幻の「2020東京五輪」の組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視発言で辞任したのだが、その後任となった「セクハラ常習大臣」の橋本聖子は、自民党は離党したが、身内の負債のために議員は辞職しなかった。
そして森喜朗前会長同様、会長職の報酬は受け取らないと宣言していた。
果たして森喜朗前会長はボランティア会長だったのか。
4年前には赤旗がこんな記事を書いていた。
「東京五輪組織委の森喜朗会長 政界引退後もカネ集め 総裁派閥に献金、影響力保持」
*
そして翌年にはこんなことが暴露されていた。
「東京オリンピック組織委員会の役員報酬は年間2400万円、ボランティアに自己負担を強いる一方で宿泊・交通費なども全額支給」
しかし森喜朗前会長は役員報酬を受け取ってはいないといっていた。
ところが今年になって、役員報酬は確かに受け取ってはいなかったが、それ以上の政治献金を受け取っていたことが明らかになっている。
「『無報酬』と胸張った森喜朗氏 五輪納入業者などから年6000万円献金」
<table border=2 cellpadding=2><tr><td bgcolor="#F0FFF0"><font face="MS UI Gothic" size="4">女性蔑視発言をきっかけに、五輪・パラリンピック組織委員会会長を辞任することとなった森喜朗氏。森氏は自著『遺書 東京五輪への覚悟』(2017年 幻冬舎刊)に、組織委の仕事は「無報酬」であることを誇らしげに記していた。
〈(ロンドン五輪組織委のセバスチャン・コー会長は)年間6000万円だか8000万円だかを貰っていたそうです。それに引き換え日本の組織委員会会長は、一円も貰っていないどころか、飯代も自分、車代も自分、運転手も自分で雇っています〉
だが、その“ボランティア精神"は本当なのだろうか。森氏は2012年に政界を引退したが、自身の政治資金管理団体「春風会」は2017年まで存続した。その収支報告書を見ると、組織委会長に就任した2014年1月以降も多額の資金を集めていたことが分かる。 2014年は年間で6000万円超の収入があり、そのうちパーティー券収入は約5200万円。2016年にはザ・プリンスパークタワー東京の忘年会で一度に4902万円のパーティー券収入を得ている。政治資金規正法に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授が指摘する。
「収支報告書を見ると、プリンスパークタワーのパーティー券の購入者数は608人で、企業や団体が買ったと推測できる。現役の国会議員以上の集金力です。
引退後も2014~17年まで自民党最大派閥の清和政策研究会へ計1300万円の献金を続けており、政界に大きな影響力を維持していたことが想像されます」
パーティー券の購入者には森氏の地元・石川県の企業が多く名を連ねるが、その中に東京五輪と関連する会社もあった。
オフィスの間仕切りやトイレの個室の壁などパーテーションメーカーとして国内トップシェアを誇るコマニー(石川県小松市)はそのひとつ。春風会の収支報告書によれば、同社は2014年に40万円分のパーティー券を購入しており、東京都オリ・パラ準備局が発表した「東京2020大会に係る共同実施事業の契約案件一覧」には、選手村関連の間仕切り工事を受注したことが記されていた。
日経電子版(2018年11月29日)では、〈コマニー、五輪効果〉の見出しで、〈首都圏で建設が続くオフィスや五輪関連の施設からの受注が増加(中略)増収増益に〉と取り上げられている。
パーティー券の購入についてコマニーに聞いたが、「回答につきましては差し控えさせていただきます」(経営企画部社長室)とのことだった。
五輪関連受注企業との関係は他にも指摘されている。森氏は2009年から、五輪招致活動に関わった一般財団法人「嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センター」(2020年に解散)の代表理事も務め、2013年にセガサミーホールディングスから同団体へ3~4億円の献金があったことが報じられた。
そのセガサミーは東京五輪公式ゲームソフトの開発・販売ライセンスを独占取得している。
「当社が取り組むスポーツ振興活動の一環として、一般財団法人嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センターへの寄付実績がございます。ライセンス契約をしているグループ会社のセガは2008年の北京オリンピックより冬季大会含めて継続的にゲーム化権を取得しており、東京オリンピックも引き続き契約を締結しています」(セガサミーホールディングス広報室)
「無償でやっている」と言いながらも五輪で潤う企業から献金を受け取ってきた“五輪のドン"。森発言に嫌気が差して辞退した「本当の五輪ボランティア」はさらに怒りを覚えるに違いない。</td></tr></table>
「森君はオリパラ組織委の会長を辞任した後、組織委とどういう関係を結ぶのか。それに注目するのは『五輪利権』の仕切り役がいなくなってしまうと、大混乱が勃発すると思うからだ。」と指摘するのは、山口敏夫・元労相である。
以下に、「『無報酬』どころか五輪関連業者などから5年間で3億円超」と題した山口敏夫・元労相の寄稿文から一部を引用する。
新国立競技場建設に伴う「明治神宮外苑地区」の再開発がある。
そもそも神宮外苑の一帯は、東京都風致地区条例によって高さ15メートルまでという厳しい建築制限があり、高さがおよそ50メートルもある新国立競技場のような"高層建築物"は建築不可能だった。
それに対して森喜朗は一貫して国立競技場の改修および神宮外苑地区の再開発を訴えてきた。
東京都都市整備局の公式サイトによると、2012年5月15日、当時の佐藤広副知事らが衆議院第二議員会館の森喜朗を訪問した際のこんな会話が残されている。
◆佐藤副知事
「神宮外苑全体の再整備は進める」「都市計画変更の調整は全体の再整備を前提に進める」
■森喜朗
「すばらしいよ。あと15年は長生きしないと」
その後、東京都は高さの制限を15メートルから一気に80メートルへと緩和し、2015年には神宮外苑の本格的な開発に踏み出していた。
新国立競技場や体育館系の施設の建設や建て替え、再開発という土建利権こそが真の目的であると森喜朗が考えていたことを裏付けるような佐藤副知事の発言であった。
今後の五輪開催がどうなろうとも、神宮外苑地区の再開発は今後も進められ、これまでと同様に森喜朗と親しいゼネコンがその建設を受注すると思われてきた。
しかしここにきて利権の仕切り役だった森会長が突然いなくなってしまったのだから.大変らしい。
ゼネコンや不動産会社にしてみれば、どんな形であっても森喜朗が"オリパラ利権"にかかわり続けてくれなければ、利権の目論見が夢物語に終わってしまう。
したがって、利権の中心人物をおいそれと変えるわけにはいかないからこそ、本来は名誉職にすぎない会長職から森喜朗を追い出すわけにはいかなかったのであろう。
言い換えれば、利権がなかったら森喜朗なんかは簡単に首を挿げ替えられていたことであろう。
2,014年1月に組織委員会の会長に就任したのだが、東京大会が正式決定した2013年9月から2017年12月までの5年間で森喜朗の政治資金団体である「春風会」は関連業者から3億円超の政治献金を受けてきたのだから、年間2400万円程度の報酬なんかには関心がなかったのであろう、とオジサンは思う。