最近の国会での政治資金規正法論議で改めて「第二自民党」を自他ともに認めている維新の動きに疑問が出ていた。
「維新は何がしたいのか? 政治資金規正法論議で目立つ不可解な動き 野党同調 → 自民にすり寄り…思惑は」
◆万博のつまずきで支持率急落、お膝元の選挙でも失敗 結局のところ、維新は何がしたいのか。政策活動費で自民と相乗りできる見直し案を示したのはなぜか。合意文書まで交わした思惑は何だったのか。 「大阪・関西万博でつまずいて、この1年で支持率が急落している。実は自民以上に追い込まれている。助け舟を出したように見えて、恩着せがましくすり寄っているだけ」 大阪を拠点にするジャーナリスト、今井一氏はこう読み解く。 実際、維新の政党支持率は低迷している。共同通信の世論調査によれば、昨年5月に維新12.6%、立憲民主8.8%だったのが、今年5月は維新7.4%、立民12.7%と逆転した。 維新は今春、衆院3補選のうちの2つで候補者を擁立したが、いずれも落選。大阪府大東市長選は藤田文武幹事長の選挙区内であったにもかかわらず、「お膝元」で擁立した候補者は敗北した。 全国的にも地元でも、勢いに陰りが見られる現状に、今井氏は「このままいけば、次の総選挙で自公も維新も伸びない。自公で衆院の過半数を取れないことを想定し、連立を組むための布石を打とうとしているのだろう。その時においしいポストをもらうための駆け引きだ」と説く。そして「政権与党に入れば、万博の予算を国から引き出せる可能性だってある」と指摘する。 ◆「パーシャル連合」という皮算用 そもそも馬場氏は5月23日、衆院選で与党が過半数割れとなった場合、政策や法案ごとに政権に協力する「パーシャル(部分)連合」の可能性に言及しており、「連立入りするか閣外協力するか、パーシャル連合を組むのかいろんな連携の形はある」とも述べた。 不可解さは他にもある。 維新が自民と合意文書を交わした5月31日、会見した馬場氏は「われわれの案を丸のみした」と豪語した。しかし、維新側は今月3日の衆院政治改革特別委員会で一転、自民が示した規正法改定案を巡って「このままでは賛成できない」と発言、4日の衆院採決は先送りになった。 維新側は、政策活動費の使途公開の対象を「50万円超の支出」とした自民案に反発したというが、政策活動費を巡って維新が先導した「10年後の使途公開」がSNSなどで批判されたことが影響したのか。 「丸のみした」から「賛成できない」に変遷する経過を巡り、法政大の白鳥浩教授(現代政治分析)は「言っていることを変えたのなら、野党でも説明する責任がある」と訴える。 ◆政権の延命に手を貸した維新に明日はあるのか その上で根本的な姿勢を疑問視する。「維新は『身を切る改革』を掲げてきた。自民の秋波に応じず、厳しく攻め込めばよかった。単なる第2自民党、補完勢力だとみられるだろう」 ちなみに「第2自民党でいい」という趣旨の発言をしたのが維新代表の馬場氏。同氏は外相などを歴任した自民の故中山太郎氏の秘書を務めた過去がある。 肝心の規正法改定を巡っては4日、自民案が維新の求めに応じる形で修正され、6日にも衆院を通過する見通しになっている。 際立つのは拙速さだ。 白鳥氏は「政治とカネの問題をチェックできるようになる絶好の機会。国民の大きな注目が集まり、盛り上がっている」と述べる一方、「維新はその機運に水を差し、むしろ政権の延命に手を貸してしまった。野党としての存在意義がない。国民の支持は得られないだろう」と切り捨てる。 政治ジャーナリストの野上忠興氏も、足元が定まらない維新の今後をこう見通す。「国民をなめちゃいけない。カネの問題は敏感に反応する。他の野党と一緒に行動し、徹底的に抵抗したほうがよかった。維新の支持率はじり貧になるだろう。自民と一緒になっても使い捨てにされるだけだ」 |
2度も「都大阪都構想」が大阪市民からNGを食らっても諦めきれず「国政」の場で存在感を示そうとしたのだが、所詮は大阪生まれのローカル政党であり背伸びをしないことである。
