かつて民主党が歴史的な政権交代を果たし、次々と斬新な政策を実行したころ、身内の議員の失言や不祥事に対して「ブーメラン現象」と呼ばれたことがあった記憶がある。
「民進党が旧民主党時代から投げ続けてやまない「ブーメラン現象」の研究」
最近では、悪評高い自民党が同じような憂き目というよりは、さらに酷い「天に向かって唾を吐く」ようなことをしでかしていた。
「自民党がネット上の誹謗中傷に『緊急提言』もSNSでは批判殺到『まずはあなた方の党の議員を』『自民党に常習犯』
自民党は21日までに党の情報通信戦略調査会が「ネット上の誹謗中傷等に対応するための緊急提言」をまとめ、林芳正官房長官に提出したと発表した。しかし、SNSでは批判が殺到し、逆効果となっている。 党の公式サイトによると、提言では「社会的、経済的な理由により全ての国民が裁判を行うことができず裁判が被害者の救済手段とならない場合もあること」と「能登半島地震に伴い社会的な混乱をきたす偽・誤情報への対策が必要となっていること」を課題として指摘。具体的な制度整備を行うことを求めた。 しかし、X(旧ツイッター)では「まずは、あなた方の党の杉田水脈議員をどうにかしてくださいよ」「自民党に誹謗中傷の常習犯がいますが、その対策は何年も放置されてます」など、これまでアイヌ民族への差別的投稿や中傷投稿への「いいね」など、SNSで数々の問題を起こしている杉田水脈衆議院議員を名指しするコメントが相次いでいる。 このほか「裏金、脱税を責めるのは誹謗中傷じゃないですよね?」「誹謗中傷対策を騙り言論弾圧に来たな」「Dappiというものも存在しましたし、あなた達や支持者の手法が一番問題なのでは?」など、非難の声が集まっている。 |
まずは、あなた方の党の杉田水脈議員をどうにかしてくださいよ https://t.co/btthbVvELv
— SHIN∞1🌏 (@shin19infinity) February 21, 2024
また自民党か。杉田水脈といいこの若林洋平といい、岸田はこの前こうした差別に「断固立ち向かう」と明言してたんだから、当然処分するよな?#自民党政治を終わらせよう#さようなら自民党政治 https://t.co/bJFDs3r6tK
— ニヤリ本舗 (@niyari_honpo) February 22, 2024
比較的冷静なまともなコメントが多かったようである。
●ちゃんと、自民党議員も含めた誹謗中傷事案への罰則を規定できるような法案を作るなら是非、積極的に検討したらいいと思う。 当然、有罪事案や賠償確定事案を判断基準にすべきであるので、自民党の議員が関わった事例は罰則対象の事例としてちゃんと具体的に挙げた上で、WGなり部会なりで文案検討するんですよね? パブコメでもきっちり具体事例を挙げて説明するんですよね? 被害だけ主張できる立場ではないことを、ちゃんと自覚して徹底した良い新法を作っていただきたい。 それが、自民の取るべき責任のあり方の一つだとは思う。 もし、国会議員、政治活動は例外扱いとか、罰則対象具体事例として自民党議員や与党支持者が加害者となった事例を扱わず、基準も政治、行政による恣意的判断し放題ないい加減なものを作ったならば、その時は本格的に自民党はマイノリティに陥ると思うぞ。しっかりやって頂きたい。 ●自民党の情報通信戦略調査会の存在じたいを知らなかったが、杉田水脈さんに対処していれば、存在じたい知られていなどと言うことはあり得ない。杉田さんについては司法の判決が出ているというのに、これまで何をしてきたのか。 そのうえで意見を言おう。たしかに誹謗中傷をネット上に投稿することは止めるべき。他人の名誉を疵つける場合がある。しかし何が誹謗中傷で、何が許される言論かは境目が難しい。自由な言論に萎縮的効果が生じ、皆が批判をしなくなってしまうことはかえって問題だ。自民党の裏金疑惑や災害地の支援・復興に関する言論は、あくまで公益性ある領域といえる。 自民党の当該調査会にあえて言わせて頂くが、その『緊急提言』も、真の狙いは国民からの批判を萎縮させることを目的として提言したものなのでは。むしろ自民党が裏金の使途を包み隠さず開示することこそ、国民の知る権利に資する「あるべき」情報通信戦略だ、と返したい。 |
