新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

アジアの端の日本がNATOにあこがれる滑稽さ

2023年06月29日 14時12分26秒 | 岸田文雄外交

早いもので今週末には7月に入るのだが、昨夜は「熱帯夜」となり、かなり寝苦しい状態が続いた。
 
しかしまだ「梅雨明け宣言」は出されておらず、昨日は関東甲信越地方を中心にゲリラ豪雨と雷と雹が暴れまくっていた。
 
 そして相変わらず日本の政治は国会での議論を省略しているのか無視しているのかはともかく、無風状態で重要案件が成立している。
 
そんな国会が閉会した後で岸田文雄の一方的な会見が定番となっているらしい。
 
6月4週の動き
 

通常国会の閉会
維新と国民民主がゆ党の役割を果たし、何をしてもほぼ無風。それはゆ党が協力したら圧倒的多数なので、立民や共産が反対しようと、多数決で簡単に通せる。それをまざまざと見せつけられた形です。統一教会問題もメディアが報じなくなり、支持層に統一教会を抱える自民、維新、国民民主なども御の字で、維新などあっさりと立民を見限った。別に、中道保守をアピールする必要がなくなったので、そうなりました。
国会が閉会すると、なぜか首相が会見することが定番になりましたが、そこで岸田首相がデジタル行財政改革、などと言い出しました。しかしまず枝葉末節の議論ではなく、国のシステムを統一するのが先です。地方によってはWindowsもまだ古いバージョンをつかう。それは使うシステムが、最新のバージョンに対応しておらず、古いシステムを使わざるを得ない。そんなバラバラのシステムが、国のシステムと繋がる。どこに脆弱性が潜んでいるか? 分からないレベルであって、そこに大きな不安、リスクが内在します。
マイナ問題も、焦って入力したこと、またシステムを依頼した業者が天下り先、などの指摘もありますが、行政の能力不足と不作為が問題です。しかし、どれほど能力をもって時間をかけ、システムをつくりこんでも、統一されていないシステムで運用をつづけたら、いずれ必ず齟齬が生じる。日本のように地方は地方、国は国、といった運用をしてきたのですから、まずそこを統一的に扱うことが絶対に必要となります。
いくら利便性の向上をアピールしようと、利便性と情報漏洩は表裏一体、それは切り離すことができない問題です。そのとき、最初から情報漏洩を危惧されるフォーマットのばらばら、というものを残してやるのは、もう漏洩覚悟と言っているのと同じです。マイナ不安に、でかいことをぶち上げて目くらましをしようと思ったのでしょうが、逆に不安をより高めるだけでしょう。この辺りが岸田氏の限界といえそうです。
今はまだ、マイナも儲けが出そうにないので、ハッカーも狙ってきませんが、いずれハッカーに狙われるでしょう。利便性が向上し、すべての情報がとれるのであれば、狙わない理由がない。そのとき脆弱性が懸念される、古いバージョンと繋がるとか、本来はあり得ないのです。国が主導し、全システムを統一するか、もしくは利便性を犠牲にしても、古いシステムのアクセス権を制限するのが必須なのです。
果たして、政治家はシステム的なことが絶望的にオンチ。平井氏がデジタルに精通、と言ってしまうぐらいの無能しかいません。何が問題で、どうすればいいか? が分かっていない一方、官僚にとってみれば自分の省庁により権限、情報が集まるようにしたい。結局、そうした思惑が渦巻く以上、この構想は失敗が確実です。それこそITの専門家を呼んできて、その人物に権限を集中させてシステムを作り上げる、といったことも必要でしょう。ただ、そんな専門家がいたらとっくに批判の声を上げているはずで、そういった声がない時点で、国のシステムが脆弱なまま、国民の情報が危険に晒されることが確実なのでしょう。


 
チョット前のことだが安倍晋三が集団的自衛権を憲法を捻じ曲げて自衛隊の海外派兵を可能にした際には、「戦後の自衛隊は海外では一人も殺したことはない」という世論により大きな反対運動が起きたのだが、そんな悪の根源の安倍晋三がいなくなり、今度は自衛隊ではなく今までの「武器輸出三原則」をいとも簡単に無力化して日本製の殺傷武器が海外に輸出される可能性が大きくなった。
 
