2003年、第1次小泉再改造内閣で外務副大臣に任命され、第3次小泉内閣まで務めた自民党の世襲議員の、あるまじきハレンチな行為が週刊誌に暴露された。
自民党の逢沢一郎衆院議員(65)が、売春防止法に抵触する可能性が高い風俗店を頻繁に利用し、違法な買春行為を繰り返している疑いがあることが、4年にわたる「週刊文春」の取材で明らかにされた。
「当選11回なのに大臣固辞 自民党・逢沢一郎衆院議員「違法風俗」連続撮」
本人は否定しているが、何枚もの写真が撮られており、当然今朝の情報番組では真っ先に取り上げられる予定だったにもかかわらず、またもやスピン報道にかき消されてしまった。
それが、口悪いネット民の言葉を借りれば、「口だけの進次郎と滝川おもてなしクリステル」の、昔風の表現では「出来ちゃった婚」の首相官邸での発表という、なんとも違和感のある報道である。
その世襲議員の進次郎は、「政治という戦場の中で常に鎧をまとっていたが、滝川アナといるときは鎧を脱ぐことができて無防備になれる」なんてことを言っていたが、またもやネット民たちからは、「進次郎は鎧の下には何も着けてはいなかったようだ。だから無防備のクリスタルが妊娠5か月なんだ」と、まことしやかなおしゃべりが続いていた。
こんなことはどうでもいい話だが、安倍政権としてはもっと隠したいニュースがあった。
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<森友改ざん職員自殺「労災」 財務省認定、心身とも「過重な公務」>
2019年8月8日 朝刊 中日新聞
学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、決裁文書改ざんを強要されたとのメモを残して昨年3月に自殺した近畿財務局の男性職員=当時(54)=について、近畿財務局が公務員の労災に当たる「公務災害」と認定していたことが、政府関係者への取材で分かった。認定は昨年冬。肉体、精神面での過重な公務との因果関係があったと判断したとみられる。
財務省は調査報告書で、文書改ざんは当時理財局長だった佐川宣寿(のぶひさ)元国税庁長官(61)が方向付け、本省が財務局に指示したと明記していた。今回の認定は本省幹部が遺族を訪ねて報告、謝罪したといい、不正を再び起こさない取り組みが問われる。
財務省理財局は、国有地の大幅な値引きが報道で知れ渡った後の2017年2月下旬~4月、近畿財務局に指示し、決裁文書から安倍昭恵首相夫人に関する記述や政治家秘書らの働き掛けを示す部分を削除した。この時期に男性職員は担当の管財部に所属していた。
毎月100時間に及ぶ残業実態を親族に漏らしていたとされ、17年夏ごろから体調を崩し休職。改ざんが発覚した直後の昨年3月7日、神戸市の自宅で自ら命を絶った。
調査報告書は個人を特定しなかったが、管財部職員らが改ざん指示に抵抗、反発した経緯や、本省からの照会や取材対応で「多忙を極めた」ことを指摘。こうした経緯を踏まえ、公務災害と認定したようだ。財務省は個別の認定案件の詳細を明らかにしていない。
佐川氏らは有印公文書変造・同行使容疑などで大阪第一検察審査会の「不起訴不当」議決を受けたが、大阪地検特捜部は再び不起訴とする方向で検討している。
◆本省の指示など考慮か
<労働問題に詳しい佐々木亮弁護士の話> 月100時間程度の時間外労働を理由に公務災害を認定したとみられるが、財務省本省からの決裁文書改ざん指示や、本人が抵抗した事情も踏まえた印象を受ける。国民のために働く公務員が不本意なことをする後ろめたさと、発覚時に自分の責任になるのではないかとの思いで、二重に精神的な負荷が高かったはずだ。絶望の中で働いていたと想像できる。被害を防ぐには上に立つ者が、民間企業でいう企業倫理を踏まえた指示をし、部下に無用な精神的負荷をかけないようにするべきだ。
<森友学園問題> 学校法人「森友学園」が取得した国有地が8億円余り値引きされていたことが2017年2月に判明。学園がこの土地で建設を計画していた小学校の名誉校長には安倍昭恵首相夫人が一時就任していた。佐川宣寿元国税庁長官は国会答弁で森友側との事前の価格交渉を否定したが、交渉をうかがわせる音声データがその後明らかになった。国有地取引に関する決裁文書の改ざんも昨年3月に判明し、財務省が佐川氏ら20人を処分した。
<公務災害> 国家公務員や地方公務員が公務に絡んで災害に遭うこと。公務遂行中のけが、死亡事故のほか、重労働や長時間勤務による病気などがあり、民間企業の社員を対象として労働基準監督署長が認定する労災と同様に、職員や遺族に損害が補償される。国家公務員についての認定主体は所属省庁、地方公務員は地方公務員災害補償基金。補償のほか、遺族の支援に必要な福祉事業も行っている。