ところで「裏金議員に対する「政倫審」はやはり非公開で開催されるようだが、それでも出席を拒んでいる老害議員がいた。
「自民・二階元幹事長『政倫審』欠席でまさかの焼け太り…“帝国”維持へ最後のご奉公」
自民党派閥の裏金事件の主戦場は、衆参両院の政治倫理審査会(政倫審)に移りつつある。1人をのぞき、安倍派5人衆の出席は固まったものの、国会審議で何度も名前が取り沙汰されたアノ人は欠席の公算大。高齢であることが理由だという。二階派を率いてきた二階元幹事長だ。 国会議員最高齢の85歳。弁明にすら耐えられないのなら、バッジを付ける資格はないはずだ。衆院に提出された盛山文科相に対する不信任決議案の採決に現れた二階氏は、確かにヨタヨタだった。手すりなどに寄りかからなければならないほど足元がおぼつかない。 「政治資金の処理について何ら悪びれていない二階さんが政倫審に出席すれば、何を言い出すか分からない。自民党にとって致命傷になるリスクもある。早々に出席を決めた武田元総務相は二階さんの名代。派閥ナンバー2かつ直近の事務総長を差し出すのだから、二階派についてはこれで決着ということです」(自民党中堅議員) 政倫審は委員3分の1による申し立てか、渦中の議員の申し出がない限り開催されず、出席に強制力はない。そこへ派閥領袖の二階氏が堂々と出ていけば、岸田首相は涼しい顔をしていられなくなる。岸田派の元会計責任者の有罪が確定し、派閥の会長だった岸田首相も当事者となるからだ。そんなこんなの二階氏欠席で党内は丸く収まっても、世間が容認するかどうかは別である。 ■「世耕潰し」徹底 「政倫審に対する世論の反応によっては党が関係議員を処分する可能性があり、二階さんも免れないでしょう。『離党+政界引退』と引き換えに、選挙区の後継指名をのませたのではないかという話が駆け巡っています。首相を目指すために二階さんの引退を待ちわびる世耕前参院幹事長には、何があっても選挙区を渡したくない。その一心で引退を先延ばしにしてきたからです。和歌山も衆院小選挙区『10増10減』の対象で、二階さんが新2区、参院から鞍替えする鶴保庸介元沖縄北方担当相が新1区に収まったことで、旧2区の石田真敏元総務相が比例代表に回った。二階さんの引退後は、とりあえず新2区は石田さんへ、鞍替えする鶴保さんの地盤は秘書を務める三男へ、という青写真です」(与党関係者) 安倍元首相の最側近気取りでイケイケだった世耕氏も参院政倫審に出席する運びで、事と次第でどうなるか分からない。老練家の最後のご奉公で二階帝国は安泰なるか。 |
さて、昨日の「自民党支持率の低下が岸田政権を支えているという不思議」というつぶやきの最後に、「当分は本気で政権交代するという野党は現れないのだろう」と悲観的な感想を書いた。
しかし、政治ジャーナリストの安積 明子の岸田文雄に対する見方はもっと厳しいものであった。
「『去年のうちに解散しておけば…』支持率ガタ落ちの岸田総理を待ち受ける『最悪の末路』
■「有権者からスルーされる」 各社が行う2月の世論調査で、岸田政権の内閣支持率の下降傾向が止まらない。NNNと読売新聞の共同調査では24%と前回と同様に過去最低で、朝日新聞の調査では21%と、2012年の自民党の政権復帰後最低記録を更新した。とりわけ毎日新聞では内閣支持率は14%と、3週間前の前回の調査から7ポイントも減少した。 同調査によれば、各政党支持率は自民党と立憲民主党がともに16%と並んだ上、日本維新の会も13%と前回から4ポイントも増やしている。 こうした状態に「政権交代前夜に似ている」との声が聞こえるが、ある自民党議員によれば、現実はさらに厳しいようだ。 「2009年の時は、演説をしていると睨まれたり、立てかけておいた看板や旗を蹴られるなど、有権者からむき出しの“憎悪”が投げられた。だが今はそれすらもない。