状況にあった。つまり、三菱側の買収提案はいわば渡りに船であったのだ。 この件について三菱側は、CRJの技術と世界各国のネットワークを利用してスペースジェットの開発を進めることばかりに力を入れ、販売後のアフターケアの戦略を描けないまま突き進んできたことを認めたようなものだ。 ■開発失敗の原因 失敗の原因をまとめてみると、まず三菱が国産の軍用機などのノウハウだけで米国での型式証明が取れると思い込んでいたことだ。日本の工業製品のJIS規格では、現代の複雑化した高度のハイテク機の型式証明を米国で取得するのは困難であり、それを補うために米国やカナダから精通した技術者を早くから技術陣に加える必要があった。 だが、それに気がついて補強したのは2016年になってからだ。エキスパートと呼ばれる外国人技術者を300人規模に増やし、仕上げに2018年にボンバルディアで小型機のCシリーズの開発メンバーであったアレクサンダー・ベラミー氏をCDO(最高開発責任者)に起用した。しかし、時はすでに遅く、スペースジェットの基本的な設計に手を加える時間も余裕もなく、電気系統、配線など数千にのぼる箇所の修正に追われる日々が続いたのである。 そして、三菱航空機社内の人事紛争により、2020年6月にベラミー氏は退任。後任の開発責任者に国産戦闘機開発の技術者である川口泰彦氏が就任した。その流れで400人近い外国人技術者の多くが去り、7月以降は22人いた幹部社員が日本人のみの6人となった。社内には開発当初から外国人の手を借りる必要がないという意見も多く、このような内紛を繰り返してきたといってよいだろう。 それを表すように、スペースジェット開発に加わりテストパイロットの任に当たったのは元自衛隊のパイロットであり、民間エアラインの経験はない。そのためスペースジェットの最高巡航高度が3万9000フィート(エンブラエルは4万1000フィート)、巡航速度はマッハ0.78(同0.82)と性能に劣る点についても改善の必要性をアドバイスできなかったと推察する。実はこの性能の差は大したことがないように思われるが、エアラインパイロットにとっては非常に大きい差といえる。 今日、最高巡航高度は4万1000フィート(ちなみにジャンボ機では4万3000フィート)以上が常識であり、乱気流を避けるため私自身もエンブラエル機でしばしば高高度を飛行した。スペースジェット開発の失敗の原因は、この例のようにライバルのエンブラエルの研究不足にあった。その背景にあるものは、ブラジル製のエンブラエルに日本が負けるはずはないと過信していたことだ。そのためプラット&ホイットニー(PW)製のギアードファン・エンジン搭載で燃費を向上させて勝負できるとして、エンブラエルの詳しい情報を得ず、エンブラエルの設計はドイツ人が深くかかわっていたことも軽く見ていた。 私はエンブラエル機が日本に導入された2009年から3年間乗務していたので、警鐘を鳴らしてきたが、技術陣には届かなかったようだ。そして時間がたつ間にエンブラエルも同じPW社のエンジンを搭載するようになり、スペースジェットの「売り」は完全に消え去ったといって良い。 ■予断をもって開発を進めたツケ 三菱の見通しの甘さはほかにもある。スペースジェットはこれまで長い間90席仕様のスペースジェット90の開発を優先して、米国での型式証明を取得することに力を入れてきた。しかし、ここにきて急遽70席クラスの機種の開発を優先させる方針転換を図った。 その理由は北米市場での特殊な事情にある。「スコープ・クローズ」と呼ばれるリージョナル機の座席や最大離陸重量を制限する米国内での労使協定によって、簡単に90席の機材を売り込むことができないのである。この労使協定は中型機以上のパイロットがリージョナルジェットの進出によって身分や待遇が低下しないように、一般の旅客機とリージョナルジェットとの線引きをするものである。 ところが、三菱側はこの協定はそのうち廃棄または変更されるものと予断をもって開発してきたのである。しかし、2019年になっても協定は変わらず、慌てて協定上許される70席クラスの開発に変更したものであった。