エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

生きとし生けるものへの讃歌

2010年06月24日 | 日記
生きとしいけるもの、ものみな息づいている。
ひと雨の有難さである。



そう言えば「息づく」などというフレーズを忘れて久しい。
生きることに慣れてしまった日常は、虚しいのである。



「のんど」を潤す一滴に歓喜する自然の偉大さが沁みてくる。
今日はそんな日であった。



雨に濡れた歩道にクロアゲハが戯れている。
命が躍動しているのである。

葉脈が水分を吸収する。
耳を澄ませばその音が聞こえてくる。



幼児だった頃は雨などものともせず濡れそぼって遊んだはずだ。
学生だった頃は雨を鬱とおしいなどと思わず恋人と逢瀬を重ねた。
社会に出たてのころは雨だれのリズムにウキウキして胸をときめかせたはずだ。



いまは雨がやるせない。
雨への連想が痩せてしまった。



耳を澄ませてもピアノの軽やかなタッチは聞こえてこない。

寂しい。






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                     荒野人