<社説>殺傷武器の輸出 『禁止』原則を守り抜け
 

与党が防衛装備品の輸出拡大に向けた協議を進めている。政府と自民党は殺傷能力のある武器の輸出解禁を目指すが、武器輸出は現行憲法の下、厳しく制限してきた経緯がある。原則を破り平和国家の信頼を損ねてはならない。
 戦後日本は1970年代までに「武器輸出三原則」を確立し、武器輸出を全面禁止してきた。
 その後、制限は段階的に緩和され、安倍晋三内閣が2014年に閣議決定した「防衛装備移転三原則」で武器輸出に道を開いたが、運用指針で救難、輸送、警戒、監視、掃海の5類型に限り、国際共同開発・生産を除いて殺傷武器の輸出を実質的に禁じてきた。
 昨年12月、岸田文雄内閣が改定した「国家安全保障戦略」に武器輸出の制限見直しが明記されたことを受け、与党は4月から実務者間で協議を開始。殺傷武器の輸出を巡り、侵略を受けた国への支援、5類型の拡大や撤廃、共同開発する次期戦闘機の第三国への輸出などが論点に挙がっている。
 看過できないのは、政府が与党に対し、使用目的が5類型に該当すれば、現行制度下でも殺傷武器を搭載した装備品を輸出できるとの見解を示したことだ。
 三原則と運用指針に殺傷武器の禁輸が明記されていないからといって、政府が都合よく解釈を変更するなら原則の名に値しない。
 政府がウクライナ向けの砲弾を米国経由で輸出するために協議中との米紙報道もある。解釈変更で紛争当事国への砲弾輸出に道を開くことなどあってはならない。
 岸田政権は敵基地攻撃能力の保有や防衛予算倍増に加え、武器輸出の拡大で防衛産業の成長も促す姿勢だが、軍事偏重が憲法の平和主義や専守防衛に合致するとは思えない。殺傷武器の輸出は国際紛争を助長しかねず、民生支援に徹してきた平和国家の歩みに対する国際的な信頼も失いかねない。
 与党は30にも実務者協議で論点を整理する方向だが、政府方針を追認するのでなく、政府の恣意(しい)的な制度運用に歯止めを掛けることこそが国会議員の役割だ。この際、殺傷能力のある武器の輸出禁止を明記した新しい原則をつくるよう政府に促してはどうか。
 憲法に基づいた武器輸出禁止に関する議論を、政府・与党だけで進めてはならないのは当然だ。野党や国民にも広く呼びかけて、議論を尽くさねばならない。


 
ところで「カラスが泣かない日はあってもマイナンバー関連のトラブルが尽きることはない」今日この頃なのだが、すでに「マイナンバーカードの返納」という動きがあり、それに対して「いくら返納しても本人の11桁の番号は消滅しない」という声もある。
 
かつての小池百合子ではないが「一度立ち止まって考え直すべき」かもしれない。
 
制度のお粗末さが次々露呈…マイナンバーカードの問題は始原から出直すべきだ
 

 
 