ちなみに協定では座席数は88席までの航空機でないとリージョナルジェットとして認められない。 以上のような要因がスペースジェット開発の失敗に影響しているものと考えられるが、根本的な開発の未熟さも指摘しておきたい。スペースジェットの約7割は輸入部品から成っているが、自動操縦システムやFMS等はほかの航空機では実績があるからといって、それらを使い組み立てれば済むと考えたら大間違いだ。胴体や翼は国産であり、機体本体とそれら輸入部品、それに新型PW製エンジンを搭載した後のシステムのマッチングや安全性、さらに性能保証といった課題をクリアしてはじめて米国でも型式証明を取得することができる。 そのためには知恵と経験が必要なのである。2020年6月26日の株主総会で担当役員が「経験不足は否めない」と説明したように、民間ジェット旅客機の開発や製造に関するノウハウが欠如していたことに尽きるのである。 ■国の課した責任は重大 スペースジェットのプロジェクトには国も支援し、その額は500億円ともいわれている。いわば官民一体となって国産初のジェット旅客機の開発製造に臨んできたものだ。しかし、国民の税金を投入して三菱側に計画を丸投げして損失を出した責任をどうとるのか。さらに国は後ろ盾になってANAやJALに導入させようとして、大幅な値引きをもって両社の事業計画に導入を組み入れさせたという。 それによってANAはローンチカスタマーとなり世界で先駆けて導入することを決め、JALは現有に加え今後増強するエンブラエル全機をスペースジェットに置き換えるという事業計画を決めたのである。 なぜ、これまでリージョナルジェットとして定着したエンブラエル機をスペースジェットに置き換える必要があるのか。パイロットや整備士の訓練も一からやり直す必要がある。しかし、誰がどう考えても性能や安全性で優り、アフターケアの体制も充実し、自らも実績のあるエンブラエル機を全機、スペースジェットに置き換える必要があるのか。これは正気の沙汰とは思えないのである。 おそらく現場のパイロットや整備士もみな、内心疑問に思っているであろう。甚大な設備投資も伴うこの計画で、JALはいったいどうなるのか。新型コロナまでは順調な業績で来たJALも今後が見通せなく、手持ち資金もどんどん減っているなか、こんな馬鹿げた計画を予定通り実行するのなら再び経営破綻をも招く事態となる可能性もあるだろう。 私は、このような理不尽な計画は国の意向なしではありえないと思っている。しかも、ある意味良い機会なので事業計画を修正してエンブラエル機の運用を続けていくという判断を期待する。 ■メディアと識者、それに国民全体での反省が必要 歴史を振り返ると、先の大戦では三菱が中心となってつくった軍用機は世界的に優れた水準であったものの、米国の戦闘機や爆撃機には遠く及ばなかった。戦後も出遅れがあったにせよ、初の国産旅客機のYS-11は営業的に失敗した。そして今回の国産初のジェット旅客機の開発製造も量産体制にこぎつけることはできなかった。 では、いったい何がそうさせたのか。ここは我々国民がしっかりと経緯を総括しないと、再び日の丸ジェット機の夢を無定見に追い求めたり、有事ともなれば己の力を過信して悲惨な結末を招くことになるのではないか。 三菱重工はプライドがやたら高い企業としても有名であるが、それは今回のスペースジェットの開発製造においても表れている。ライバルのエンブラエル機を過小評価したり、外国人技術者より日本人の技術者でやっていけると考えたりしたことである。 しかし、今回の失敗の責任は三菱と国だけにあるのではない。今般の事業凍結が決まってからは、多くのメディアや識者は私がこれまで述べてきたような問題の一部をここぞとばかりに取り上げているが、これまでどうであったか。 2015年11月11日に名古屋の県営空港で初飛行したときは、日の丸ジェットが成功したかのように大騒ぎして、たび重なる納入延期が発生してもいずれは型式証明を取得して量産体制に入り、ライバル会社と渡り合って成功するかのように思っていたのではないか。 