- 前回の緊急事態宣言を3月21日に解除してから1カ月あまりで、なぜまた、宣言の発令に追い込まれることになったのか、ということの反省とか総括が全く見られない。
解除の際、政府は感染のリバウンドを阻止するため、
(1)飲食店対策の徹底
(2)変異ウイルスの監視強化
(3)PCR検査の強化
(4)ワクチン接種の推進
(5)医療提供体制の充実
という5本柱を決定し、菅義偉は「再び宣言を出すことがないように五つの対策をしっかりやることが私の責務だ」と言い切ったにもかかわらず、残念ながら全く実施効果が表れない対策となり、明らかに「リバウンド対策」は失敗だった。
そもそも、そのネーミングが悪く、世間では無理なダイエットのおかげで元の体重にもどることを「リバウンド」と認識しており、それを防ぐ対策がないことも知っている。
そして今までもできなかった「PCR検査の強化」も掛け声倒れで、1日当たりの検査件数は多くても1万件前後であり、「ワクチン接種の推進」もワクチン太郎の思惑と各自治体との温度差が日増しに大きくなって入る。
そして、「医療提供体制の充実」とは、20年以上も前に「時間を戻す」ことに等しい。
要するに実施できないことを挙げて「私の責務」と言い切るのは国民を愚弄する詐欺師そのものである。
さて、昨日の憲法記念日は「護憲派」による大規模な集会は昨年同様開催されず、国会前で「5・3憲法大行動」が行われていた。
「『反憲法政治を終わりに』憲法記念日に護憲派が国会前で呼び掛け」憲法記念日 護憲派が集会 マスク姿の市民が集うhttps://t.co/3NjdgN1FdB
— 無職労オジサン (@649rouojisan) May 4, 2021
これとは反対に改憲派の連中のなかには、憲法99条の「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」という憲法擁護の義務を負っている政治家たちが積極的に憲法違反言動を行っていた。
「憲法に『緊急事態条項』創設、首相が意欲 自衛隊明記の必要性も強調」
5/3公開憲法フォーラム【ノーカット版】
いつもながら菅義偉の目線は原稿に向いており、残念ながらカメラ目線ではなく一体誰に向けて話しているのかは不明。首相、国民投票法改定案、「憲法改正議論の最初の一歩として成立を目指す」と。
— 志位和夫 (@shiikazuo) May 3, 2021
この「最初の一歩」を許せば、9条改憲=海外での無制限な武力行使、緊急事態条項=基本的人権の停止への道が開かれる。#国民投票法改正案採決に反対します https://t.co/YpNCJTS8Zc
そして、さらに許せない男がコヤツである。
4年前、「加計学園」の秘書室長から政治資金パーティーの費用として200万円を受け取ったことで政治資金収支報告書に記載しなかった政治資金規正法違反の疑いで告発された自民党の下村博文・元文部科学相。
当時は安倍晋三政権に忖度した東京地検によってなぜか翌年の2018年には不起訴になっていた下村博文。
もっとも「モリカケ疑惑」と呼ばれ、残念ながら全面解明には至ってはいないのだが、「加計学園問題とは? これまでの経緯、浮上した疑惑を振り返る」という記事を時間のある人は覗いてほしい。
「コロナのピンチをチャンスに 自民下村氏、改憲巡り」
改憲巡り自民・下村氏
— 毛ば部とる子 (@kaori_sakai) May 3, 2021
「今回のコロナを、ピンチをチャンスとして捉えるべきだ」https://t.co/rqPGckONXl
⇒コロナ禍のピンチを改憲のチャンスにと、本音を吐露する下村博文。端的に言って最低。
こんな当たり前の批判の声も聞こえる。
人が死んだり、後遺症で苦しんだり、仕事を失ったり、家庭が崩壊したり、メンタルをやられたりしている状況を、「チャンス」と捉える政治家がいるんですね。政治家以前に、人として相当、どうかと思いますが。 #NewsPicks https://t.co/eGJcKcgDGT
— 平野啓一郎 (@hiranok) May 3, 2021
それにしても、今、こんな時期に憲法改悪を言い出すのはコロナ対策の失敗を糊塗する思惑が見え見えである。コロナ対策懸命に講じたが無理でしたと言う姿勢があればともかく、
— えーたん🧹 (@eitatatatatan) May 3, 2021
アベノマスクにGOTO、莫大な予算使って何してくれてんの?