マイナンバーカード制度のお粗末さが次々に露呈し、最初は笑って済ませていたのが次第に怒りとなって広がっている。
 私の友人の中にも「こうなったら意地でも取得しないぞ。申請しないと逮捕すると言われるまで頑張る」と息巻く人まで出てきた。私も、個人情報の扱いについて納得いくまで取得しないつもりだが、心配なのは個人の安全性より、むしろこの国のシステム構築・運用能力そのものである。
 河野太郎大臣はじめ政治家や官僚にデジタルのプロがいないのは仕方がないというか当たり前なので、台湾のオードリー・タンのような本物のプログラマーをデジタル担当大臣に抜擢するくらいの思い切りが必要だったのだが、それが出来ないのが日本の組織の硬直性である。
 必然、外に丸投げすることになり、この場合は富士通。日本有数のIT大手として行政部門からの発注も多くこなしており、特に軍需部門に強く、世界軍需企業トップ100に、三菱、川崎両重工業と共にランク入りしている3つの日本企業の一つでもある。ということは、日本防衛の基幹システムも笑って済まされないほど危なっかしいのかもしれないと疑ってみるべきだろう。
 こうしてマイナカード問題は奥がなかなか深いが、そのもっと奥には闇の部分がある。というのは、マイナカードは最初、例の「消えた年金」騒動を背景に、旧民主党が政権を取った2009年の総選挙のマニフェストで「税・社会保障共通の番号の導入」を公約に掲げたことから始まった。富裕層も貧困層も税の面から所得を正確に捕捉することで社会保障給付も的確化し、徴税と社会保障給付の両方の不公正・不的確を一気に解消することがその根本目的で、鳩山内閣で検討会の中間まとめが出て、菅直人内閣で「社会保障・税番号要綱」が策定された。
 ところが、野田内閣になるとこれが「行政手続きで特定個人を識別する番号制」に変わってしまい、それを安倍政権が法律化した。当時、変だと思って取材し、野田を後ろで操っている財務省が税の完全把握に踏み込むのを嫌って趣旨をねじ曲げさせたと聞いた。それで、コンビニで住民票が取れるとか、それだけではあまりに魅力が薄いから健康保険証と一緒にするとか、本筋を離れて邪道に走ってきたの結果が、この始末なのである。
 この際、一度立ち止まって考え直すべきだとの声も多い。そうならば09年まで戻って始原から出直すべきだろう。


     
マイナンバーシステムの最終的な責任元はデジタル庁なのだろうが、その庁の最高責任者は全くの素人で政治家らしからぬ言動をして批判を浴びていたのだが、どうやらその裏には胡散臭い政局が絡んでいるらしい。
 
 「『お前が始めたんだろ』発言は真っ当なのか…河野太郎氏の言い分を検証した マイナ制度のトラブル批判に反論
 

◆「河野切り」で保険証廃止を延期?
 21日発足の「マイナンバー情報総点検本部」は、マイナポータルで閲覧できる29項目のデータで誤登録などを調べる。そうした中、本部長である河野氏の「責任転嫁発言」をどう見るか。
 政治ジャーナリストの泉宏氏は「言わずもがな。次期総理を狙うなら口にしてはいけないことくらい分かりそうなものだが、性分なのだろう」とあきれ気味だ。一方、自民党内の動きとして「マイナカード問題の責任は全て河野氏に取らせようとする向きもある。岸田首相周辺には『河野切り』をした上で保険証廃止の延期を表明し、政権浮揚につなげる思惑もちらつく」と見た上で、苦言を呈する。「国民不在の騒ぎは止めるべきだ。政府は日本の将来に必要なデジタル化の方向性と中身を、改めて真剣に説明する必要がある」


 
岸田首相周辺には『河野切り』をした上で保険証廃止の延期を表明し、政権浮揚につなげる思惑という話にはかなりの説得力がありそうである。
 
さて、保守系の国会議員らで組織される日本会議と、全国に8万の拠点を持つ神社本庁による「全体主義」「戦前回帰」に異を唱える言論活動をおこなっている清洲山王宮日吉神社 宮司でもある三輪隆裕が、こんな大胆な見立てをしていた。
 
