角川書店刊、書き下ろし356頁の大作。
「シベリア民間人抑留、凍土からの帰還」の副題が示す如く、終戦の混乱期、ソ連邦シベリアに抑留された民間人のその後を追跡したドキュメンタリーである。
本書で消息が明らかにされ著述されている人々は20人余だが、ウイキィ等によると、軍人、民間人合わせて57万5千人もの人々が過酷な抑留生活を送ったという。(内、死亡者は5万8千人の多きにのぼった)
本書は、主としてカラフト在住者の内、家族を追って内地に密航を企て、ソ連の沿岸警備隊に拿捕されたり、自動車事故の際(ソ連軍の)軍人に危害を加えようとしたと誤解され収容所送りとなったりした民間人の抑留生活を追った。
長い抑留生活の中、現地に居住する女性と結婚した人も居て、内地帰還に当たっては家族と生き別れになる不幸も存在した。
それらの人々の人生は、涙なくして読み進めることは出来なかった。