エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

すずめ

2014年08月16日 | ポエム
すずめが都会からいなくなった・・・。
そう言われて、久しい。
けれど、農薬を使わない水田があり、水田の周りが里山のような樹木、閑静な自然が残っていればそうでもない。

雀は遊んでいるのだ。



この水田は、広さがおよそ2反。
周囲の小学生が、大事にお米を育てている。

小さな池があり、大サギなどの野鳥も飛来する。
水田の周りには小川が流れていて、子どもたちがザリガニを釣っている。







「啄ばめる欣喜雀躍青田波」







雀が、楽しげにまだ青いコメを啄ばんでいた。
楽しげであった。



こうして野鳥が遊ぶ姿は見ていて、こちらも楽しい。
雀が啄ばむ米は、天使の分け前である。




       荒 野人

風立ちぬ

2014年08月15日 | ポエム
風が涼やかになってきた。
日向は蒸し暑いけれど、日陰ではすっかり秋風である。

日中、それほどの暑さは感じられなくなってきた。
風が爽やかに変貌しつつあるからなのだ。



キバナコスモスがそよぐ。
そよぐ・・・。







「夏惜しむ花の命の息づいて」







いまは旧盆の真っ最中。
従って、高速道路も公共交通機関も人と車で溢れかえっている。

ショウジョウトンボは・・・知らぬ気である。

先祖を敬うと云う、儒教的教訓に満ちた日本人である。
層であるけれど、どこかの国のように教条的でないのが良い。
いやいや緩やかとい意味合いでなく、豊かに受け止め、柔らかに応用するその柔軟さが良いのである。



風を濾過する林は、たおやかである。
あくまでも、たおやかな風情であるのだ。



      荒 野人

奄美便り14「奄美よ!しばしさらば」

2014年08月14日 | ポエム
奄美便りの筆を置く。
もちろん、しばしの間だ。
次回の訪問、までさらば!
なのである。



台風に見舞われつつも、自然を満喫した。
奄美は神の島である。



奄美大島の空港である。
去りがたい旅情に満たされる瞬間である。



そう・・・緑青を溶かしこんだような海。
誰もが魅了されるに違いない。

この緑青はかなり上質である。







「蒟蒻版碧さ一刷け夏の海」







山の麓には、さとうきび畑が広がっている。
「ざわわざわわ・・・」と風が足音を響かせ、足跡を刻んでいく。

奄美のさとうきび畑は「いくさ」を多く語らない。
それだけに寂寥感に包まれる。



ふっと波頭がぼやけた。



句友が、散骨を語っていた。
また、ぼくのかけがえのない友人は「散骨」を望んでいる。

浜の白さが、生々しいのは何故だろうか。



海と山の向こうに、雲の峰。



海は、水鏡のように澄みきった。



奄美よ、しばしさらば!
だ。

ぼくは、富士山に迎えられている。




       荒 野人

超大きい月

2014年08月13日 | ポエム
スーパームーンである。
今年一番大きい月が中空に架かっている。

けれど、もう欠け始めている。
年に何回かの大きい月が見られるのだが、今回の満月が一番大きい。
「超大きい月」なのである。



たまさか、雲が覆っていたけれど根気よく待っていたのであった。
すると、30分後雲が大きく流れ月が姿を見せ始めたのである。







「秋兆す夜のサイレン聞きにけり」







忽ち、月の表面に兎が現れ、お餅を搗き始めたのであった。
ぼくが子どもの頃、母に教えて頂いた「落し噺」である。

その兎がいて、お餅を搗いているという話を信じていた時代。
懐かしく母の匂いがするのだ。

若くして逝った母の匂い。
狂おしいほど母が懐かしい。

外気がしっとりして、涼しさが感じられる。
もう秋なのだ。




         荒 野人

秋立つ

2014年08月12日 | ポエム
台風一過の晴天だけれど、風が強い一日であった。
けれども、確実に秋だ。



10日は、旧盆の一日でもある。
昨年、迎え火を焚いた老婦人。
今年は姿を現さない・・・体調でも崩したのだろうか。

わが身を振り返って、心配である。
もう、日常の所作が心許なくなってきている。
齢を重ねてしまっている。







「台風の残滓かすかなちぎれ雲」







昨日は、孫と付き合って豊島園のプールであった。
多聞に洩れず仮設のテントを設営する。
我が家は、コールマンのかなりがっしりしたものだ。

それでも、風で持っていかれそうになった。
台風の残滓とも言うべき風があったのだ。



だがしかし秋が感じられる一日であった。
この一週間ほどで、暑さも一つの峠を越えるだろう・・・と期待する。

温暖化の天体がその期待を裏切るだろうか?
しかし裏切られても、仕方がない。

そうしてしまったのは、ぼくたち人類だからだ。




          荒 野人