医療を守るべき今でも、病床数減らそうとしているくせに…
何をか言わんやです。
議論ひとつできない話下手
不相応総理でした。
もうお引き取り下さいませ。 https://t.co/AJwWyOacUD
「菅首相が日本会議系改憲集会で自らのコロナ対応失敗を「緊急事態条項」にスリカエる詐欺的メッセージ! 国民投票法も強行採決へ」盗っ人猛々しいとのはこのことだ。新型コロナの感染拡大が止まらないなか、菅義偉首相は憲法記念日である本日、日本会議が主体となった団体が開催する改憲集会「公開憲法フォーラム」にビデオメッセージを寄せ、そこで「新型コロナへの対応を受けて、緊急事態への備えに対する関心が高まっている」とコロナに言及した上で、こう語ったのだ。
「緊急時において国民の命と安全を守るため国家や国民がどのような役割を果たし国難を乗り越えていくべきか、そのことを憲法にどのように位置づけるかは極めて重く大切な課題だ」
これはあきらかに自民党の改憲案にある「緊急事態条項」を念頭に置いた発言だ。実際、本日放送されたNHKの憲法記念日特別番組では、自民党憲法改正推進本部の衛藤征士郎本部長が「新型コロナウイルスに迅速に対応する緊急事態条項がない」と発言していた。
まったくふざけるのもいい加減にしろ、という話だろう。当然ながら、緊急事態条項がなくても医療や検査の強化・拡充はできるし、人流を抑えたいのならば十分な補償や給付金の支給によって国民の生活を支えればいい。だが、それらを完全におろそかにして、挙げ句、やってきたことといえば「GoToキャンペーン」のゴリ押し。しかもこの第4波の最中にも東京五輪を強行開催しようとしている。この国がコロナ対応で失敗してきたのはすべて政治責任にほかならないというのに、それを「緊急事態条項がないからだ」などと憲法改正に話をすり替えるのは、はっきり言って犯罪的な悪質さだ。
だが、恐ろしいのは、菅政権や大阪府の吉村洋文知事らが繰り広げているこの「自分たちの政治責任を放棄して改憲につなげよう」というキャンペーンが、世論に確実に影響を与えていることだ。実際、共同通信社が1日に公表した世論調査では、感染症や大規模災害に対応するために緊急事態条項を新設する憲法改正が「必要だ」とした人が57%にものぼり、「必要ない」と答えた42%を上回ったからだ。
言っておくが、感染症はもちろんのこと、大災害時も災害対策基本法で対応は十分にできる。だが、「感染拡大は私権制限ができないからだ」という政治責任を放棄するだけのメッセージが国民にも広がり、現実に改憲の機運を高めているのである。
しかも、このまやかしでしかない改憲に向けて一気に走り出す危険が、いま目の前まで迫っている。というのも、衆院憲法審査会では、自民党をはじめとする改憲勢力が、連休明けの6日にも国民投票法改正案を強行採決しようとしているからだ。
実際、菅首相も、前述したビデオメッセージのなかで「憲法改正に関する議論を進める最初の一歩として、まずは国民投票法改正案の成立を目指していかなければならない」と明言した。
■CM規制なし、改憲勢力に有利な国民投票法がコロナのどさくさに紛れ連休明けに強行採決へ
だが、この国民投票法改正案は、コロナのどさくさに紛れて強行採決されるようなことは絶対に許されない、「改憲への大きな一歩」となる危険極まりないものなのだ。
そもそも、この国民投票法改正案は、憲法改正の是非を問う国民投票で駅や商業施設に「共通投票所」を設けることなどが盛り込まれているのだが、問題なのは、この改正案にはCMなどの規制がない、という点だ。
おさらいしておくと、憲法改正が発議されれば国民投票運動が60〜180日間にわたっておこなわれるが、現行の「国民投票法」では、新聞広告に規制はなく、テレビ・ラジオCMも投票日の15日前まで「憲法改正案に対し賛成又は反対の投票をし又はしないように勧誘する」CMを無制限に放送することが可能になっている。しかも、投票日前2週間のあいだも「賛否を勧誘」しないCMならば投票日まで放送できる。つまり、有名人が登場して「私は憲法改正に賛成です」などという意見広告は放送可能だ。
