アーバンライフの愉しみ

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村山由佳著「星々の舟」

2024年05月30日 | 読書三昧

 

2003年上半期第129回直木賞受賞作。
「別冊文藝春秋」第237~42号掲載の短編6編を収める。389頁。

村山さんの作品はこれまでいくつも拝読して来たが、どういう訳か本書に接する機会がなかった。今回、改めて本書を読み受賞にふさわしい作品であると思った。

連作短編集だが、それぞれ完成度の高い作品群となっている。特に人物描写が鮮やかで、同氏の作家としての素質の高さを感じさせる。

最終章、父「重之」の従軍記には鬼気迫るものがある。納得の受賞作と言えよう。ご一読をお勧めします。(お勧め度:★★★)

選者評:平岩弓枝氏 
「凄いところは一人の人物を描くことから、まるでつながっている糸をひき出すように一つの家族の人々が各々、主人公となって浮び上って来る構成力の巧みさと適確な人間像の描写力だろうと思う。小説というものの魅力と怖しさを久しぶりに堪能させられた。」

 

 

 

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