飼い犬プリゴジンに手を噛まれた裸の王様プーチン。それでも「核戦争」は起きぬと断言できる訳
 

■狙いはロシア政局の主役。プリゴジンが6月初旬に見せていた蜂起の伏線
6月7日付けの宮司のブログ「ウクライナ戦争の終結」の中で、「おそらく、ロシアで政変が起こり、この戦争は終結する。」と予測した。この記事は、ロシアがウクライナに勝利すると前提して停戦を求める様々な内外の声に反論するために書いたものであるが、最後の予測のところが、見事に的中してしまった。いわゆるプリゴジンの乱である。
宮司のブログ:ウクライナ戦争の終結
プリゴジン氏が率いるワグネルの精鋭部隊は、ロシア南部から蜂起して、国民の声援を受けつつ、あっという間に1,000キロを進軍し、モスクワ近郊に至ったところで、突然行軍を終息した。ベラルーシのルカシェンコ大統領とロシアのプーチン大統領との話し合いに基づき、プリゴジン氏はベラルーシに移動し、ワグネルの軍隊は許され、希望者は契約によりロシア国軍に吸収される、もしくはベラルーシに移動することも許されるということのようであるが、それ以来、ブリゴジン氏の消息は絶たれた。
まだまだ予断は許されないが、一様に報道は、プーチン政権の揺らぎを報じている。
ここに至る伏線は、度々報じられていた。プリゴジン氏は、大激戦となったバフムト攻略戦で、最前線に立って奮戦し、ウクライナ軍を追い出し、ロシアの英雄となった。バフムトを占領するとすぐ、ロシア正規軍にその地を譲り、弾薬の不足に対する不満をショイグ国防相やウクライナ軍事作戦の総指揮官ゲラシモフ参謀総長にぶつけ、さらには、ウクライナ軍の勇猛さを称賛した。また、ウクライナ軍にロシア正規軍の位置情報を提供すると申し出たが、ウクライナ軍に拒否されたとの報道もあった。プリゴジン氏はロシア正規軍の官僚に対する不満の結果として今回の乱を起こしたと推定される。ルカシェンコ大統領を介してプーチン大統領と何らかの妥協点を見出したので、鉾を納めたのであろう。
プーチン大統領は、6月13日の記者会見で、ウクライナ側の反撃は成功していないとして、ロシア軍の反撃の成果を強調した。一方西側のメディアは、ウクライナ軍は損失を出しつつも確実にロシア軍を占領地から追い出しているとした。この様子から推察されることは、プーチン大統領の元には、相当間違った戦況報告がなされていて、彼は「裸の王様」状態に近いということだ。
プーチン氏が本来の権力を維持し、正確な情報を得ているならば、プリゴジンの乱は起きなかったし、起きたとしても、すぐ制圧されたであろう。それができないということは、すでに、ロシア軍はまともに統率されておらず、プーチン大統領の元へも正確な情報は届いていないということだ。
■数年のうちにロシアの崩壊を目の当たりにする人類
プリゴジン氏は、それを見越して、今回の行軍を行なって、ロシア国民の様子を見たのである。6月初めに彼はロシアの地方各地を訪問し、住民を前に演説。「誰かが真実を述べる必要がある」として軍部や政権批判を繰り返した。これは今回の蜂起の伏線である。彼はプーチン後のロシア政局の主役に躍り出ようとしている。
プーチン大統領がそれを許すはずはなく、すでに暗殺指令が出されたと実しやかに囁かれているが、プリゴジン氏は承知の上であろう。親衛部隊がガードしているはずであり、暗殺は成功しないと考えられる。
このように見てくると、武装した精鋭の軍隊2万5,000人以上を手元に置き、国民の英雄として人気を集めているプリゴジン氏を中心にして、ロシア政局は流動化していく。来年3月に予定されている大統領選挙で、プーチン氏が再選される目も危うくなってきたと言える。
ロシアのウクライナ侵略に端を発したロシア封じ込めも、インドや中国などの非協力にもかかわらず、じわじわと一定の成果をあげ、そしてロシアからは、多数の技術者や学者、若者などが流出し、もはやロシアは一国で安定的に国家を維持する力を失いつつある。
元々、古代や中世とは異なり、現代の国家は、ヒト、モノ、カネ、技術等の国際的な交流なくして存立はできない。
私たちは、数年のうちに、ロシアの崩壊を目の当たりにするであろう。なお、ウクライナ戦争が核戦争に発展する恐れはない。このことは「宮司のブログ」に書いておいたが、もう一度記しておく。
もちろん、核戦争ともなれば、話は違う。しかし、核兵器は使用できない。なぜか?それは、以前のブログでも述べたように、権威主義の国家支配層にとっては、西側の世界こそが本当に住みたい楽園なのであるから、それを核兵器で破壊してしまったら生きる意味がなくなってしまうからである。彼らは、財力を得るために権威主義の世界に住み、自分たちの家族は自由主義の世界に住まわせている。もし、プーチンが錯乱して核兵器を使おうとすれば、当然、自由主義世界を残すために周りが止めに入るはずである。