次の総選挙ではわが身の丈を思い知らされることであろう。
虚飾にくるまって8年間も都知事の座に安住していた女帝もそろそろ消費期限が近づいているようである。
「『ありえない…この私が…』小池百合子氏の虚栄と誤算。蓮舫パニックに陥った女帝が東京都知事選に出馬表明できぬ理由」
蓮舫氏の“覚悟”に狼狽した小池百合子氏が、東京都知事選挙(7月7日投開票)の出馬表明を先送りしている。描いてきた圧勝シナリオはもろくも崩壊した。有権者の批判をかわすため「自民党の推薦を受けないまま、自民党の組織票だけはいただく」ステルス作戦もあるが、そう上手くいくかどうか。6月20日の告示日ギリギリまで票読みをつづけるであろう小池氏の深い苦悩を、元全国紙社会部記者の新 恭氏が明らかにする。 ■この私が蓮舫に負けるというの?新区長に擦り寄った小池氏の「揺れる想い」 6月2日の東京都港区長選挙でも、自民党は勝てなかった。自民、公明両党の推薦を受けた現職、武井雅昭氏が、どの政党の支援も受けなかった無所属新人、清家愛氏に競り負けたのだ。 自公推薦候補なら応援演説に駆けつけてもよさそうなものだが、小池百合子都知事は武井陣営に寄りつきもしなかったらしい。 そればかりか、翌3日には港区初の女性区長となる清家氏を早くも都庁に招く手回しのよさをみせた。わずか2分間の面会劇だった。 港区議を13年つとめたとはいえ、どの政党の色もついていない当選ほやほやの政治家を体よく使ったイメージ戦術。その裏側には、連携を強めてきた自民党が裏金問題で信用失墜するなか、都知事選への三選出馬をめざす小池氏の心の揺れが隠されている。 出馬するとして、経歴にはカイロ大卒と書けるのか。自民党の推薦を受けるのか。受けないとしたらどのような選挙戦を展開するのか。 |
さて、6月に入り岸田文雄の思惑通りに「減税効果」を国民は享受できるのか?
経済評論家の加谷 珪一は、「『1回限りの「定額減税』に早くも延長論が…経済合理性を無視した「与党の政治的思惑」という記事を書いていた。
1回限りのはずだった定額減税の延長論が早くも出てきている。減税の効果が疑問視される中、9月の総裁選や都知事選の国政選挙化など政治的動きが重なっており、状況は流動的だ。 ■定額減税の実施に至った背景 政府は物価高対策として所得税と住民税の一定額を減税する定額減税を6月から実施している。所得税については3万円、住民税については1万円が、6月以降の給与などから差し引かれる。住民税非課税世帯については給付が行われることになっており、すでに実施されている3万円と合わせると10万円が配られる見込みだ。 このところ激しい物価上昇で、国民生活は苦しくなっている。今回の減税は家計を支援し、消費の低迷を防ぐ目的で行われたが、多くの人が認識しているように、背景には衆院解散や自民党の総裁選など政治的思惑が絡んでいる。 岸田文雄首相は当初、6月の解散を目論んでいたといわれる。4月に実施された賃上げに加え、6月の定額減税によって家計にゆとりが生まれて国民の好感度が上昇。これを材料に選挙に臨むというシナリオであった。 確かに4月の春闘では例年にない水準の賃上げが実現したものの、従業員数で全体の7割を占める中小企業の社員には十分にその恩恵がいきわたっておらず、しかも、これまで続けてきた電気代・ガス代の補助は5月に終了となり、6月以降、光熱費が急騰することがほぼ確実となっている。 ■すべてのシナリオが狂った 加えて、足元では円安が進んでおり、すでに多くの商品が再値上げを表明している。岸田政権が当初、考えていたように家計は改善していない。さらに言えば、定額減税の仕組みが複雑であり、国民が効果を実感できないという問題も指摘されている。 所得税については6月以降、減税分がなくなるまで税額から差し引かれ、住民税については6月分の住民税が一旦ゼロとなり、減税後の税額を11等分した金額を毎月徴収するというかなり複雑な形態となった。