エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

初夏の気配

2010年06月10日 | 日記
初夏の気配が濃厚に匂い立ってきた。

雨の匂い・・・湿った空気。
纏わりつくような大気の重さ。

時々乾燥する空気の匂い。
鼻孔がひくひくと痙攣する。





         初夏の気配


      新緑がたおやかに
      かつ
      たわわに肥大化しつつ
      色を濃くしていく
      網膜に写り込む実在は
      穏やかな大気を着込んで
      叫ぶだろう

      進めよ
      と





眼で楽しむ事が出来る季節の到来である。





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                     荒野人

吉見百穴・・・コロボックルの住居か?

2010年06月10日 | 日記
埼玉県の吉見にある百穴(ひゃくあな)は、東武東上線の東松山駅から徒歩でも行ける場所にある古墳時代の遺跡である。



グーグル・アースで行ってみたけれど、横穴群は確認できなかった。
人は、この場所を「日本のカッパドキア」と呼称する。

ぼくもそれに限りなく近いと思うのである。



この横穴を「玄室・・・墳墓」であるとする説が現在の定説である。
しかしながら、ぼくは後に墳墓となったけれど、そもそも住居跡であるとする説に賛成である。



弥生式土器の発見者である東京大学の大学生坪井正五郎は、1884年(明治17年)人類学会を創設した。
大学院生となった坪井は1887年(明治20年)、卒業論文の一環として吉見百穴の発掘をおこなったのである。

坪井が唱えた説は横穴を住居とするものである。
その趣旨は以下の通りである。

1、住居用の設備、構造を有している。
2、日本人の住居としてはサイズが小さすぎる。
3、よってコビトのような日本の先住民族、コロボックルの住居として作られたものであろう。
4、その後、古墳時代に葬穴用に再利用された穴もある。

というものである。



内部はこうなっているのである。
右側に一段高いスペースがある。
ここに遺体を置いたとするのが「玄室説」である。

しかし、坪井説のコロボックルの住居跡であるとする論は、僕たちの空想力を刺激する。



この場所の緑は濃く、パワーを保持している気がする。
パワースポットであると言えるのである。

この横穴が穿(うが)たれた山の頂上に行くと、涼やかな大気に心身が包まれる。

コロボックル伝説は北海道以北の伝承であると考えられているのであるけれど、この場所にコロボックルを持ってきた坪井博士の発想力に感服するのである。

コロポックル(アイヌ語: コㇿポックㇽ korpokkur)は、まさにアイヌの伝承に登場する小人である。
アイヌ語で、一般的には「蕗の葉の下の人」という意味であると解されるのだけれど、竪穴に住む人とも言われている。

この吉見百穴は横穴であるけれど、その小さな穴からはコロボックルが出てきそうな気配がするのである。



実に不思議な空間である。

ぼくが子ども時代に憧れたコロボックル伝説がこの場所にあるというのが不思議である。
「だれも知らない小さな国(だれもしらないちいさなくに)」は、1959年(昭和34年)に講談社から出版された、佐藤さとるのファンタジー小説である。

この百穴は戦時中には軍需工場として大きな穴が掘られた。



戦争の傷跡はこうした場所にもあるのだ。



こうした穴が三本掘られている。
かなりの数の横穴が破壊されたに違いないのである。

日本人のルーツにも迫る遺跡である。
大切にしたいものであるし、学術的な研究が進むことを期待したいものである。





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