今日の料理(こだわりがないのがこだわり)

フードリテラシーに沿いつつも、なるべく夢のある料理や飲食をジャンル・国境・時代・時間をボーダレスに越えて書いています。

チキン南蛮

2010年01月29日 | 今日の料理
以前、お店でチキン南蛮を作る事になった。
そこでは、チキンカツにタルタルソースをかけチキン南蛮って呼んで出していた。でもそれはチキンカツじゃん?、ネットでもコース料理のメインに「~地鶏のチキン南蛮」って書いている以上、チキンカツでは駄目になってしまう。

「え~みんな美味しいって言ってくれるよ」って内々の人間同士では言うけれど、面と向かって「これ違う」なんて言うかよ?言う奴も失礼極まり無い人間なんだが、「あの店へ行ったら、チキン南蛮がチキンカツだったよ」と見えない声があると思う。広告や自分で仕事を請け負う事をやっていると、見えない声にもの凄く過敏になる。

自分、一人意義を唱えたら
「じゃあ、eos作ってよ」って言われ、「え?!!」と思った。
自分はジャンルが違うしチキン南蛮なんて作った事が無い。ここフライヤーも無いし。

作れば作れるが、商品として納得させ、毎回コンスタントに同じもので、誰が作っても同じレシピにもっていくには、急な付け焼刃で出来るものじゃない。
でも間違いがあるのでは客足の伸びに限界がある「解った、自分が作るよ」言ってしまった。
但し5日後という時間を少しもらった。

店の営業と片付けが終わった後、看板などの施工工事をし、帰宅してから、ネットでチキン南蛮のレシピを50個くらい集めた。

昔、宮崎~鹿児島、地鶏と焼酎の旅をした時に、チキン南蛮発祥の店「おぐら」へ行って、本物を食べて、あれに近付くイメージのレシピを探しまくって、まとめていった。
作る前日、帰宅してから、50個の中からまとめた自分のレシピを家で眺めながら、胃の中が引き千切れそうで、昏倒したかった。
プロとして失敗は絶対に許されないのは勿論のこと、一撃で全員を納得させてメニューを一新させる味に仕上げられるのか?それでいてレシピとして誰が作っても同じ作り方を出来るのか?

麻布の方も含め同業達が見ている、たった1回の料理で、自分の積み上げてきたものが変わってしまう。
結局、一撃で食べて皆が「これでいこう」って言ってくださった。
自分も多分大丈夫だと思った。

その時はタレに水1滴まで(本当に1滴で変わるんだ)、こだわってしまったので、忙しい中、他人にはマネ出来ないなと思ったので、店で出すのは、簡易なやり方の配合量を教えておいた。
後から誰が来ても出来る様にしておく、それが本当の仕事だ、それはどの業種でも変らない仕事の基本だ。
ベースを教えれば後は自身の手で改良していくだろうと思った。
それが、その料理人(調理人?)の味になっていく。
料理と調理の仕事は違う。

無事に成功して良かったし、自分にも良い勉強になった。自分のレシピが1つ増えたのも良かった。
たまには、チキン南蛮作ってみようかな。
コメント
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