白鳥異聞

今月の21日、ほとけ泥鰌句会の面々と白鳥を観察に行くこととなっている。
とりわけ、写生することの学びの場であるとして出かけるのである。

主宰はもちろんご一緒するけれど、講師は城所先生にお願いしている。
城所先生は、ほとけ泥鰌句会の指導をお願いしているのである。
学ぶ場を提供出来るのは嬉しいことだ。



当日は、野人がご案内するのだけれど白鳥がいまどんな状況なのか心配である。
従って、昨日昼にかけて実踏に出かけたのである。
何より、当日のお昼ご飯についても確認したかったのだ。

少しの不安が過ったのは、やはり行政の無知によるところの土木工事以降の状況の不安定さである。
確かに、公共工事は必要なこともある。
だがしかし、工事の時期については環境への配慮であるとか、人の生活に関する静穏であるとか、様々配慮しなくてはならないのである。



しかし、この川島町はそういった配慮に欠けるのである。
そこが心配なのである。
白鳥の飛来。
その安全にして生活環境を保持することの担保。
などの、行政の関心の低さである。



飛来する時期に、重機の轟く川辺に誰が住みたいと思うだろうか。
白鳥だって同じではないか。

案の定、白鳥に飛来に関して不安定な環境となってしまっている。
昨日、ぼくが到着した時白鳥はゼロ羽。
一時間ほど前に、どこかへ飛び立ったというのだ。
人は、深谷へ行ったのだろうとか、或はどこかの川に行ったのだろうとか・・・喧しい。



ぼくは、立ち去りがたく河川敷を歩いた。
とめども無く歩いたのであった。

いたいた！
３羽だけ、悠然として泳いでいるのだ。
なんと嬉しいではないか。







「ぬかるんだ堤の先や白鳥来」






何時もなら、２月になれば飛来数は増えるのである。
そして、集団で飛び立っても20~30羽は留まっている。
夕方には舞い戻ってくるのだけれど、昼前から居なくなるのは初めてである。
ぼくが、この白鳥を観察し始めてから初めてであった。



21日の吟行が少し不安になって来た。
当日は、この川面に悠然として泳いでいて欲しいものである。



　　　　　　　　荒　野人