 
錯乱したプーチンが核兵器を使おうとすれば、「自由主義世界を残すために周りが止めに入るはず」とは一体どこの誰なのか、若干他力本願的な結論のようである。
  
米国在住作家の冷泉彰彦は、日吉神社 宮司より現実的なことを言っていた。
 
クーデターで『プーチン暗殺』の可能性も。今ロシアに起こりうる4つのシナリオ
 

■宮廷クーデターでプーチン暗殺か。ロシア情勢4つのシナリオ
ロシア情勢は、とにかくワグネルの反乱という予想外の事態となり、アメリカ東部時間の土曜日はケーブルTVのニュース専門局などは、完全にブチ抜きの特番体制になっていました。土曜日24日の昼の時点では、とにかくワグネル軍が国道をモスクワへ向けて北上進軍を続けており、爆発する軍施設、ワグネル軍を歓迎する市民など、様々な映像が展開されていました。
一部には、プーチン大統領の専用機がモスクワを離れてサンクト・ペテルブルグへ向かったとか、更にはその機影がレーダーから消えたなどという、怪情報も飛び交っていました。また、ワグネルのプリゴジン代表が、ロシア南部の軍の要衝、ロストフ・ナ・ドヌを占拠したと伝えられた時点では、プリゴジンはロシアのショイグ(国防相)とゲラシモフ(参謀長)を呼び出したという情報も流れていました。
ちなみに、これも根拠のない話ですが、この時点では、以下のような陰謀論が流布されていたのも事実です。
「プリゴジンとプーチンは裏で繋がっており、今回の一件はショイグとゲラシモフを失脚させ、敗戦の責任を負わせるとともに、西側に戦犯としてこの2名を突き出して、一気にウクライナ停戦と、プーチン政権の延命を企図したもの」
いかにも、「まことしやか」な説ではあります。ですが、その後に事態は急展開して、
「プーチンは反乱に参加したワグネル構成員を起訴しない。プリゴジンは進軍を停止してベラルーシに向かう」
ということとなり、ワグネルの反乱はとりあえず終結した格好です。それとは別に、今回の動きですが、直前に「習近平=ブリンケン会談」が北京で行われていたのが気になります。
ブリンケンは、秦剛と王毅には会ったもの習近平に会えたのは最後だとか、折角、ブリンケンが習近平と会談できたのに、バイデンが「習近平は独裁者」などという不規則発言をしたために、中国としてはいつもの「強烈な不満」を表明せざるを得なくなっています。ですが、もしかしたら、こうした動きは「国際世論への目眩まし」であって、ブリンケンは北京に対して「ウクライナ戦争の出口戦略」について実務的な確認に行った可能性は否定できないと思います。
その内容ですが、
a)ロシアのウクライナ侵攻は、ウクライナ軍の反攻、ロシア側の消耗により最終局面
b)ロシア政権内部に動揺。ショイグとゲラシモフの権力基盤揺らぐ
c)ワグネルの動向が不気味
といった点について情報交換が行われた可能性が否定できません。その場合ですが、公式ルート以外の情報収集力としては、やはり米国の方が勝っており、その情報を提供することで、中国にメリットを与えつつ「出口戦略」への協力を要請した可能性はあると思います。
■ブリンケンがこのタイミングで習近平に囁いた内容
あるいは、中国の場合は巨大な不動産の不良債権化に苦しむ中で、コロナ後の爆発的な成長力回復を実現して、不良債権処理を進めたいという意向を持っているのかもしれません。そう考えると、いつまでもプーチンによる原油高の継続という事態が続くのは困るはずです。
ですから、今回のロシア内部の動揺を絶好のタイミングとして、ウクライナ和平へと動いて欲しい、ブリンケンは習近平にそのように囁いた可能性はあると思います。この点に関しては、単純に考えると、バイデン政権としては、岸田政権と同じように「ウクライナ戦争が継続して、自分たちが自由と民主主義の正義の味方」という状態が続く中で、選挙をやりたい、つまり23年後半の日本の総選挙なり、24年11月の米大統領線の時点まで「戦争がくすぶっていたほうが有利」という判断をしている可能性はあります。
