北朝鮮による新型ICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射、そして、日本海沿岸に次々と流れ着く転覆した木造船、今後さらに何が日本海で起きるのか。金沢大学の能登学舎(珠洲市三崎町)で同僚たちと北朝鮮問題について話す機会も多いのだが、すぐ目の前の海に「北の船」が現実に現れたのには驚いた。
先月27日午前8時40分ごろ、同市三崎町の小泊漁港500㍍沖で木造船が浮いているのが発見された。七尾海上保安部と珠洲警察署などが捜索。報道によると、木造船は全長12㍍、幅2.6㍍で、船内に人影はなく、船内からは網などの漁具のほか、ハングル文字で書かれたタバコの箱やビニール袋などが見つかった。能登半島沖300㌔の好漁場、大和堆あたりで漁をしていて、難破したものと見られる。
漂着した北朝鮮の漁船の写真を提供いただいた。船の前方にはすでに藻がこびりついていて、「556—60268」という数字が書かれている。木造の船体はいかにも古そうで、荒れた海では波をまともにかぶりそうだ。
今回特徴的なことは、遺留品にハングル文字で「264軍部隊」と文字が記されたカードがあったことだ。漁民が軍から船を借り受けた際に与えられた証明書との見方がなされている。さらにここから深読みすると、軍から船を借りてまで日本のEEZ(排他的経済水域)に向かう国家の現状だ。北朝鮮の慢性的な食糧不足は想像に難くない。いわゆる国策として漁業を奨励し、「冬季漁獲戦闘」と鼓舞して波の高い冬場も無理して船を出しているようだ。報道によると、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」(電子版、11月7日付)の社説 で「漁船は祖国と. 人民を守る軍艦であり、魚は軍と人民に送る銃弾・ 砲弾と同じだ」と出漁を呼びかけている。
北朝鮮は沿岸付近の漁業権を中国企業に売却しており、漁師たちは遠洋に出ざるを得ない状況に置かれていると一部報じられている。それにしても、冬型の気圧配置で、北風で波が高くなるこの時期、いくら食糧確保のためとはいえ、古い木造船で出漁を煽るとは、難破の悲劇をわざわざつくり出しているようなものだ。これが北朝鮮の現実なのだ。漂流や漂着、どこまで続くのか。(※写真提供:一般社団法人能登里海教育研究所 浦田慎氏)
⇒2日(土)夜・金沢の天気 はれ

漂着した北朝鮮の漁船の写真を提供いただいた。船の前方にはすでに藻がこびりついていて、「556—60268」という数字が書かれている。木造の船体はいかにも古そうで、荒れた海では波をまともにかぶりそうだ。
今回特徴的なことは、遺留品にハングル文字で「264軍部隊」と文字が記されたカードがあったことだ。漁民が軍から船を借り受けた際に与えられた証明書との見方がなされている。さらにここから深読みすると、軍から船を借りてまで日本のEEZ(排他的経済水域)に向かう国家の現状だ。北朝鮮の慢性的な食糧不足は想像に難くない。いわゆる国策として漁業を奨励し、「冬季漁獲戦闘」と鼓舞して波の高い冬場も無理して船を出しているようだ。報道によると、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」(電子版、11月7日付)の社説 で「漁船は祖国と. 人民を守る軍艦であり、魚は軍と人民に送る銃弾・ 砲弾と同じだ」と出漁を呼びかけている。
北朝鮮は沿岸付近の漁業権を中国企業に売却しており、漁師たちは遠洋に出ざるを得ない状況に置かれていると一部報じられている。それにしても、冬型の気圧配置で、北風で波が高くなるこの時期、いくら食糧確保のためとはいえ、古い木造船で出漁を煽るとは、難破の悲劇をわざわざつくり出しているようなものだ。これが北朝鮮の現実なのだ。漂流や漂着、どこまで続くのか。(※写真提供:一般社団法人能登里海教育研究所 浦田慎氏)
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