給付金のように、明確に金額がわかる形でお金を受け取れるわけではなく、給与明細をよく見ないと効果を実感しにくいというのが現実だろう。 政府も気にしているのか、企業に対して減税額を給与明細に明記するよう求めたものの、逆に上から目線であるとして批判を受ける結果となってしまった。 こうした状況から、6月の解散は難しいというのが大方の見方となっており、総裁選を先に実施して、その後、解散する可能性が高くなってきた。総選挙に関しては以前から小池百合子東京都知事の国政転出が取り沙汰されていたものの、衆院の補選において自民党が連敗したことや、小池百合子都知事が推薦した候補が惨敗したこともあり、小池氏の国政転出も完全に吹き飛んでしまった。 小池氏は都知事選に再出馬せざるを得なくなり、その都知事選には立憲民主党の蓮舫氏が殴り込みをかける状況となっており、都知事選は総選挙の前哨戦という位置付けにならざるを得ない。すべてのシナリオが狂う中、与党内から出てきたのが定額減税の延長論である。 ■自民党が過去に犯した「大失敗」 自民党の木原誠二幹事長代理は出演したテレビ番組において、経済状況次第では来年も実施する可能性があると発言した。鈴木俊一財務大臣は即座にこの発言を否定し、定額減税はあくまでも1回限りであると強調しているものの、与党内に延長論が出ているのはほぼ間違いない。 しかしながら、定額減税を延長することが果たして効果を発揮するのかは疑問であり、むしろ自民党にとって鬼門となる可能性すらある。その理由は、過去にこのパターンで大きな失敗をしているからである。 1998年、橋本龍太郎首相は所得税の減税を表明し、これを材料に参院選に臨む算段だった。ところが橋本氏は減税が恒久的なものか、一時的なものなのかで発言を翻し、野党やメディアから総攻撃を受けてしまった。その結果、参院選では大敗北となり、橋本氏は退陣を余儀なくされてしまう。 結局、定額減税は行われたものの、橋本氏の後を継いだ小渕恵三首相は、定額減税を定率減税に切り替えた上で、恒久減税として実施。小泉政権が取りやめるまで10年間、所得税の減税措置が続いた。 大規模な所得税の減税を10年間続けたものの、その効果は芳しいものとは言えなかった。その理由は減税が実施された後、日本経済はデフレがさらに激しくなり、2003年には日経平均株価が暴落。金融恐慌さえ囁かれる状況となったからである。景気が悪いところに減税を行っても大きな効果を得られないというのは経済学の常識であり、タイミングが悪かったといえ、この政策はほとんど意味をなさなかったと言わざるを得ない。 ■効果が高いのは「減税」ではなく… 恒久減税か、1回きりの減税かで議論となっていることや、選挙を控えていることなど、今回の定額減税と98年の定額減税はよく似ている。 繰り返しになるが、減税というのは景気がある程度、良い状態において、その流れを確実にするためには効果的な政策ツールといえる。だが景気が減速していたり、消費が低迷している時には、そもそも多くの所得を得ることができないので、減税の効果は限定的なものになってしまう。 現状の日本経済は消費が著しく低迷している状態であり、3四半期連続でマイナスもしくはゼロ成長という、リセッションとも呼べる状況に陥っている。 こうした状況では、給付金の方がまだ効果が高いということになるだろう。選挙対策や政権の延命という観点から定額減税の延長論が出てきているわけだが、これが経済に何らかとの好影響を与える可能性は今のところ低いと言わざるを得ない。 |
国民の生活実態には疎く、掲げる政策には「異次元」という枕詞をつけたり、新たな取り組みには「火の玉となって」と、敗戦まじかの特攻隊のごとく勇ましいパフォーマンスを繰り広げても、所詮は「経済オンチ」 の岸田文雄には、自分の総裁選での再選以外には国民の暮らし振りは微塵にも関心がないということなのだろう、とオジサンは思う。