ですが、それはあくまでバイデン周辺だけの計算であって、もっと強力な民主党政権を期待している向き、つまりバイデン路線を一旦崩壊させて、もっと若い世代でもっと現実的な民主党政権を作りたいという思惑は、党内には静かに拡大しています。
例えば、カリフォルニアのニューサム知事を担ごうという思惑もまだありますし、最近バイデンの次男のスキャンダルが大きく報じられるのと並行して、ハリスのメディア露出が強化されているのも事実だと思います。そして、仮にハリスへの禅譲が起きた際には、ハリスはウクライナ戦争を継続しつつ選挙に臨むよりも、戦争を終結させて改めてトランプ周辺とロシアの癒着を断罪する方向を選びそうな気配もあります。
そんな中で、ブリンケンは自身の大局観の延長で、習近平と「ウクライナ和平戦略」を協議した可能性はあると思います。タイミングが全てを物語っています。6月のこの時期に、急遽ブリンケンが訪中したということは、この話題がなければ考えにくいからです。
一方で、米中の国防相同士の閣僚級会談については、中国は頑強に拒否しているようです。これは、表面的には米国が中国軍幹部に対して個人的な制裁を解除しないので、中国側はメンツの問題として不可能としています。ですが、この問題の背景には、中国軍の中枢がプーチンの調略を受けている可能性があり、アメリカとしては譲れないのかもしれません。ロシア=ウクライナ問題への中国の関与ということでは、あくまで「トップ外交による和平仲介」と、巨額な資金投下による「戦後復興への引きずり込み」という2点に絞っての話と見ておくのが良さそうです。
■プリゴジン暗殺は確実か。ロシアに起こりうる4つのシナリオ
話を直近の情勢に戻しましょう。ちなみに、本号につきましては、配信はいつも通りですが、原稿の締切を編集体制の中で繰り上げざるを得ない事情がありまして、配信の5時間前(編集部注:日本時間27日午前1時50分)以降の動向は反映できていません。従いまして、配信直前に情勢が大きく動いた場合は、皆さまの方で補完しつつお読みいただければと思います。
当面のシナリオとしては、4つが考えられます。
1)プーチンは、とりあえずロシア正規軍がワグネルに寝返るのは止めることができた。その絶妙なタイミングで、ルカシェンコと共謀してプリゴジンに進軍を諦めさせ、ベラルーシ亡命とワグネル兵士への恩赦という「手打ち」をした。だが、当然反逆者のプリゴジンを生かす訳はなく、早々に暗殺する。ただ、プーチンのショイグ、ゲラシモフへの信頼も更に揺らぎ、プーチン政権はゆっくりと崩壊へ向けて進む。その中で、タイミングを見極めて習近平が和平を仕掛ける。
2)これは 1)のバリエーションで、プリゴジンは暗殺。プーチン政権は延命する中で、ショイグとゲラシモフが「身の危険」を感じて、「朴正煕暗殺のようにプーチンを宮廷クーデタで葬る」または「これを察知したプーチンが2人を処刑」あるいは「ゲラシモフがプーチンに忠誠を誓ってショイグを暗殺」というような宮廷内部の抗争が具体化する可能性。
3)プリゴジンの進軍を停止させたのはルカシェンコの深謀遠慮で、ルカシェンコは「ポスト・プーチン」の切り札として、プリゴジンを利用する計画。改めて、北からのウクライナへの攻勢を強化して、プリゴジン=ルカシェンコは、ウクライナを痛みつけつつ、時間を稼いでプーチンを隠居へ追い込む(二人は犬猿の仲とはいえ、昨日の敵は今日の友、になるのかも)。
4)改めてロシア正規軍に合流した元ワグネル兵士(相当数が流刑者など)が、厭戦気分を正規軍に伝染させて、戦況が更にロシアに不利に。そのタイミングで、習近平が和平仲介。
どれも可能性はありそうです。例えばですが、プリゴジンを即時に暗殺して、プーチンが正規軍を強化し、改めてウクライナ戦線を立て直すというのもゼロではありませんが、これは可能性としては低いのではと思われます。
いずれにしても、動きが急ですので注意して見て参りたいと思います。
それはともかく、この間の動きによって仮にウクライナ情勢が和平に向かうとして、そう簡単に安心はできません。もう少し大局的な観点から考えると、この1年強の戦争によって、第二次大戦後の国際平和をある程度は維持してきた「枠組み」や、当面の国際社会の安全を保障する仕掛けが、壊されているからです。
