エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

落椿

2014年02月18日 | ポエム
大雪だから、椿が散らされる。
けれども、まだ蕾だけの花卉が多いから救われている。



この椿園では、唯一この木だけが満開であった。
散らされて、下の雪を飾っている。
飾った後、褐色に変わって朽ちていく。

褐色と云うと、高橋和己の「憂鬱なる党派」をいつも思い出す。
褐色の憤怒を抱えた主人公・・・。
誰の好みだったか、このハード本の表紙の写真は東大闘争、安田講堂のベランダで火炎瓶を投げる学生。



例年、この椿園で花を楽しむ。
今年は、はしなくも雪世界への落椿を楽しむ事が出来た。



花を散らされたのは、この木である。







「眠りたる蕊引き連れし落椿」







淡いピンクが素敵である。
椿と云う、生身の花卉が花を散らす。

椿の血潮が綺麗であると、この日知った。



誰が、散らす事を喜ぶと言うのだ。
自然のままの在り様が知れる時こそ、椿は命を得る。

今回の雪は、重たかった。
ガレージの屋根が押しつぶされる、それは序の口。



木々の枝が落とされている様は、悲しい。



      荒 野人