エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

立てば芍薬

2013年04月17日 | ポエム
立てば芍薬・・・美人の代名詞である。
立ち姿の、ナヨッとしつつも芯の通った風情であろうか。
座れば牡丹、歩く姿はユリの花である。

芍薬のエロチックな花は大輪である。
蕊の妖しげな風情が、悩ましくもある。

今日はヤマシャクヤクを紹介しよう。
実に清楚な、清廉な姿である。

芍薬は、初夏の季語である。
今日は正に初夏の気候であるけれど、立夏はまだである。
立夏は5月5日である。



今日お見せする芍薬は、とある「植物公園」で撮影した。
芍薬葉、満開であったし、ヤマシャクヤクは見頃である。

牡丹が「花王」と呼ばれるのに対し、芍薬は花の宰相、「花相」と呼ばれる。
ボタンが樹木であるのに対して、シャクヤクは草本である。



いつも思うのだけれど、芍薬はもう少し慎みを欲しいのである。
蕊があまりにも煽情的であり、挑戦的であるからだ。



秘すれば花・・・と言うではないか。



世阿弥の「風姿花伝」である。
最初の能楽の理論書である。



「秘する花を知る事。秘すれば花なり、秘せずば花なるべからずとなり。この分け目を知る事、肝要の花なり。そもそも、一切の事、諸道芸において、その家々に秘事と申すは、秘するによりて大用あるが故なり。しかれば、秘事と言ふ事を現はせば、させる事にても無きものなり。」

とある。

「先づ、この花の口伝におきても、ただ、珍しき、花ぞと、皆人知るならば、さては、珍しき事あるべしと、思ひ設けたらん見物衆の前にては、たとひ珍しき事をするとも、見手の心に珍しき感はあるべからず。見る人のため、花ぞとも知らでこそ、仕手の花にはなるべけれ。」

原文を紹介した。
秘する事でこそ、花となる。
上花の神髄である。







「山シャクヤク全き白や誘う蕊」







これが「ヤマシャクヤク」である。
山にあっても悩ましい。
だがしかし、透き通るような色白美人である。

因みに、花言葉は・・・。
「内気」「はじらい」「はにかみ」「恥ずかしさ」とある。

シャクヤクの根は、消炎・鎮痛・抗菌・止血・抗けいれん作用の生薬である。
漢方では外せない生薬である。


       荒 野人