5泊6日の入院生活の間、島本理生さんの「ファーストラヴ」に続き掲題書を大変面白く読んだ。
「新潮文庫」2010年第75刷、362頁。
大要は承知していたが、孤島に一人漂着して生活を始めた主人公を待ちかまえていた種々の困難さと、それに打ち勝って生き抜いて行く様に感動した。
木製のスコップで土地を耕して麦を育て、麦芽を保管する籠を造り、石臼で製粉しパンを焼き上げるまでに10数年を要したという。
他方、野生の山羊を飼う牧場を造り、搾乳からチーズやバターの製造、また、豊富にあった野生の葡萄は、干し葡萄に加工して貯蔵する等々、生活に要するすべてを自給自足するその根気と逞しさに驚愕した。
そして、海賊船に奇跡的に救助されるまでの28年間、常に神の摂理を信じ、祈りを絶やすことがなかったと言うからすごい。