言い過ぎかもしれないが、公の場で当初から問題点と改善点の提案をしながら事業の失敗を予測していたのは、不肖私ぐらいではないか。識者のなかには、三菱重工の体質やマーケットの事情から批判の目を向ける方々もいたが、スペースジェットとエンブラエルやCRJの航空機そのものの性能や安全性について評論した方は、私の知る限り皆無である。これらについての指摘は何もパイロットでなくても、正確な分析を加えれば不可能ではない。 多くの識者やそれを使うメディアが、当初から開発製造における問題点を指摘していれば、これほどまでに損失を拡大させ、再起不能と思わせる結末にはならなかったと思うが、いかがであろうか。 (文=杉江弘/航空評論家、元日本航空機長) |
官民一体となった国家的なプロジェクトの末路なのだが、その内容があまりにも杜撰なのが驚くばかりである。
しかし似たようなことが「国策民営」と言われる一大プロジェクトが「リニア中央新幹線建設」なのだが、多くの深刻な問題と矛盾を含んでいる。
「リニア新幹線は南海トラフ地震に耐えられるか・【地震大国日本の今】地震リスクを的中させてきた専門家の懸念は杞憂なのか」
2011年3月11日の東日本大震災以降、震度6以上の地震は30件以上に及ぶ。世界の地震の約2割は日本周辺で発生していると言われ、近い将来の発生の切迫性が指摘されている南海トラフ、首都直下なども頻繁にメディアで報じられている。原発と地震についての取材を続け、東電福島原発事故の国会事故調査委員会で協力調査員として津波分野の調査も担当した科学ジャーナリスト添田孝史氏による、災害大国日本の最新情報を伝える新連載。(JBpress編集部) JR東海がリニア中央新幹線の建設を進めている。大井川の流量減少を巡る静岡県知事とJR東海の攻防が注目されているが、大地震に本当に耐えられるか、という疑念も払拭されていない。 「リニア中央新幹線は、いずれ起こるであろう南海トラフ巨大地震に対して脆弱であるのに、世の中でほとんど認識されていないことを非常に憂慮している」と石橋克彦・神戸大名誉教授(地震学)は話す。石橋氏は、東京電力福島第一原発事故の前に、原発が地震に弱いことを警告していた。リニアにも、同じ危惧を抱いていると言うのだ。 ■「リニア運行中に南海トラフ地震が発生すれば被害が同時多発する」 石橋氏は、10月16日にリニアに関して初めて一般向けに講演し*1、こう指摘した。 「南海トラフ巨大地震はリニア供用中あるいは建設中にはほぼ必ず起こると想定すべきだ。運行中に発生すれば、全路線で多種多様な大被害〜軽微被害が同時多発する」 石橋氏の懸念する点を見ていこう。南海トラフは、日本列島が載っている大陸のプレートの下に、フィリピン海プレートが年間数cmずつ沈みこんでいるプレート境界だ。約100〜200年間隔でM8級大地震を繰り返してきており、前回が1940年代に発生したので、そろそろ次が起きてもおかしくない、と予測されている*2。 ■世界に例がない複雑で脆弱な地層を抜けるトンネル
上越新幹線で被害が生じたのは古いトンネルの工法(矢板工法)で作られた区間で、リニアではそれより強い工法を使っているともJR東海は説明している。 |
三菱重工業のスペースジェット(旧MRJ)は大きな事故を起こす前に事業が凍結され事実上中止になることで国民には被害が及ばなかった。
しかし「リニア中央新幹線建設」は多くの住民の反対運動により計画通りには進んでいない。
すでに「南海トラフ巨大地震ではリニアは被災し震災を拡大・深刻化させると専門家は指摘している。
オジサンの散歩道の近くに巨大な建設現場があったが、最近になってリニアの非常口工事であることが明らかになった。
かなり深いところからの災害時の避難はエレベーターが地震で止まってしまえばもはや助かる道と手段はなく、巨大な墓場になる恐れもある。
最悪の場合はこんな「国策民営」と言われる一大プロジェクトは中止しなければリニアの廃線という事態になるのではないだろうか、とオジサンは思う。
【付録】
であり、