今年最後のカレンダーの月に入った。
散々待たされた臨時国会も今週末で多くの問題を残したまま閉会してしまう。
当初の「苦労人・叩き上げ・・」という周到に用意されたイメージによって、「安倍晋三よりはまし?!」とばかりに、高い内閣支持率で意気揚々と登場した菅義偉だったが、その答弁能力の欠如が口を開くたびに露見してしまい、支持率も予想通り右肩下がりとなっている。
内閣支持率・不支持率の平均
— 三春充希(はる)?Mitsuki MIHARU (@miraisyakai) November 29, 2020
11月27~29日に実施された日経新聞の世論調査を反映しました。 pic.twitter.com/vUGtbrahLL
そもそも全く実績もないにもかかわらず、多くの善良な国民からの期待感もあり高い支持率でスタートしたのだが、時間とともに地金が出てしまったようである。
「内閣支持率58%に急落 コロナ対策指導力不足で不信感増す」
そして菅義偉にとっては「継承」したはずの安倍晋三が、不思議と総理大臣を辞める前よりも元気になり、最近では「来年の総裁選に出てほしい」という周辺の声とか、経済政策「アベノミクス」の成果を踏まえ、デフレからの完全な脱却に向けて議論を交わすという「ポストコロナの経済政策を考える議員連盟」会長になったりして、面白くない状況になってきている。
それが、季節外れの「桜」が復活し、安倍晋三の過去の悪行が晒されることになったというわけである。
「AERA」。安倍晋三前首相の失職、当選無効の3つのケースについて報じています。いずれにしても安倍前首相の聴取は必至です。 pic.twitter.com/2qTOZTTCVF
— 有田芳生 (@aritayoshifu) November 30, 2020
テレビコメンテーターの弁護士らは、政治資金規正法違反では金額も少なく(?)記載漏れで秘書の罰金程度で終わるだろうとか、公職選挙法違反では前夜祭に出席した地元の支持者らが「買収された」という認識が実証されなければ不起訴になる可能性が強いと、印象操作に余念がない。
しかしいずれにしても、年内で「不起訴」事案になれば黙っていられない国民が年明けには検察審査会に訴える可能性もある。
そうなれば来年一杯は安倍晋三は対抗策に追われ2021年の自民党総裁選どころではなくなるかもしれない。
来年のことを言っても笑われるだけなので、この程度にしておくが、やはり当面の国内のコロナ禍の菅義偉の無策ぶりが許されない。
7月後半から始まった「Go Toトラベル」によってそれまでは感染者がほとんどいなかった沖縄が飛行機でCOVID-19が運ばれたことにより一気に感染者数が激増した。
そして沖縄県内の米軍基地は治外法権なので国内の感染拡大対策が浸透しておらず、最近はこんな事態になっていた。
「【速報】沖縄の米軍基地72人感染 1日あたり“最多”に」
沖縄県は30日、新たに72人のアメリカ軍関係者が新型コロナウイルスに感染していることが報告されたと発表しました。1日の新規感染者数では、過去最多となっています。 沖縄県によりますと、30日、アメリカ軍から新たに72人の新型コロナウイルス感染を確認したと報告があったということです。 今回の72人は1日に発表されるアメリカ軍の新規感染者数としては過去最多となります。72人は海外から沖縄に到着して2週間の隔離措置を経た後に実施されるPCR検査で感染が確認されていて、部隊や県民との接触は確認されていないということです。(30日17:35) |
感染拡大の著しい国からの入国を禁止しているにもかかわらず、こんな米軍基地がある限りは日本の水際作戦も水泡に喫してしまう。
「延長を望む強い声と実際の効果がある」と自画自賛している全国旅行業協会の会長は、我田引水をまたもや始めた。
「二階氏、大型連休までGoToトラベル延長を」
さて、2011年3月11日の東日本大震災に伴う東電福島第一原発大事故により、拡散された放射性物質やその影響から発生した風評被害等による原発事故を含む震災の関連死の中には多くの自殺者も含まれている。
そして今年の初めから始まったCOVID-19による「コロナ関連死」の中でも「自殺」が急増しているという。
国内の大手メディアは取り上げていなかったが、アメリカの「CBS News」は、11月13日付で「Suicide claimed more Japanese lives in October than 10 months of COVID」(新型コロナによる10カ月間の死者数よりも、10月1カ月の自殺のほうが多くの日本人の命を奪った)と報じていた。
