元プロ野球選手、松井秀喜氏のホームタウンは石川県能美市にある。私は金沢のテレビ局時代に何度か自宅を取材に訪れた。松井氏が星稜高校時代、「夏の甲子園」石川大会の中継、本大会での取材と夏は松井一色だった。強打者ぶりは「伝説」にもなった。1992年夏の全国高校野球選手権2回戦の明徳義塾(高知)戦で、5打席連続敬遠されて論議を呼んだ。
高校卒業後の松井は破竹の勢いだった。1992年秋、ドラフト1位で巨人に入団。セ・リーグMVP、ホームラン王、打点王をそれぞれ3度、首位者を1度獲得。2002年オフにフリーエージェント宣言、ヤンキースに移籍した。メジャー挑戦1年目の2003年、本拠地開幕戦で、メジャー1号を満塁弾で決めた。2007年、日本人ではイチロー選手(現ヤンキース)に続いて2人目となる日米通算2000安打を達成した。2009年にはワールドシリーズでは3ホーマーを放ち、シリーズ最優秀選手(MVP)に選ばれた。日本とアメリカで通算507本のホームラン。日本で10年、アメリカで10年、松井選手にとって20年間のプロ野球人生だった。
その松井氏がプロ野球で一時代を築いた長嶋茂雄氏と同時に国民栄誉賞を受賞することが確実となったと報じられている。両氏は、巨人時代の監督と選手の枠を超えて「師弟関係」にあり、「ミスター&ゴジラ」の国民栄誉賞ダブル受賞。だが、この時期になぜ国民栄誉賞なのか、腑に落ちない。長嶋氏に対してはその功績から、むしろ受賞するのが遅いくらいだろう。松井氏の場合は昨季現役を引退したばかりだ。ほかにふさわしい候補者がいたのではないか、と。
調べてみると、これまでプロ野球選手として国民栄誉賞に選ばれたのは王貞治氏と衣笠祥雄氏だ。王氏は世界最多の756本塁打、衣笠氏は世界新記録の2131試合連続出場といずれも「世界一」の栄誉を浴している。賞を辞退したイチロー選手(現ヤンキース)も、大リーグでシーズン最多安打はじめ数々の記録を更新している。松井氏の功績もこれに匹敵するのだが、なぜこのタイミングなのか腑に落ちない。長嶋氏だけでもよかったのではないか。
大リーガーのパイオニア的な存在という点ならば、野茂英雄氏だろう。新人王や2度のノーヒットノーランを達成している。松井氏は大リーグ移籍後、本塁打王や首位打者といった主要な個人タイトルは獲得していない。実績面では野茂氏と松井氏に勝るとも劣らない。
松井氏の身上は「努力できることが才能だ」。無理するなコツコツ努力せよ、才能があるからこそ努力ができるんだ、と父親かから教わった言葉をそのまま体現した。本人がホームランの数より、連続出場記録にこだわったのもプロとは本来、出場記録なのだと見抜いていたからだろう。野球の天才というより、努力の天才なのだ。ここで国民栄誉賞をもらってしまっては、人生あとがなくなる。
⇒2日(火)夜・金沢の天気 くもり

その松井氏がプロ野球で一時代を築いた長嶋茂雄氏と同時に国民栄誉賞を受賞することが確実となったと報じられている。両氏は、巨人時代の監督と選手の枠を超えて「師弟関係」にあり、「ミスター&ゴジラ」の国民栄誉賞ダブル受賞。だが、この時期になぜ国民栄誉賞なのか、腑に落ちない。長嶋氏に対してはその功績から、むしろ受賞するのが遅いくらいだろう。松井氏の場合は昨季現役を引退したばかりだ。ほかにふさわしい候補者がいたのではないか、と。
調べてみると、これまでプロ野球選手として国民栄誉賞に選ばれたのは王貞治氏と衣笠祥雄氏だ。王氏は世界最多の756本塁打、衣笠氏は世界新記録の2131試合連続出場といずれも「世界一」の栄誉を浴している。賞を辞退したイチロー選手(現ヤンキース)も、大リーグでシーズン最多安打はじめ数々の記録を更新している。松井氏の功績もこれに匹敵するのだが、なぜこのタイミングなのか腑に落ちない。長嶋氏だけでもよかったのではないか。
大リーガーのパイオニア的な存在という点ならば、野茂英雄氏だろう。新人王や2度のノーヒットノーランを達成している。松井氏は大リーグ移籍後、本塁打王や首位打者といった主要な個人タイトルは獲得していない。実績面では野茂氏と松井氏に勝るとも劣らない。
松井氏の身上は「努力できることが才能だ」。無理するなコツコツ努力せよ、才能があるからこそ努力ができるんだ、と父親かから教わった言葉をそのまま体現した。本人がホームランの数より、連続出場記録にこだわったのもプロとは本来、出場記録なのだと見抜いていたからだろう。野球の天才というより、努力の天才なのだ。ここで国民栄誉賞をもらってしまっては、人生あとがなくなる。
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