6点、問題提起をしておきたいと思います。
1点目は、戦時国際法との問題です。今度という今度は、戦闘の極めて初期の段階から、戦争犯罪に関しては証拠の保全に成功しているわけです。この証拠を利用することで、正しい断罪、つまり責任を果たすべき人間には果たしてもらうことで、将来への抑止力となるような透明性と説得力のある戦争法廷が必要です。
2点目は、核不拡散という問題です。人類社会はIAEA(国際原子力機関)を作り、核拡散防止条約の枠組みを運用してきました。今回の核兵器のベラルーシ配備は、この体制を真っ向から否定するものであり、撤回させることが必要です。ここで既成事実を重ねることは、北朝鮮への悪しきメッセージにもなるわけで、かなり優先順位の高い話になると考えます。
■実は加盟国から歓迎されていない岸田のNATO接近
3点目は、ロシアの「国のかたち」問題です。最低でも、旧ソ連の独立共和国は独立を確定しないといけません。ウクライナ、ジョージアの主権をより強固に確認すること、バルト三国の地位を更に強固に保全すること、ベラルーシとロシアの合邦も止めさせることが必要です。
4点目は、改めて脱化石燃料を加速する必要性です。ドイツがロシアの天然ガスに依存してしまう問題があり、日本もサハリンのLPGプロジェクトから「抜けられない」というのは、やはり原子力の平和利用を精度を高めつつ強化する努力を怠って来たからです。この点を反省するタイミングと思います。
5点目は、西側として「自身の行い」を反省すべきということです。そもそも、正規軍だけでは戦争遂行に支障が出る場合に「民間軍事会社」などを活用するというのは、アメリカが本家であり(フランスも)、例えばイラク戦争当時のハリバートンなどの例があるわけです。また、劣化ウラン弾にしても、米を中心に既成事実化しており、今回は英国がウクライナに供与するなどという話にもなっています。こういうことを続けていると、ロシアの非人道性を批判する論拠が崩壊してしまいます。西側としても、このタイミングで猛省すべきです。
最後に6点目としては、西側同盟の結束という問題があります。現在は情勢があまりに流動的なために、同盟に動揺が生まれています。例えば、岸田総理はNATOの事務所を誘致する、あるいは自分がNATOの会議に出席するという動きをしていますが、決してNATOの加盟国からは歓迎されていません。
どうしてかというと、日本がNATOに接近しすぎると、アジアでの戦争に欧州が巻き込まれるからで、そうした事態を懸念するのは当然のことです。では、どうして岸田総理が欧州の戦争であるウクライナ戦争に肩入れするのかというと、自由と民主主義という「正義の側」につくことが安全を高めるという直感があるからです。
とにかく、日本の場合は日本から見た西側同盟というもの、またアメリカの民主党政権から見たら西側同盟をどうしたいのか、あるいは共和党は何を考えているのか、そしてマクロンやスナクはどう考えているのか、もっともっとホンネの部分での同盟の結束強化ということに取り組む時期であると思います。
いずれにしても、プリゴジンが進軍中止とベラルーシへの亡命を宣言した以降は、消息を絶っているという中で、事態は相当に速いペースで進展してゆくことが考えられます。


 
米国在住の利点を生かし現地の様々な情報を集めて総合的に判断、または推論を重ねている点では現実味があるのだが、要は有料メルマガの「一部」であり肝心の結論めいたことは有料で購入しなければならない。
 
もっとも、そこまでしなくても、6つの問題提起の6番目の「NATO加盟国から歓迎されていない岸田のNATO接近」という件で、EUから見れば地政学的にも遠く離れた日本が、G7広島サミットの「成功」に舞い上がった岸田文雄はそれG7の首脳連中からは信頼されてはいないということのほうが問題であろう、とオジサンは思う。  

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