新型コロナそのものよりも、新型コロナの影響による経済的悪化が、遥かに多くの日本人の命を奪っている。日本は新型コロナの流行を他の国よりもうまく管理しており、死者数は10月までに全国で約2,000人ほどだ。しかし、警察庁の統計によると、自殺者は10月だけで2,153人に達し、4カ月連続で増加し続けている。日本の自殺者は10月までに1万7,000人を超えており、10月の自殺者数は前年比600人増加した。女性の自殺者は80%以上も急増し、全体の3分の1を占めるようになった。日本の女性はもともと家事や育児などの負担が大きいが、現在はさらに新型コロナによる失業と不安の矢面に立たされている。また、男性がテレワークで自宅にいる時間が長くなったため、既婚女性は家庭内暴力を受けるリスクが高まっている。 |
まさに由々しき事態なのだが、日本国際戦略問題研究所の津田慶治所長がこんなコラムを発表していた。
「狂気の沙汰。GoToトラベル継続で感染拡大を放置する菅首相の罪と罰」
■今のコロナ感染状況と経済 フェーズ3の地域が、札幌市、東京都23区、名古屋市、大阪市の4つ。しかし、GoToトラベルの規制は札幌市と大阪市だけであり、それも目的地としてのみで、出発はOKとしていたが、28日にやっと、出発も規制した。 地方経済の原動力を、製造業から観光業にシフトしたことで、それも海外からのインバウンドに頼った観光業で、かつ、その上に東京オリンピックまで誘致しての安倍政権の経済政策が大失敗になってしまった。 コロナで、すべてが裏目に出ている。五輪の海外からの観光客を目当てに、多くのホテルが作られたが、その多くが倒産の危機になっている。地方経済もそちらに投資を加速したが、それが裏目になっている。これにより、地方銀行も危ない。 やはり、地道に産業政策を打ち、製造業復活やデジタル化の推進をするべきであったのだ。特に、地道ではない安易な金融緩和政策に頼っていたことが大きい。と過去の話をしていても仕方がなく、今後、どうするかである。 おそらく、コロナ感染拡大の第3波は、1波や2波より相当大きくなり、その分、日本経済は大きなダメージを受けることになる。コロナの感染力が強いようで、死亡者数も大きくなっているし、医療崩壊で、コロナ以外の病気で死ぬ人も増えるはず。自殺者は特別給付などで救える道があるが、病気での死者を助ける方法は、感染拡大を防止するしかない。 このため、感染拡大で、フェーズ4になり緊急事態宣言となると、飲食業、観光業、鉄道・航空産業、地方交通などの広範な産業で、今まで以上の大きなダメージを受ける。 強烈な3波に対して、菅首相は対応が後手になっている。前回のこのコラムでの警告から2週間もたっているが、心配したように、状況は悪化の一途になっている。 早めの対策を打ち、フェーズ4になることを抑える必要があるのに、GoToトラベル規制地域を大阪と札幌だけにしている。 危機の時には早い対応が被害を少なくするという緊急時対応の基本を守っていない。 このため、札幌や大阪、東京、名古屋などがフェーズ4になることが想定できる。事実、フェーズ4に近い大阪では医療トリアージを開始したというし、11月26日には1日で12人も死亡している。全国の新規感染者も約2,600人に上った。27日、北海道は252人感染と過去最多の9人死亡、東京は570人感染で過去最多、愛知も234人感染で最多大阪は383人感染。 東京の重症者数は、東京独自の基準では67人であるが、国の基準では250人にもなる。全国の重症者数440人中、東京が半分を占めているのだ。27日の全国死亡者数は29人と非常に多くなってきた。 尾身分科会会長も「個人の努力だけでは、感染防止はできない状況になっている」と警告し、「問題の核心は、コロナではない一般の医療との両立が難しくなっていることだ」と述べ、医療現場の負担が急増する状況に強い危機感を示した。 そもそも、1日2,600人感染、重症者440人で医療崩壊を心配しなければならないということは、医療体制が欧米に比べて著しく脆弱だからであろう。 病床数は欧米と遜色がないが、ICUではドイツと比べると大きく劣っているし、病院を経営するためには、90%の病床を常に埋める必要があるという。コロナシフトで4月以降、手術が少なくなり、病院経営が赤字になっている。医療体制に余裕がないことを示している。 今後、医療体制の強化も必要になるが、現時点では、今の医療体制で乗り越えるしかない。 ということで、この状態が続くと医療崩壊を起こして、緊急事態宣言を出す必要にもなるが、菅義偉首相も同日、「この3週間が極めて重要な時期だ」と訴えたが、それでもGoToトラベルを続けるつもりのようだ。特に東京から地方への旅行を止めたくないようである。 