自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆憲法施行75年「古くなった」「安全保障に対応可能か」

2022年05月03日 | ⇒ニュース走査

   きょうは憲法記念日。そして憲法施行75年となる。日本には平穏な暮らしがある一方で、隣国のロシアがウクライナへ侵攻したことで国連安保理が機能不全に陥り、世界平和の秩序が乱れ始めている。さらに、中国の武力による台湾の統合と尖閣諸島の占有も懸念され、繰り返される北朝鮮のICBM発射など不安が募る。日本のいわゆる平和憲法はこのままでよいのか。

   メディア各社が国民の憲法についての意識調査を報じている。朝日新聞の調査(郵送、期間3月15日‐4月25日、有効回答1892人、回収率63%、内訳男48%・女51%・無記入1%)では、いまの憲法を変える必要について、「変える必要がある」が56%(昨年調査45%)で、「変える必要はない」37%(同44%)を上回った。2013年に郵送調査を始めて以降、改憲必要派は最多。憲法第9条については「変えないほうがよい」59%(同61%)で、「変えるほうがよい」33%(同30%)を上回った。

   読売新聞の調査(郵送、期間3月15日‐4月21日、有効回答2080人、回答率69%、内訳男47%・女53%)では、憲法を「改正する方がよい」は60%(昨年調査56%)と、郵送方式となった2015年以降で最も高かった。「改正しない方がよい」は38%(同40%)だった。戦力の不保持などを定めた9条2項を改正する必要が「ある」は50%(同46%)で、「ない」47%(同47%)をやや上回った。ただ、戦争放棄を定めた9条1項については、改正の必要は「ない」が80%(同80%)に上った。

   NHKの調査(携帯・固定電話、期間4月15-17日、有効回答1508人、回答率50%)では、憲法を改正する必要があると思うかどうかについては、「改正する必要があると思う」が35%(昨年調査33%)、「改正する必要はないと思う」が19%(同20%)、「どちらともいえない」が42%(同40%)。「必要がある」との回答は年々上昇していて、2018年調査(29%)より6ポイント上がっている。憲法9条について改正する必要があると思うかどうかについては、「改正する必要があると思う」が31%(同28%)、「改正する必要はないと思う」が30%(同32%)、「どちらともいえない」も34%(同36%)だった。2020年調査では「必要がある」26%、「必要はない」37%だったが、今回初めて「必要がある」が「必要はない」を上回った。

   新聞メディアの調査は「する」「しない」の二者択一を回答者に求めているのに対し、NHKは「どちらともいえない」を含めた三択にしているので、それぞれの回答の数値は低くなっている。

   メディア各社の世論調査で「憲法改正の必要あり」の方向性が明らかになってきた。その理由で多かったのが、「国防の規定が不十分だから」「古くなったから」(朝日)、「時代の変化に憲法の解釈や運用だけで対応すると混乱するから」「国の自衛権を明記し、自衛隊の存在明文化するため」(読売)、「日本を取りまく安全保障環境の変化に対応するため必要だから」「国の自衛権や自衛隊の存在を明確にすべきだから」(NHK)。ここから読めるのは、「憲法は古くなり、時代の変化に対応できない」「安全保障のために自衛隊の存在の明文化が必要」ということだろうか。

(※写真は日本国憲法原本=Wikipedia「日本国憲法」より)

⇒3日(祝)夜・金沢の天気     はれ

コメント (1)
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