韓国の新聞社「朝鮮日報」のインターネット版をたまに閲覧する。2月11日付の記事に目が覚めた。「韓国のゴミ海洋投棄の実態 下水汚泥の70%が海へ」。日本海側に住む我々がいつも実感していることだ。海岸を歩くと、ハングル文字のペットボトルやプラスチックの漂着ゴミが目立つ。「そうか、ゴミは人為的に流されているのか」と見出しだけで理解した。
記事になった日本海のこと
以下、朝鮮日報の記事を要約して紹介する。海洋汚染を防ぐため、1972年に採択された「ロンドン条約1972」は、海にゴミを投棄することを厳しく規制している。これまでに81カ国がこの条約を批准しており、韓国も93年にようやく批准した。ところが韓国政府は、地上のゴミ埋立地が不足していることや、生ゴミの埋め立てによって悪臭や地下水の汚染といった公害が発生していることを理由に、88年からゴミの海洋投棄を認めてきた。93年にロンドン条約を批准した後もそれは続いてきた。廃棄物の海洋投棄にかかる費用は、種類によっては陸上処分に比べ90%近くも安くつくため、廃棄物処理業者はゴミを海に捨ててきた、という。
韓国に比べ、日本は海の川下にあたる。韓国でゴミを捨てれば、その流れていく先はどこか、まずは能登半島、佐渡島である。地元では民間団体が「クリーン・ビーチ」キャンペーンなど行なっているが、この事実を聞けば愕然とすると同時に義憤が沸くだろう。「これは外交問題ではないのか」と。
もう一つ日本海で問題となっているのが厄介者のエチゼンクラゲである。重さが200㌔にもなり、魚網や魚を傷める。かつてエチゼンクラゲの大量発生は40年に一度ほどといわれてきた。ところが、ここ数年は毎年のように日本海で多くの漁業被害をもたらしている。エチゼンクラゲの発生海域は東シナ海・黄海と見られる。そこで、調査が必要となるのだが、2月11日付の朝日新聞によると、昨年11月、エチゼンクラゲ問題を日中韓で研究する会合をつくり、日本側がDNA分析の費用負担を中国側に申し出たが、中国側は難色を示した。なぜか。中国側は「発生源」とされることを嫌っているのだ。エチゼンクラゲは1日に20㍍プール2杯分の海水に含まれる動物プランクトンを食べ、稚魚や卵を食べる(同日付・朝日新聞)。中国にとって、韓国、日本は川下に当たり、「そんなの関係ねぇ」という雰囲気だ。
中国製ギョーザの中毒事件発覚(1月30日)を象徴として、我々は食の安全や環境汚染に敏感になっている。こんなことが解決できないで、経済だ外交といわれても国民の目線からは納得できない。洞爺湖サミット関連の会合が3月14日から始まる。そのスタートが「気候変動、クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関する対話」だ。世界の温室効果ガス主要排出国20ヵ国の環境・エネルギー担当大臣に加え、関係国際機関、産業界やNGO・NPOの代表等が参加し、気候変動・地球温暖化問題について議論する。開催地は千葉となっているが、この時期はそろそろ黄砂の季節だ。むしろ、日本海側でやってもらった方が、地球環境問題の実感が沸くかもしれない。
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