まるで何もないかのように、有権者は我々の前を素通りしていく」 実際に自民党は、4月28日に予定される衆議院補選で候補者を擁立すると宣言したものの、すでに細田博之前衆議院議長の死去による島根1区は別として、東京15区と長崎3区では作業は難航。東京都連に至っては、一般公募に切り替えたほどだ。 そこで2024年度予算が年度内に成立後、すぐさま衆議院を解散し、補選に本選を合わせるという説が一部で囁かれている。下手すれば“全敗”となるかもしれない衆議院補選を「政権選択選挙」とすることで乗り切ろうとするものだが、本末転倒もいいところだ。 ■昨年には「4月解散説」もあったが…… もっとも9月に予定される自民党総裁選を前に衆議院選を行い、勢いが冴えない野党に勝利して政権延命を図ろうとする目論見は、昨年の春ごろに囁かれていたものだった。 だが5月に岸田首相の地元である広島市でG7サミットが開催され、故郷に錦を飾った岸田首相にとって、この頃はまさに“最盛期”といえた。当時のNHKの調査でも、内閣支持率は46%で不支持率は31%と、支持率が不支持率を上回っていた。しかし現在は逆転し、2月の調査では内閣支持率は25%まで下落し、不支持率は58%まで上昇している。 なぜ岸田政権はそれほどまでに国民に嫌われてしまったのか。主な原因は派閥のパーティー券をめぐる“裏金”問題だろう。そもそも有権者は「政治とカネ」問題に敏感だ。しかも今回は、特定の有力議員の名前が出たロッキード事件やリクルート事件などと異なり、ベテラン議員から新人議員まで問題が広がっているため、「自民党の体質の問題」と見なされている。 にもかかわらず、もし岸田首相が派閥のパーティー券問題を「安倍派や二階派の問題」として矮小化して考えているのなら、大きく民意をはきちがえているとしか言えない。 たとえ岸田首相が派閥のパーティー券問題と無関係だとしても、当然のこととして自民党総裁としての責任をとるべきことが求められる。朝日新聞が2月に行った世論調査では、83%が「裏金問題で岸田首相の対応を評価しない」と答え、81%が「“政治とカネ”問題で自民党は体質を変えられない」と回答した。この傾向は当分続き、情勢が反転することは難しいだろう。 ■バイデンからの厳しい「宿題」 それどころか、「貧すれば鈍する」という通り、得意であるはずの外交に足を引っ張られかねないのだ。岸田首相は4月にバイデン米国大統領から国賓待遇で招待されているが、大統領選で苦戦が伝えられているバイデン大統領からどのような「お土産」をもらってくるかはわからない。 たとえばウクライナへの支援などを盛り込んだ外国援助法案は、アメリカではようやく2月13日に連邦議会上院で可決されたが、下院のジョンソン議長はこれに否定的だと伝わっている。しかもEUはウクライナと加盟交渉を開始したものの、援助疲れは否めない。 そんな中で2月19日に東京でウクライナ復興会議が開かれ、同日に上川陽子外相はウクライナへの渡航制限を緩和した。すでに昨年12月には鈴木俊一財務相が6500億円もの追加支援を表明している。これらが岸田首相からバイデン大統領への「お土産」であったとしても、日本国民にとって怖いのはさらに「宿題」が出されることだ。 NHKの世論調査を見ると、2012年に民主党から政権を奪還して以降の安倍晋三内閣は、常に3割以上の支持率を維持していた。「岩盤支持層」と呼ばれた保守の支持層が支えたゆえに、第2次安倍政権は7年8か月も続くことができたのだ。 しかし岸田政権になって、その支持層はなくなった。理由はアメリカの意向に忖度して、LGBT理解増進法など保守層が嫌がる法律を通したからだと言われているが、それだけではないだろう。 ■「解散しておけばよかった」 今になって「昨年に衆議院を解散しておけば良かった」との声が自民党内から聞こえてくる。もっとも岸田首相は広島サミット後に“伝家の宝刀”を抜こうとしたが、まだ衆議院の任期の折り返しを迎えていないという理由で、麻生太郎副総裁らに阻まれた。 