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森友学園疑獄で公文書改竄を強要されて自殺した近畿財務局の職員を、「公務災害」として労災認定したということは、過剰な職務を強要した上司がいるわけで、それで災害(=自殺)に至ったわけなので、そこを特定しなければならない。
当時理財局長だった佐川宣寿元国税庁長官に「方向付け」させることができるのは麻生太郎財務大臣であり、改めて麻生太郎の責任を追及するきっかけにすべきであろう。
それをしなければ、自殺した職員はまさに組織に殺された、被害者であり遺族は浮かばれない思いであろう。
さて、4日前に、「世界中に知らしめた日本の表現の不自由度」で、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(津田大介芸術監督)の実行委員会は3日、企画展「表現の不自由展・その後」の中止を余儀なくされたとつぶやいた。
もっとも最終的な判断は、「少女像を大至急撤去しなければ、ガソリン携行缶を持ってお邪魔する」という手書きのファックスが届いたことなどから、実行委員会の会長を務める大村知事が、「安全な運営が危惧される」として、少女像を含む「表現の不自由」をテーマにしたコーナーの展示を中止したのだが、その後出品者らから大きな抗議が寄せられた。
そもそも「テロには屈しない」というのは、日本政府の基本的なスタンスであり、そのため数年前には海外で拉致された2人の日本人ジャーナリストを見殺しにしたという事実がある。
大村県知事は愛知県警のトップでもあるのだから、そのような脅しには断固たる姿勢を示し、愛知県警を総動員してでも「表現の不自由展・その後」を中止しないと言えば大喝采であった。
中止後、愛知県警は捜査に乗り出し、「『間違いない』ファクスで脅迫文送信容疑認める 逮捕の男は59歳トラック運転手 『表現の不自由展』」と簡単に犯人を割り出し逮捕に至っている。
県警によると、ファクスは手書きで、発信元の番号などは記載されていなかったが、捜査の過程で県内のコンビニが発信元であることを特定。店内の防犯カメラの解析などから堀田容疑者が浮上したという。
仕掛けた側も、引っかかった側も、似たようなお粗末さで、アホの見本市みたいになってしまった感がある。
さまざまな観点から問題のある今回の中止騒動であったが、あらためて憲法学者である日本体育大の清水雅彦教授が、一連の経過の問題点を明確に指摘していた。
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<表現の不自由展 不快感で中止許されない 日体大・清水教授に聞く>
2019年8月8日 朝刊 東京新聞
-憲法21条に定める「表現の自由」とは。
「国家が気に入らない言論をいくらでも規制できた戦前の反省から、日本国憲法は『表現の自由』を全面的に保障している。ただ野放しではない。自分と他人の権利・自由がぶつかって相手が優先する場合に、自分の権利・自由が制限される。他人の名誉やプライバシーを侵害するならば、その表現は規制される」
-慰安婦を象徴する少女像の展示が問題視された。
「河村たかし名古屋市長は『国民の心を踏みにじる行為だ』と言ったが、少女像の展示は特定の日本国民の権利・自由を侵害するものではない。価値観の違う言論や表現を目にした場合の不快感にすぎない。単なる不快感で展示させないなんて許されない」
-河村氏は展示の撤回を求めた。
「表現の自由に対する弾圧行為だ。憲法99条で公務員には憲法尊重擁護義務があるのに、そういう発想がない。名古屋市民は深刻に受け止めてほしい」
-展示は国益を害するとの批判もある。
「国益を害する表現は制限してもいいという考えは2012年の自民党改憲草案に通底する。草案は人権制約について、現行憲法が『公共の福祉に反しない限り』としているものを『公益及び公の秩序に反しない限り』に変更している。国家の安全や社会秩序が優先する場合、人権制限してもいいという考え方だ」
-菅義偉(すがよしひで)官房長官は補助金交付の決定について「精査する」と発言した。
「21条2項で禁止する『検閲』は、行政が事前に表現を審査し、その表現をさせない行為。今回は厳密に言えば『検閲』ではないが、表現規制につながる意味では似たような性格がある。お金の関係でああいう発言をしたら、政府に対して批判的な表現活動はしてはいけないのかという意識が生まれ、萎縮効果をもたらす。不適切な発言だ」
-主催者はどう振る舞うべきか。
「本来行政がやるべきことは、表現の抑圧行為に対して、表現を守ること。抗議電話への対応が大変だから、一時的な展示中断はやむを得ないが、体制を整えた上で再開してほしい」
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日本が世界に向かって表現の自由に関しては「先進国」であると訴えるには、警備体制を万全にして再開すべきであろう、とオジサンは思う。