学生時代、初めて麻雀を覚えたての仲間の中に、1人だけ高校時代から麻雀をやっていたという同期がいた。
確かに「一日の長」があり、彼は素人同然のわれわれにはほとんど負けなかった。
その彼が、卓を囲んだ時に、たまに「ヨシ、これで決め打ちしよう」などと口走っていたことを思い出す。
それは彼が和了した時に、周囲は「そんな役を狙っていたのか」と改めて感心したりしたものであった。
その時の「決め打ち」とは、特定の「役」を狙うと決めて、それに向けて「狙い撃ち」したり「ピンポイント」で牌を集めることであった。
それでは、新聞記者が定例記者会見で政府側に特定の問題に対する回答とか見解を求める時には、一定の「決め打ち」をする行為は批判されることなのか?
決め打ちしないで、漫然と「最近の北方領土問題に対する政府の姿勢をおたずねします」というユルい、ヌルい質問をすれば、「待ってました」と言わんばかりの紋切型の回答しか返ってこないのは火を見るよりも明らかであろう。
この場合は、「以前から、外務省は4島の一括返還といっていたのが、安倍晋三首相は2島返還になぜ変更したのか」と質問すれば、当然ながら「本音」は言えず答えに窮することは想像に難くない。
その姿を広く国民に知らせる役目をジャーナリストは担っているはずである、否、「はずであった」。
しかし、内閣記者クラブ主催の菅義偉官房長官との定例記者会見は、かなり長い間「形骸化」されており、記者の質問は菅義偉官房長官が応えやすい内容がほとんどであった。
そこで質問する記者は全員、政治部の記者であり、会見後は菅義偉官房長官を囲んだ「オフレコ談義」というのがあり、そこで本音を探るという風習が続いていたわけである。
そんな悪習を打ち破ったのが、東京新聞社会部出身の望月衣塑子記者であった。
政治部連中の中に、社会部のそれも女性の記者が入って質問するというのも異例のことであった。
そんな一種の「男社会」に一石を投じたことが、既得権益にすがっていた他社の政治部記者たちからも疎まれていた。
もっと疎んじたのが言うまでもないが、毎回、ただちには回答しかねる核心に迫る質問をされる菅義偉官房長官であった。
ついに、苦し紛れの行動に出始めた。
「官邸、質問に矛先なお 東京新聞記者巡り『取材じゃない。決め打ち』」
「会見は国民の知る権利を代弁する記者と対等に向き合う場。その意識が官邸側に欠けていないか。揺さぶりをかけメディアを分断する意図も感じる…(数秒おきに質問を遮る報道室長を)他の記者は阻止していない。権力者をチェックする本来の仕事ができているのか」と後藤謙次氏https://t.co/FU6Zdaixr5
— 冨永 格(たぬちん) (@tanutinn) 2019年2月16日
朝日(Media Times)官邸、質問に矛先 東京新聞記者巡り「取材じゃない。決め打ち」https://t.co/lfNfaCJ2lp
— 裕次郎 (@Yuh_artisan) 2019年2月16日
官房長官記者会見をめぐる東京新聞・望月記者への政治弾圧を、各紙評論から解説。
意外かもしれないが『共同通信』後藤謙次氏が実に真っ当。腰が引けてる「読売」評価に値しない「産経」 pic.twitter.com/hnvgYm9QUB
東京新聞の望月記者の質問は何の問題もない。問題ないどころか彼女の姿勢によって日本のジャーナリズムはどれだけ救われていることか。記者だって人間。時には言い澱む質問もつかえてしまう質問もある。だが彼女は概ね澱みなくまた一般国民が聞きたいことを聞いている。立派。 https://t.co/OIbfc7U0Z7
— 佐藤 章 (@bSM2TC2coIKWrlM) 2019年2月15日
明らかなのは、多くの不祥事まみれの安倍政権には、ゆとりも寛容の精神も全くないということであろう。【史上最低の閣議決定】「司会者がこれまでと同様に協力呼び掛けなどを通じて円滑な進行に協力を求める」
— 盛田隆二 (@product1954) 2019年2月15日
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つまり「望月記者の質問については、上村秀紀報道室長がこれまでと同様『質問は簡潔にお願いします』と数秒ごとに呼びかけ、円滑な進行に協力を求める」と閣議決定https://t.co/9j0rtbUxaL
この問題は本人が書いていたこの本を読めばより鮮明になるかもしれない。
幸なことにこの本はまだ政府から販売禁止されていない。#朝日新聞 の #南彰 記者 @MINAMIAKIRA55 との共著 「 #安倍政治100のファクトチェック 」を #集英社新書 で12月14日より発売します。
— 望月衣塑子 (@ISOKO_MOCHIZUKI) 2018年12月7日
時の為政者・権力者達が、その発言に虚偽を混ぜるのには、理由と動機がある。100のファクトチェックからその狙いを分析して、考えていく契機にして頂ければ幸いです pic.twitter.com/S8DlVabY1d
しかしこんな動きもあり要注意である。
あまりに恐ろしいことをやる。菅会見で妨害されながらも必死に質問を続ける望月記者を、菅官房長官が警察組織に望月氏の身辺調査を指示したと。これって、言論弾圧、記者弾圧で戦前戦中の独裁軍事政権のやったことです。メディア、特にテレビは絶対報道してください。メディア界は全力で抗議を!??????
— 澤田愛子 (@aiko33151709) 2019年2月15日
さて、トンデモないニュースが飛び込んできている。
「ノーベル賞に『安倍氏から推薦』=トランプ米大統領が会見で言及」
たしかに確認すると本当のようである。
安倍晋三首相の声はまだメディアには出ていないが、これは恐らくはこんなことであろう。Trump claims Obama told him that he was "so close to starting a big war with North Korea."
— Aaron Rupar (@atrupar) 2019年2月15日
He then says Prime Minister Abe of Japan nominated him for the Nobel Prize, and also takes credit for "stopping the slaughter of perhaps 3 million people" in Syria. pic.twitter.com/6Pmn31eEWQ
もっとも日本国内の反応は様々なのだが、安倍晋三をほめ殺すこんな風な見方もある。「トランプ米大統領は15日、ホワイトハウスでの記者会見で、安倍晋三首相からノーベル平和賞選考機関に送ったとされる「推薦状」のコピーを受け取ったと明らかにした」とのこと。平和憲法を破壊しようと目論む安倍晋三が「死の商人」のトランプをノーベル平和賞に推薦って、ブラックジョークですか?
— きっこ (@kikko_no_blog) 2019年2月15日
安倍さんがトランプさんをノーベル平和賞に推薦したことについて(笑)#もぎけんのデイリーショーhttps://t.co/iu9HJz862F
— 茂木健一郎 (@kenichiromogi) 2019年2月15日
それにしても、議会承認を得ないでメキシコ国境での壁建設費を捻出するため、「国家非常事態」を宣言する米国のトランプ大統領も、1人の記者に対して組織ぐるみで発言を封じようとする安倍政権も、既に常軌を逸している域に入り込んでいるようである、とオジサンは思う。