つまり、CM規制がないまま改正案が通れば、170億2100万円(2021年度)というダントツの政党交付金を受け取っている自民党をはじめ、国会で多数を占める改憲派が潤沢な広告資金を抱えているため、CMを使った広報戦略では圧倒的に有利となるのだ。
実際、「令和」への改元時に自民党は、人気キャラクターデザイナーの天野喜孝氏を起用して当時の安倍晋三首相を似ても似つかぬイケメン化させるなどの広告キャンペーンを展開させたが、国民投票が実施されるとなれば、自民党があのとき以上の一大キャンペーンを張るのは明らか。いや、自分たちの無為無策を棚に上げ、新型コロナなどパンデミックの恐怖を煽りに煽り、改憲の必要性を訴えるのは間違いない。
さらに、菅首相は安倍前首相以上に芸能界に人脈があるとも言われており、改憲のPRには芸能人が大量投入されることも考えられる。また、CMを出稿するのは政党にかぎったものではなく、改憲派の団体や資金力をもった企業が有名人を動員して「憲法を改正しよう」というキャンペーンを張る可能性は十分あるのだ。
■CM規制なしにテレビ局も加担! 危険な内容にSNS上では「#国民投票法改正案に抗議します」の抗議が
しかも、この改憲キャンペーンを後押しするのが、民放テレビ局だ。
じつは、2006年に参院憲法特別調査特別委員会で国民投票法が可決された際には〈テレビ・ラジオの有料広告規制については、公平性を確保するためのメディア関係者の自主的な努力を尊重するとともに、本法施行までに必要な検討を加えること〉という附帯決議がつき、メディアには「公平性の確保」が求められていた。しかし、2019年におこなわれた意見聴取では、日本民間放送連盟の永原伸専務理事が“量的な自主規制を現時点では考えていない"と答弁し、「政党が自らの取り決めで広告出稿量を調整すれば、国民の表現の自由を脅かす心配はなくなる」と強調したのだ。
民放連がCM量の公平性を担保せず、野放図になってしまえば、憲法改正という重大事の賛否が金の力で左右されてしまうという事態に陥る。にもかかわらず、民放連は放送に求められる公平性の確保を「表現の自由」の問題にすり替え、自分たちの儲けを優先させたのだ。
民放連が公平性を確保できないというのならば、どう考えても国民投票法の議論をイチからやり直すのが道理だ。しかし、自民党や公明党、日本維新の会などは「議論は尽くされた」として、6日の衆院憲法審査会での強行採決を目論んでいる。そして、このままコロナ禍のどさくさに紛れてCM規制が盛り込まれないまま国民投票法改正案が強行採決されてしまえば、メディアでは大規模な改憲キャンペーンが展開されることになるのである。
SNS上では「#国民投票法改正案に抗議します」というハッシュタグによる抗議が起こっているが、いまからでも遅くはない。約1年前、緊急事態宣言下のなかで起こった「検察庁法改正案に抗議します" class="tagLink">#検察庁法改正案に抗議します」というTwitterデモによって成立断念にまで追い込んだように、再び菅政権による火事場泥棒に抗議の声をあげなければならない。
「盗人猛々しい詐欺師で犯罪的な悪質さ」の菅義偉政権をいつまで放置しておくのか。
もはや国会前に10万人も集めることは不可能になってしまった現在、あの「麻雀狂・元東京高検検事長」を追い込んだ時のように、「#国民投票法改正案採決に反対します」というSNSデモを再現するのも結構なのだが、今年は衆院議員の任期満了は10月21日なので、その前に必ず行われる総選挙で改憲派議員を3分の2未満に減らすことのほうがより確実な方法ではないだろうか、とオジサンは思う。