菅首相は、GoToトラベルで感染拡大したエビデンスがないと述べているが、医学的な見地から論理的に推論した結果で、GoToトラベルを問題視している。 それなのに、エビデンスがないというのはおかしくて、論理的推論に反証する責任は政府にあるので、感染拡大がないというエビデンスを示すのは、政府の側である。 医療専門家や経済学者で構成する分科会でも、フェーズ3地域のGoToトラベル中止で東京と名古屋を含めることを進言しているが、菅首相は判断を保留にしている。しかし、遅延すると代償は大きくなる。 小池東京知事は、GoToトラベル中止を国の判断と言い、政府は都知事の判断と言って、お互いに相手を批判して時間を失っている。この代償も大きくなる。 一旦、GoToトラベルを全面的に中止して、政府が率先してコロナ感染拡大を抑え込んだ方が、日本経済の損失は小さいと思うが、GoToトラベル継続で感染拡大を放置するようである。 国民も政府のGoToトラベルの旅行奨励に乗り、フェーズ3でも旅行に出るという「気のゆるみ」が出ている。私も3連休はGoToトラベルを利用して、仙台に行っているので、他人を批判できない。 この原因は、日本の人口1億2,000万人中14万人しか罹っていない。率にすると1.1%であり、多くの人には身の回りにも感染者がいないことになる。そして、罹った人たちも80%はすぐに治るが、20%の人たちが重症化する。しかも、死亡者に占める50歳以下は8%程度であり、若い人は死なないので「気のゆるみ」も、うなづけるのである。 しかし、政府が率先して、感染拡大防止をしっかりとやらないと、国民の「気のゆるみ」を排除できない。コロナ死亡者より、働けなくなることや医療崩壊の方が、問題が大きい。そのためには、緊急事態宣言になるフェーズ4にしない必要があり、そのためには、予防処置を充実させるしかない。 時短要請はもちろんのこと、飲食店、カラオケ、ホテル、観光業、交通業の従業員に定期的にPCR検査をして、観光客にも抗体検査をして、感染なしの確認を義務付けるなどの、それ相応な対策をとるべきである。 ■フェーズ4での緊急事態宣言では フェーズ4での緊急事態宣言の場合、外出の自粛などと自粛の強化をする必要になり、観光業、鉄道、航空、地方交通、飲食店、デパート、アパレルなど多くのリアル産業で働く多くの人たちが失業して、社会が荒んでいくことが想定できる。その前に防止策を打つべきである。政府が国民に旅行を奨励するのは、非常に危険であるし、危機時対応としてもおかしい。 先日、ある駅からJRの電車に乗ったが、駅でロッカーやエレベーターに唾を吐き、電車内でも至る所に唾を吐く人を見た。感染するのではないかと恐ろしかった。 その顔を見ると目が怒っている。コロナ感染で会社を辞めさせられたのかなと思った。 このような人がいると、電車も危ないと思うし、無関係な人たちに感染を広げることにもなる。このような人たちに対して、特別給付や生活保護、職業訓練を充実することである。それが感染防止につながる。 それと、このような人が増えると、社会が荒んでいくと同時に、犯罪も増えて、自殺者や感染拡大の死者だけではないことになる。 その結果、来年の総選挙でも自民党は大きく議席数を減らすことになる。死者数、凶悪な犯罪数などが増えて、社会混乱になることの当然の報いが待っているような気がする。 1月に予定していた衆議院選挙を秋に延期するとしたが、経済縮小に伴う社会的な混乱は、そう簡単には収まらない。そうならないためにも、コロナ感染拡大防止を先にやるべきなのである。 そして、菅首相のGoToトラベル推進を止められなかった自民党議員たちも覚悟する必要がある。相当、厳しい選挙になる。 それでも、世界的にみると、日本はコロナ対応がよく、コロナでの持続性は世界で2番目に良いという。1位はニュージーランドで2位が日本とのことである。 景気は、この冬最悪になるが、この日本より厳しい欧米も日本も株価は、最高値である。中央銀行の量的緩和と政府の財政出動によるパンデミック・バブルというようであるが、何か社会がおかしくなっていると感じる。 そして、一番大きい問題は、貧富の差がますます開くことだ。 |
ある人がこう言っていた。
「菅義偉総理になって正式な会見は1回だけ。おそらく2回目は退陣会見だろう」
ところが、文民統制の意味も分からずましてや、コロナ禍で自殺者が増加し、雇用打ち切りで失業者が溢れ、さらには退学を余儀なくされる学生までいるにもかかわらずこんな記事を見ると。まさか菅義偉は本気で国外逃亡を考えているのだろうか、とオジサンは思ってしまう。
「菅首相、F4戦闘機に搭乗」
【JIJI.COMより】