それでも押し切るのがリーダーというものだが、岸田首相がどうも決断するタイミングが悪い。そこが2017年9月に衆議院の解散を決行した故・安倍晋三元首相とは違うところだ。当時の自民党は7月の都議選で大敗し、前年に東京都知事に就任したばかりの小池百合子知事が“希望の党ブーム”に乗じて国政に挑もうとしていたが、自民党は改選前の284議席をなんとか維持した。 いま岸田首相が解散を打てば、自民党は60議席も減らすと言われている。多数の同志が無残に散ると理解したうえで、あえてチャレンジする必要はあるのか。4月28日投開票説は、岸田首相と同じくらい政治的センスがないとしか言いようがない。 |
まあ、当分は解散できない状態が続くのだろうが、やはり国民から最も怒りを買っているこの「五人衆」連中の適切な処分が最も必要ではないだろうか、とオジサンは思う。
【参考】
・・・前略・・・ ♬ ひとりふたりと数えて五人 誰がよんだか 五人衆 よしておくれよ ご意見無用 不良番長 俺のこと 何を言いたいのかといえば、この「五人衆」ってのがキイワードなんだ。 新聞やテレビのニュースでやたら「5人衆」が出てくるので、ついこのメロディが頭の中に湧き出たというわけだ。 不良番長たちなら漫画や映画の中でケンカやバクチに明け暮れたっていいだろう。けれど、政治家たちが「5人衆」などと呼ばれるのはいただけない。 映画の中の不良たちはもちろんワルなのだが、それなりの意地や正義感もあって、もっと大きなワルに挑戦し懲らしめたりする。観客たちの留飲を下げて、そこが人気のあった理由だろう。 だが、いまの自民党の政治家たちはどうか。意地も正義感も見当たらない。 安倍派はまさに ♬ひとりふたりと数えて五人 誰がよんだか五人衆~ である。 萩生田光一、高木毅、世耕弘成、松野博一、西村康稔の「5人衆」。誰がこういう呼び方を始めたのか知らないが、まさにワルとしての名称にぴったりだ。 映画の内容はよく憶えていないけれど、まあ、公序良俗にふさわしい生き方であったはずがない。そんな“ワル”の臭いを、安倍派幹部に「5人衆」などと名付けた人は嗅ぎ取っていたに違いない。この5人はヤバイぞ、と感じたのだろう。 ※ ※ ※ やくざ映画を見れば、けっこう政治の世界を彷彿とさせる場面が出てくる。 組組織には「幹部会」なるものがあって、シノギだのアガリだの上納金だのを巡って、幹部同士があーだこーだといがみ合う。「汚い金」の分配をめぐっての足の引っ張り合いはもちろん、時には裏切り、後ろからバッサリなんてことも起こり得る。内部抗争はたいてい金がきっかけだ。 深作欣二監督の『仁義なき戦い』は、抗争(殺し合い)をリアルに描いて、大人気シリーズになった。ぼくは大好きで、シリーズすべてを見ている(『新仁義なき戦い』はあまりかわないが)。 中でも山守組親分の金子信雄の小狡さは、見事なものだった。そんな親分の下で、組の幹部たちや対立する組の思惑も入り乱れて繰り広げられる「仁義なき戦い」。敗戦後間もなくの若者たちの鬱屈ぶりを表現した傑作だった。 いまの安倍派の体たらくを見ていれば、あのやくざ映画の現代版、矮小版ではないかという気がしてくる。幹部5人衆が、互いに足の引っ張り合い。その上、ヤバいことはすべて子分(秘書)になすりつけて、自分は知らん顔。 映画の中では、自分が犯した罪を、子分を身代わりにして警察に差し出す。「出所したら悪いようにはせんけんね、我慢せいよ」とかなんとか言いくるめて自首させる。会計責任者とやらだけが立件されて、当の議員は難を逃れる現在の安倍派幹部の連中のやり口は、こんな映画のシーンと同じじゃないか。 「弾丸は、まだ残っとるがよ」と、自ら信じる“正義”を貫こうとする広能昌三(菅原文太)と、とにかく金に執着する山守親分(金子信雄)の対比を見れば、政治派閥の浅ましさがそのまま写し出されているようだ。 ※ ※ ※ だが、いま菅原文太はいない。 山守親分も、とうにいなくなってしまった。 あとは、ドングリの背比べ。まことに情けない。 もっと情けないのは、やくざ映画と同類に見られる政治家たち。 |